紙の本
勉強になる
2014/02/13 11:02
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投稿者:ふとっちょパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
知らないこと、あるいは思い込んでいることが多いことに気づかされる。
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≪目次≫
はじめにー虚実を見極める作業
プロローグ 戦国時代の武家男色、その俗説と実相
第1部 室町幕府と男色文化
第1章 公家・宗教社会の男色ー禁断の扉を開いた足利義満
第2章 足利将軍と男色ー稚児から小姓へ
第3章 守護大名と男色ー大内義隆・武田信玄
第2部 戦国武将と男色の実相
第4章 東国の戦国武将と男色ー武田・北条・長尾・今川・朝倉氏ほか
第5章 奥州の戦国武将と男色ー大崎・上杉・蘆名・伊達氏ほか
第6章 西国の戦国武将と男色ー大内・黒田・宇喜多・毛利・島津氏ほか
第7章 信長・秀吉・家康と男色ー織豊期から江戸初期まで
エピローグ 江戸時代の武家男色、その隆盛と衰退
おわりに^独自の性志向
≪内容≫
非常にまじめな論文。数多くの英雄が男色のうわさがあるが、割と丁寧に文献にあたり、その多くが都市伝説であることを論証している。興味がある人はさらに参考文献にあたること。
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信長と蘭丸はじめ、いろいろと話は聞いた事がありますが、結局どれも一次資料がなかったり、曲解されていたりで、信憑性に欠ける模様。
本書で取り上げられていた資料を読んでみたくなりました。
男色説をでっち上げるにしても、動機はいろいろある様で、そちらも興味深い。
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この人だったかな……「書いているうちに肛門が痛くなってきた」とついったーで書いていたのは。
単に男色について論じているのではなく、「通説を疑え」「様々な資料を駆使せよ」という点は全ての学問に当てはまるのではないかなと思った。
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この作者の姿勢は、世に出回っている男色で出世したというのは根拠が薄いことが多いというスタンス。加えて、少年だから性犯罪に近く、その発祥期から禁忌とされる変遷を描いた。
読んでて、結構楽しかった。
男子のカップルの話なんだけど、結構、感動してしまうエピソードが多かった。男色の間柄であった主人の救援を信じて待つ家臣。片や進退のつかない戦局をなんとかまとめ上げ救出に向かう主人。敵の数ははるかに多いが、夜襲を企てると、城内からも呼応して、結局やっつけるという話とか。それに読み交わす歌の美しいこと。
違う意味で感動したのが、ピンチの時に、男色相手の家臣が逃げ出した。その主君の側に最後までいたのが、男色をよしとせず冷遇され続けた忠臣たちであったこと。
伊達政宗が、自分の寵愛小姓を小早川に望まれた時、一夜だけなので抱かれろという手紙を残しているが、その小姓を気遣い見舞いに行くという他の政宗の手紙が残っていたりして優しいこと、署名が正宗だったりと疑う点があって創作ではないかと言ってくれている作者に、政宗ファンの私はちょっと嬉しい。
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戦国時代の男色の話。下世話な噂話を列挙したものではなく、通説とされる逸話に対して一次資料をもとにきちんとした検証を加えていく。
「男色」は、現代の同性愛と同義ではなく、成人男性が少年児童を抱く小児性愛であり、江戸時代に入ると「無体なもの」として批判の対象となっていった。そのため江戸時代に書かれた軍記物などでは、戦国時代の大名の評価を下げるための暗君エピソードとして、「寵愛した小姓を重用した」などの男色話を創作したり、因果がわかりにくい事柄の経緯を説明するために、「誰それと誰それは男色関係にあった」というエピソードをこじつけたりすることがあったようだ。BL小説や漫画の格好の題材にされているカップリングも、後世に着せられた濡れ衣である可能性が高いのだと肝に銘じる必要がある。一方で、武将が寵愛した家臣を重用することは批判の対象であったが、無名の家臣どうしの男色は純愛として美談になることもあったようだ。
「おわりに」に記載があったが、少年愛が廃れるにつれ、華奢な体つきの女性が尊ばれるようになり、もともとは安産型のふっくらとした肉付きの良さが好まれたという。現代の少女愛にも繋がる系譜であり、よくよく考えた方がいいという指摘に、なるほどと考えさせられた。江戸時代には見目の良い少年はおちおち外も歩けなかったといい、現代の性被害女性に対して冷淡な反応をする男性などは、その時代に美少年に生まれてみれば少しは気持ちがわかるのではないかと思った。