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紙の本
わけのわからなさを楽しめるかどうか
2014/02/24 15:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2013年下半期、つまり現在最新の芥川賞受賞作。
しかし芥川賞受賞作=面白い作品とは限らない。
直木賞受賞作なら、面白さを追求し、
広く読者に愛されることをめざしている作品が少なくないように思う。
一方芥川賞を取るような作品は、何より作家個人の、
なんというか内的な衝動があって、彼らなりのこだわりで、より深いものを求め、
より高いところに到達しようとしている場合が多いのではないか。
いきおい、中身はかなり多様で、仕掛けやらでよくわからないことも少なくない。
読者から見た場合、合う合わないの幅が大きくなると思う。
「穴」は奇妙な小説である。
仕事をやめて夫の実家のある田舎へ引っ越した若い女性が主人公+語り手。
そこでいろいろありえないようなことが起こる。
読んでいる途中は、どこに連れて行かれるのかよくわからない。
読み終えても、?という読者も多いと思う。
あり得ないような出来事は、語り手の妄想か、実際に起った奇妙な体験か、
それとも作者があえてあり得ないことを書いて
そこに寓話のような象徴性を込めたものなのか。
たとえばこれが学校の課題だったらという感じで私が考えたのは、
この物語は、これというたしかな実感としての生を見いだせないでいる人物
(=語り手)が漠然と感じる閉塞感、
不確かさのようなものを象徴的に表現したものではないか、ということだった。
しかしほかにもいろんな見方がありそうだし、スッキリできたわけでもない。
ある記者が作者に「日常の中の違和感」を描いた小説だと言ったそうで、
あとでそれを知って、私と同じ捉え方だと思ったのだが、
それに対して作者はただびっくりしたらしく、あまり納得したようでもなかった。
どうも一つの読み方を解き明かすというよりも、
どれとも決めきれないこの小説の不思議な感じを味わうのがいいのではないか、
という気がしている。
普通っぽい小説ではないのが特徴なのだから、
普通さを求めてみてもしょうがないのだろう。
『文学界』3月号に川上弘美(芥川賞の選考委員でもある)と
小山田さんとの対談が載っていて、なかなか興味深かった。
この小山田浩子という人は、どんなテーマとか、あまり決めて書く人ではないらしい。
一方で、わからない話を書きたいということも言っていて、なるほどと思った。
この作家は、持ち味としてたぶんそのわけのわからない感じがいいのだろう。
実際、得体のしれない感じが妙に魅力だったりする。
だから謎を楽しむというのか、
曖昧なものに刺激を受けて楽しめる感覚があればいいが、
はっきりした答えがほしい人には向かないわけだ。
ほかに2つの短編「いたちなり」「ゆきの宿」が併録されている。
「いたちなり」は個人的にとても面白かった。
「穴」にも微妙な笑いが漂っているが、
こちらはだいぶ軽い筆致でブラックユーモアの小説のようにも読める。
私は半ば勝手に、これは誰がイタチか、というような話として読んだが、
それにしてもやはりよくわからなくて、
面白いが解くのが難しいパズルを前にしたような気分だった。
次の「ゆきの宿」は、話が続いているので、
てっきり続編で謎が少しは解けるのかと思ったが、結局何もわからない。
しかし謎めいた部分の意味合いがまた違ってきて、
全く別の小説としても読める感じが興味深い。
わけがわからなくて、しかし考えさせられて、
しかもそれが不思議と楽しいようなこの感じ、
これはもしかして今後どんどんハマってしまうかもしれない、という気もした。
次にどんなものを書いてくれるのか楽しみだ。
紙の本
人生の夏休み
2020/02/04 21:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
都会で慌ただしい毎日を送っていたヒロインが夫の転勤に伴って田舎町に引っ越す、表題作が奇妙な味わいです。正体不明の生き物や不可解な近隣住民に囲まれながら過ごす、無為な日々が心に残ります。
紙の本
奇妙な穴の誘発する不可解な世界?
2015/08/26 18:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:T.H. - この投稿者のレビュー一覧を見る
旦那の実家に引っ越すや奇妙なことが起き始め、不可解な義母、義祖父、隣人・・・実在不詳の男。この実世界でも、ありそうもないことが起きるかもしれないうそ寒さ。