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いきなり解雇された4人の若い派遣労働者。ふとしたきっかけで山形から東京まで歩いて帰ることになる。全くタイプの違う彼らが毎日の生活を共にしていく中で少しずつ本当に少しずつ馴染みあっていく。突如明らかになった大問題に苦しみながらも真摯に対応しようとする彼らに頭が下がる。交わす言葉に涙が止まらない。ずっと一緒に歩いている気分になっていたので、到着間際の彼らの決断には あっぱれ! と言うほかない。
野宿は無理だと思うけど一日歩き続けるのもいいかもしれない。
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自分もひたすら歩くのは大好きだ。何も考えず無心になって目的地まで。目的地に着いた時には、歩き始めた時の気持ちとはまた違った気持ちになっていることに気付く。そしてまた明日からも現実と向き合える…。
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時間は人を変えずにはおかない。
明日のマーチのあとがきにあった石田衣良さんの言葉。20代は棒に振ろうと考えて、周りの友人が有名企業で昇進している間も、自分はアルバイトで食いつないできたという生活をしたことがあるからこその含蓄のある言葉だ。
初めは、こういった単調なストーリーは先の展開が読めてしまったり、変化がないことに飽きてしまうんだよな、と思いながら読み進めていった。しかし、実際にそんなことはなく、合間合間で目頭を熱くさせられること、どうして?と先が気になること、そして、最後には自分も何か意味のない、無駄な、だけど自分の人生にとっては絶対的に有意義な何かをしてみたいと思ってしまった。
青春は中学生、高校生だけのものじゃない。
大人の青春だってあっていいんじゃないか。
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久しぶりの石田衣良作品。
単行本で出た時(平成23年)は、「またいつもの展開か」と思って手が出なかったのだが、ふと、「いつもの展開」に会いたくなって購入。
始まりは、相変わらずふわっとした感じ。
いきなり旅が始まるんだなと思った。誰が中心なのか、視点がはっきりしなかったが、次第に陽介の視点に固まっていく。陽介のキャラクターは、なんとなく作者の分身のようにも思える。
本人の心中は不安でいっぱいで、自信のかけらもないのに、なぜか周りからは信頼されて、要になっていくというあたりが、主人公っぽい。
修吾の訳ありな感じは、あとがきによれば書きながら作っていったらしいが、読む方にしてみれば、「これはたぶん犯罪がらみだな」と予想はつく。
その事件は、実際にあった事件を思い出させるもので、「償いとはなにか」についても考えさせられる。
「誠実さ」がその手段になりうるかどうかはわからないが、誠実さが救いになっていってほしい、という希望は強く感じられる。
中盤からの、一大ムーブメントの描写は、いかにも現代という感じで、ネットでの賛否両論の様子や、渦中にいる者との温度差はさもありなんと思う。いや、現実にはもっと過酷で悲惨で容赦無いものではあるが。
ロードノベルらしいのは前半。最初は文句たらたらだったり、不慣れだったりする3人が、だんだん旅慣れていく様子は、読んでいてとても楽しい。
その分、修吾の過去が判明したり、ネットで有名になっていく後半は読むのが辛くなった。どう考えてもいい結果にはなりそうになかったから。
それをかろうじて回避するあたりのさじ加減が絶妙だなと思った。
うっすらと甘く、明るく、なんとなく元気出していこうと思えるような結末である。
それにしても「真意」や「本意」「本心」なんてものは、ほとんど伝わらないものなのだなあ。伝わるとしたらそれは奇跡に近いと思う。
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石田衣良さんの文庫新刊を読了しました。
相変わらず群像劇がうまいなぁという印象です。
4人の主人公が出てくるのですが、
それぞれに特徴的で、しっかり描かれていて、
まったく飽きずに読み進めることができました。
派遣切りを山形県の工場でされた20代の男性4人が、
なぜか東京まで歩いていくことを決めて、
ひたすら歩き続けるという物語です。
主人公の一人がその旅程をずっとブログに上げ続け、
それが話題となっていったり、
さらにはいろいろな利権団体が絡んできたり、
結局国にからめとられそうになったりするところなど、
やはりリアルを見つめる作家だなぁと思いました。
さらっと読めるいい作品です。
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4人と一緒に旅をしている様な気持ちになりました。
SNSやメールのやり取りで相手の事をわかっているような錯覚が起こります。
身近にいる人がどんな性格でどんな環境で暮らしているのかを本当の意味で知る事は難しくなった気がします!!
何となく(曖昧なの)も良いけれど、たまには本気でぶつかる事が必要なのかもしれません。
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自由に歩くことで見えてくるもの。
歩きながら見つけるもの。
歩くことで見つかるもの。
目に見えるものは、常に新しく、
目に映るものは、いつも新鮮で、
目で見たものは、いつも眩しい。
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読み進めるにつれ、東京に近づいて明日のマーチに加わっていく人々の無責任さに、現実を見たような気がしました。「オリジナルフォー」の小さな気持ちが起こしたセンセーションは実際にはあり得ないかもしれないけれど、誰かのアイデアに身勝手にすがり、乗っかる、人々の性格を見事に書かれていて心に深く刻まれました。
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工場の契約を突然切られてしまった派遣社員の若者4人が、工場のある山形から東京まで歩く。その道中がネットを通じて世に知られ、メディアに取り上げられ、行政やNPO団体をも動かしていく―という物語。
最初は意味づけなんてなかった徒歩旅行が、いつからか非正規雇用の若者の静かな抗議活動といった趣を抱き始める。物語の中心にいる主人公たちも、自分たちが何者で、何を成し遂げるのかなど分からぬまま、世の中の奔流に巻き込まれ、のみ込まれていく。現代社会の流れなどというものは、当人以上にそこに利用価値を見いだした他人の手によってつくられていくものなのかもしれません。
でも、だからといって、主人公たちはただ振り回されるだけじゃない。彼らもまた、流れにのみ込まれていく中で、関わり合うさまざまな人たちから良くも悪くも影響を受け、自らの存在意義を見いだしていく。
刺激的で挑発的な動きが世間的に注目を集めやすい世の中ですが、その中で自分が何を得て、どう生きてくのか。ブレない自分自身を強く抱きながら、他者と関わっていくことがとても意味を持ってくる現代なのではないかと思います。
作中で、政府や行政、メディアの人間がステレオタイプ的に苦々しく描かれているように感じられました。主人公の視点を考えればしょうがないことかもしれませんが、国の中心、メディアの中心で働いている人たちもまた、ひとりの人間。彼ら一人一人にもそれぞれの信念があり、かなえたい希望があるはずです。そのささやかな願いは、主人公たちのそれと大差ないはず。役割は違えど、それぞれがこの社会を動かしていく大切な一部分なのだと思えば、彼らへの見方も変わってくるのではないでしょうか。
この世にとって、主人公たちも、それを取り巻く人たちも、それぞれみんな必要な存在。そんな社会であることを、心から信じています。
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久々に手にした石田衣良さんの作品でした 派遣解除になった4人の男の子達の 友情と成長の物語 一緒に マーチ してる気持ちでドキドキしながら頁を捲ってました
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歩いて歩いて歩いていくと何かが変わって何かがはじまるんだ。歩いていく物語だから石田衣良の小説によくあるスピード感のある話じゃないけど、なんだか一緒に歩いているような気分。爽やかな読後感。
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4人で始めたマーチが、最後にはとんでもないことに。
途中からハラハラしながらだったけど、読み終えたときは、とても清々しい気持ちだった。
あー、僕もどっかに行ってしまいたい。
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現状に満足するわけでもなく,かと言って不満があるわけでもなく,ただただ漫然と生きているのがほんとに生きていることなのかと再考させられる.
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今まで読んだ小説の中でもベスト3に入る。
「東海道五十三次歩いて制覇」の旅と自分を重ねながら、感情移入ができ、面白かった!
他者を意識しすぎた旅ってどうなんだろう?自分もそんな感じ?など、改めて旅、青春というものを考えさせられた。
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読後感がさわやかでした!
山形~東京へ・・突然派遣切りにあった4人が600kmのマーチ・・リアルタイムでブログとTwitter にアップすることで、メディアや政府なども動いていきます。
4人の個性と背負っているものの表現に、心打たれました!
一緒に旅している気分にもなります・・
さわやかな終わり方となりました。
著者の本、何冊目だったかな・・