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近代日本の光と影
2014/04/24 19:22
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やびー - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末から明治維新にかけて、近代日本を取り巻いた人物を「敗者」の立場から説き明かす、著者のシリーズ。
今シリーズでは、維新の敗者である、徳川や会津の立場からの視点で幕末の歴史を読み解く。
本書を読んでの私的な解説をさせてもらう事を許されるならば、ポイントを二つ挙げたい。
一、政治という舞台では敗れても教育というステージで存在感を示し得た事。
二、勝者、敗者の違いはあれど立場による、天皇という「理念(理想概念)」を形成についてと、現代への影響。
以上の二点を論じたい。まず、一、の教育だが、新島氏の同社大学の設立。山川健次郎の東大総長就任。大山捨松の津田塾大学など近代はおろか、現代に影響を及ぼす教育機関に影響を与えた意味での意義は大きい。
政治という、表舞台で敗れても、教育機関を育て人材を輩出した功績は計りしれない。
正直、立花隆著、「天皇と東大」など東大の歴史を書いた書籍を読んだ事はあるが、山川健二郎氏が会津との繋がりを知った時に敗者としての怨念を感じた気がした。
二、に関しては本書でも説明の通り、理想概念(自分達が正しいとした天皇像こそが正しい。理想と違う天皇の意思を歪める君側の奸を源悪とする)としての「天皇」こそが正しいと論じる、思想家は現代にも生きている。
現代の皇室の在り方を右左色々な視点から述べる論壇には「理想概念としての天皇」を理想とし、皇室批判する、自らを省みない思想家の創造力の貧困さを笑いたい。
歴史を学ぶ意味とは、自分の頭で考える訓練になると思う。
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