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ペガサスクラブ主催のコンサルタント、桜井 多恵子氏の書
チェーンストアの実務原則シリーズの1つです。
本書は核商品の販売、特売を扱った書です。あたりまえのことがなんでできていないのかと、はがいい思いをしてしまう思いです。
内容は科学的でわかりやすいです。
気になったことは、以下です。
・オーバストアが表面化した日本の流通業界は、大手企業による寡占化の時代に突入した。
・これから到来する本格的な競争時代に向けて、既存店も新店も一店ごとの生産性を高めなければならない。売上高も問題だが、これまで気にかけなかった収益性がもっと問題だ。
・遠くからの一回限りの来店よりも、固定客の来店頻度が高い方が有利である。前者は低購買頻度だが、後者は高購買頻度になる。すなわち、同じお客が何度も同じものをを買う頻度で来店するので、小商圏ですむからだ。
・核商品とは客層が広く、購買頻度の高いベーシック・アイテムの中から生まれて、大量に売れるマス・メディアをいう。その存在が固定客を魅了し、来店頻度を高める
・核製品は、常時低価格でも、ある一定の粗利を確保でき、品質がよく継続して、調達しなければならない。また、セルフ・サービスで自然に、お客をその商品にひきつけ、その良さを納得させ、繰り返し購入してもらうためのさまざまな方法が必要である。
・驚くことに、特売をかけるよりも、いつも安く売るほうが、儲かる。特売を頻繁にかければかけるほど、販促費がかかるので売れれば売れるほど営業赤字になっていく。
・欠品がでたのに対策をしていないから、売上げが下がっていく。アメリカでは、機会損失が発生しないように棚一本ごとに販売数量と陳列量を正比例させている。
・「これがあるから売りたい」ではなく、「お客にとって、今何が必要だからこれを調達して提供する」が正しい
・チェーンストアは、売る努力をしないでも、お客が自然に買っていく商品を調達することが原則である。
・今売れているものをもっと売ることは大切だが、安定期になったら、広告をする必要はない。
・日本では、チラシ広告と売場が連動していない。実効率は70%くらいだが、アメリカでは、100%である。
・重点販売の目的は5つある。①核商品の育成、②需要を一気に寡占すること、③セルフサービスの完全化、④エキサイティングが感じられること、⑤あらたな生活提案を行うこと
・ナショナルブランドより、プライベートブランドを高く売っている店があるが間違っている。何のためにプライベートブランドを開発したかわからない。
・ホームセンターでは、プロ向けと一般家庭向けを混ぜて販売しているので普通の人には買いにくい。だから、一般家庭向けのみを販売している100円ショップに負けてしまう。
・特売には5種ある。①短期特価特売 一時的な特価で期間がすぎればもとの価格に戻る ②クリアランスは在庫処分のこと、③売り逃げセールは、過剰在庫を減らすためのもの、④マス化セールは、一挙にシェアを獲得して各商品���成長するための育成策、⑤ニーズの充足は、季節特売で、コレクション特売の形をとる。
・期末まで在庫を抱えたままで、セールをするのは望ましくない。死に筋となって、店頭にならべれば、ろくなものがないと客におもわれてしまう。であったら、小幅の割引率をかけて速めに売り切るのがいい。売り逃げセールで在庫を軽減したほうがいい。
・売場で新しいライフスタイルの提案ができるように、商品をグルーピングし直さなければならない。それが重点販売のテーマである。
・同じ購買頻度で低い価格帯、用途が関連する強力な商品グループを作ることを、ライン・ロビングという。
・加えて色や柄などを調和させること、これはプライベートブランドの開発でないとできない。文房具、食器や、レイアウトなど
・対象品目を選ぶのは、店長でなくて、商品部のバイヤーだ。本部で行われることであって、店長が工夫することではない。
・大きなカートを用意しているのは、両手を開けてもらうため。プライベート商品を、みて、触ってもらって、その良さを確認して買っていただくため。カートがぶつからないように、店内の動線(人の流れ)を考えて、店内のレイアウトを作ってある。
・プレゼンテーションとは、商品の並べ方、見せ方をいう。昔みたいに長い時間をかけてショッピングをするのは流行らない。客の要望にそなえて、短い時間で買物をできるようにすることを、ショートタイム・ショッピングという。
・商品の品種は3種がベスト、それ未満だと、他の店と比べたくなったり、4種以上だと選ぶのに時間がかかったり次の機会に伸ばそうとする。ようは面倒な選択と客は考える。なので、3種の商品を、比較しやすいように、同じ場所にならべておくことがベストである。
・接客をするよりも、見ただけだわかるように売場を作ること。どこに何がおいてあるのかが分かれば、人に尋ねることなしに、自分のペースで買物ができる。
・商品がめだつように、工夫をする。フェース:商品がわかるように向きを考える、照明、商品がめだつように、照明を工夫する。POP:おいてあるだけではわからなければ、違いなどをPOPで商品のそばにわかるようにおく。色:ほんとうにめだたせたいときは、黄色。でも多用してはいけない。赤色や、食品と一緒につかってはいけない青色などがある。となりの売場との関連性を保つため、グラデーションをかけたりする。
・売りたい商品は、目の高さに置く。ゆとりをもって手にとったり、確認できるようにおく。
・売れている商品は下においても、分かるので勝手にうれていく。
・磁石売場:売れやすい場所
①主通路に面しているところ
②通路の突き当りで、角の両脇のところ
③各通路と主通路がぶつかった角(ゴンドラエンド) 売りたい製品をどこに置くかをそれぞれ考える。
・売り逃げセールは、店頭ではやらない。奥で広告を打つことなしにひっそりと売る。
目次は以下の通りです。
シリーズ刊行のねらい
本書のまえがき
1 営業企画に基づく重点販売計画
1 売上高予��が達成できない理由
2 営業企画で機会損失を回復する
3 ターゲットの営業企画から学ぶ
4 ターゲットの重点販売・2012年
5 「バック・トゥ・スクール」セールス
2 重点販売の原則
1 重点販売の目的
2 ステープル・アイテムを減らす
3 シーゾナル・アイテムの考え方
4 シーゾナルにうおる生活提案
3 ハイ&ローとESLP
1 特売の種類
2 短期特価特売の弊害
3 ESLPの意味
4 ESLP企業の優位性
5 ESLP導入作戦
4 商品分類と売場関連
1 製品製造業分類からTPOS分類へ
2 新しい分類の条件
3 TPOSの品揃えの考え方
4 大部門組み合わせ(ゾーニング)の考え方
5 ゾーニングによる売場構成の変更原則
5 トータル・コーディネーションの効果
1 PB開発が不可欠
2 見た目の調和
3 素材は実用優先
6 プレゼンテーションの原則
1 プレゼンテーションの本質
2 お値打ちのアピール
3 商品購買の手順 ー 業態問題から解決する
4 核売場の意味
7 プレゼンテーションへの挑戦
1 ショートタイム・ショッピングをめざす
2 プレゼンテーションのモチーフ
3 エキサイティングの演出
4 照明による演出
5 色の常識
8 プレゼンテーションの技術
1 見やすく触りやすい陳列の条件
2 選びやすい陳列の条件
3 陳列の法則
4 省力化対策
9 磁石売場