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紙の本
不思議な力
2019/07/25 00:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yo - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説を読んでいる間、幸せでした。物語的なカタルシスを求める人には向きませんが……。
読みふけっていて、ふと顔をあげると今まで見ていた現実がすっかり変わってしまっているような、そんな力のある小説でした。
紙の本
濃密で異常な内面の世界
2023/10/30 14:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
まともな現実とも、頭のおかしい現実ともつかない、そんな残雪の小説の世界。そこに付き合うには、こちらも心構えが必要だし、長編ならなおさら。だから、初期の「突囲表演」は、渾沌とし過ぎて正直、ついていけなかった。より短い「黄泥街」は、中国の公害垂れ流し工場によって滅びる街を描いた作品で、現実の渾沌さがわかりやすく伝わる傑作だったと思う。
この「黄泥街」から時間が経過し、残雪の作品はグローバルな舞台を選ぶようになった。なんたって、主人公のジョーをはじめ、登場人物はみんなカタカナ。舞台は西側のA国。ジョーは服飾会社の営業部長だが、社長のヴィンセントやそれぞれの妻が登場し、南方の農園や北方の高山で渾沌にドタバタ。伝説をまじえて、何が何だか。いろんな恋人たちが登場する。最後の恋人が誰か、と言われても、わかりませんでした。
残雪の小説における不条理は、カフカにもなぞらえられる。同時に、「黄泥街」の不条理さは、公害問題を経験した日本人にとっても、というか今なら福島第一原発事故を経験中の日本人にとって、肌で感じることのできるものだった。中国という国の不条理さとは、こんなものなのか、と。でも、「最後の恋人」では、そもそも世界全体が不条理な中で、男女がそれでも求め合ってしまい、すれちがってしまう、そんなものなのか、と。グローバルな人間の不条理の限界までが示されてしまう。けっこう、地球全体、頭おかしいんじゃないの? というくらいに。
残雪の短編小説の濃密で異常な内面の世界を読むだけでも大変だけれども、それが長編となって、短編同様の全力疾走となっては、読む方は疲れます。ストーリーを追うよりも、こちらも全力でつきあうくらいしかできないかも。そんな楽しい読書体験をどうぞ
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