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(上下巻共通)
これだけの人が柔道界では無視されているって言うことが信じられない気持ちでした。
現代の講道館のいけすかなさとかもとても印象深い感じ。
政治がからむと小汚くなるってことでしょうかね。
後半では、力道山の印象も酷く悪くなります。(^^;
長生きした関係者が多く、想像より最近の発言があったりするのがびっくりでした。
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近所に力道山のお墓があるのは、子供のころから親に聞かされて知っていて、力道山の事は何かのドキュメンタリーを見て知っていて、木村政彦の事は全然知らなかった。
柔道もプロレスも総合格闘技もわからないけれど、本のタイトルを見て、表紙の写真を見て、惹かれて惹かれて、文庫になってやっと手に入れた。
上巻途中から、読むのがやめられなくなり、読み終わった今もまだ、木村政彦のことを考えてしまう。
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以前から読んでみたかった。文庫化で購入。木村政彦の名前は聞いたことがあったが、詳細は知らなかった。時代とか回りにいる人たちによって状況は変わってくると思うが、正しい?道を進んでいたら凄いことになっていたのかな〜 全盛期の木村を見てみたい。
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下巻はブラジルでのエリオ・グレイシーとの戦いから始まり、力道山との巌流島決戦、その後の人生が描かれる。なぜ木村政彦が力道山との試合に勝負師として臨むことができなかったか。その後もどのように勝負師としての心を失わずにいたのか。それ故いかに苦しんだか。木村への尊敬と愛に溢れた文章が続く。素晴らしいノンフィクションだ。
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読み進めるのが辛い。だけど、読まずにはおれない木村政彦の後半生が、この下巻です。
憎たらしいぐらいに強いエリオ・グレイシーとのマラカナンスタジアムでの一戦は、想像するだけで手に汗握る世紀の大一番。
かなうことなら、この一戦をライブで見てみたかった!
それほどの作者の熱量と筆力のド迫力パワーで満ちていました。
また、上巻での太平洋戦争から敗戦を経ての状況が綿密に語られていたので、この試合が持つ意義や勝利の価値がよりいっそう重く感じられました。
そして、ついに力道山戦。
上巻から読み進めていくと、読者なら必ず木村政彦へ強く思い入れてしまうでしょう。
それゆえに、事実を既に知っている読者としては読み進めるのも辛いです。
でも、同時に「どうしてプロレス興行が今日存在するのか?」を読んで納得できる気もします。
歴史にifはありませんが、もし力道山がプロレスも興行もフェアプレーで臨んでいたら、今日のようなプロレスや格闘技興行があり得たのだろうか? とも思ってしまいます。
そして晩年の木村政彦の苦悩についても語られます。
皮肉なのは、木村政彦自身はエリオの息子ホイス・グレイシーが第1回UFCで優勝する前に亡くなっていること。
それが本人にとって良かったのかどうか分かりませんが…。
プロレスや格闘技ファンには、ぜひとも本書をオススメします!
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戦後の支配下で、嘉納治五郎が柔道の生き残りをかけて東奔西走した結果が世界のジュードーとしてオリンピック種目にもなり、逆に必殺の武術としての強さが色褪せてしまったことを知った。武徳会や高専柔道について、素人には知り逢瀬なかったことが分かり、興味深かった。
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ノンフィクションだからこそ、
寂しい気持ちになってしまった。
地下闘技場って、本当にあったのか。
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牛島辰熊、木村政彦、岩釣兼生、石井慧と連なる柔道の鬼の系譜。
今後三倍努力の柔道家は出現するのであろうか?
柔道(柔術)の日本および世界への伝播の歴史、ブラジリアン柔術や総合格闘技、プロレスの創成期が表から裏から紹介されており、また聞きだった知識、特に武徳会について、が頭の中で整理されました。
混乱が続く柔道会ですが、武徳会や他流派、木村政彦とプロ柔道に関してこの機に総括して前に進むべきでは?と考えさせられました。
噂通りの素晴らしい本でした。近々再読します。
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不世出の柔道家、いや武道家である木村政彦の評伝。前巻の戦前戦中に続いて戦後編です。
占領体制の中で衰退していく武専柔道・高専柔道。生き残りを賭けてスポーツへと向かう講道館。そして覇権を得た講道館によって排斥されていく牛島・木村子弟。
そして生活のためにプロ柔道へと向かいます。しかし、より良い条件を求め木村は牛島のもとを去り海外へ向かいます。そこで、あのエリオ=グレイシーとの伝説の戦いが行われます。
海外でプロレスへと向かっていった木村は、帰国してプロレスの世界に入っていきます。そこに登場するのが力道山。そして、「昭和の巌流島」と言われた試合へ。結局、木村はプロレス界でも排斥されていきます。後年は拓大の教官をつとめ、75歳の天寿を全うします。
作者は「昭和の巌流島」が力道山のブック破りだと非難していきますが、ほんとうにそうなのだろうか?木村自身にも問題があるのではないかと苦悩していきます。結局、この試合を、歴史に翻弄された牛島・木村子弟の魔の刻とし、やはり歴史に翻弄された力道山を配し、「鬼の師弟が、戦争という抗いがたい歴史を、全国民に代わってすべて背負った戦後日本の総決算であった」と総括します。そして、屈辱に耐えながら生き抜いた後半生を「木村は妻斗美と子供たちがいたからこそ最後まで生きられた」と喝破します。
一人の武道家の凄まじいまでの生涯は本当に胸を打つものがあります。戦争さえなければ、さらに素晴らしい経歴であったことは間違いなく、悔やまれるものです。
また、柔道が立ち技中心になっていくことが、寝技を鍛えたヘーシンクなどの外国勢の躍進を許したとしていることは慧眼に値すると思います。
それにしてもいっぱいやくざが出てくるなぁ。
鬼の木村、ブラジルに立つ◆エリオ・グレイシーの挑戦◆マラカナンスタジアムの戦い◆もう一人の怪物、力道山◆日本のプロレスの夜明け◆倍達の虚実◆団体旗揚げをめぐる攻防◆木村は本当に負け役だったのか◆「真剣勝負なら負けない」◆木村政彦vs力道山◆海外放浪へ◆木村政彦、拓大へ帰る◆復讐の夏◆木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
第43回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回新潮ドキュメント賞
著者:増田俊也(1965-、愛知県、小説家)
解説:板垣恵介(1957-、釧路市、漫画家)
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中途半端な気持ちで読んじゃいけない気がして、買ってから約3年読んでいなかったけれど、意を決して読んだ。むせかえる程の漢臭と膨大な資料調べとインタビューは圧巻だった。そして無敗時代の試合の様子にワクワクした。
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間違いなく『空手バカ一代』&『燃えよドラゴン』世代である。悪ガキ共が手製のヌンチャクを振り回しながら奇声を上げ、とある友人は極真空手を学ぶべく故郷を出奔したあげく不審者尋問にひっかかりあえなく強制送還された。ブラウン管の中では端正過ぎる竹脇無我が姿三四郎を演じていた。そんな格闘ファンタジーの中で育った私には戦後混乱期の闇に蠢く格闘界の巨人(木村政彦、力道山、大山倍達等)の実像は壮絶でもあり夢から覚める思いでもある。何よりも驚いたのは本書読了後YouTubeを検索して見た好々爺のような“鬼の木村”晩年の姿。
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【選んだ理由】
アマゾンの評価が高かったから
【読んだ感想】
格闘ファンでない私でも非常に楽しく読めた。最後は少し冗長だったが、緻密な取材でひきこまれていった。
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純粋な柔道の申し子であり木村の後に木村なしと言われた、木村政彦が戦争の混乱に翻弄されて、妻の薬代を稼ぐために魑魅魍魎渦巻くプロレスの世界の渦中に引きずりこまれる。そして、目の前に立ち塞がったのは戦後が生んだ怪物である力道山だった。筆者が18年もの歳月をかけて追いかけた木村政彦という男、柔道の鬼。臭気とともに、まるで汗ばむような勢い筆様で、上下巻1000ページの長さを感じさせないくらに読ませてくれる。圧倒的完結。読後はまさに少しばかり胸をはって肩で風切り歩きたくなる。
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筋肉質の大きな身体の男性が、アップに写る表紙、そして刺激的なタイトル。
この本が単行本として書店に置かれていた時から、「どんな内容なのだろう」と気になっていました。
しかしあまりの分厚さに躊躇っている間に、時は流れてしまいました。
記憶から薄れかけていたところ、上下巻の文庫となって平積みされていたので、今度は迷わず、レジに運びました。
「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた柔道王、木村政彦の生涯を追った、ノンフィクションです。
熊本の貧しい家庭に育った、木村少年。
その彼が日本一の柔道王、牛島辰熊と出会います。
彼が待ち受けていたのはまさしく、「鬼」の猛練習。
師弟が目標にしたのは、開催不定期の天覧試合を制覇すること。
「強くなりたい」という一心で、人の3倍、9時間とも10時間とも言われる壮絶な練習を積んだ木村は・・・という展開。
戦時中に柔道界トップに登りつめ、全盛期を迎えた木村。
しかし戦争による大会と練習の中断、戦後の柔道の組織統合・ルール変更。
師匠と離れ、抑えられていた奔放な性格を御せず、体力も経済力も堕ちていく日々。
その先に待っていたのが、もうひとりの怪物、力道山。
著者は木村の戦闘能力と、力道山の興行主としての力量を、詳細に検証していきます。
そして格闘家としての名声が地に落ちた木村が、その後どのような人生を歩んだのか、多くの関係者の証言を交えて、トレースしていきます。
一人の柔道家・格闘家の人生を追うということが主題になっているのですが、その副流として、数多くの要素が織り込まれているなあと、感じました。
主だったところを挙げてみます。
・柔道の成り立ちと講道館という存在、スポーツ競技としての柔道、立技と寝技
・師匠と弟子との関係、思想を持つ人間/持たない人間
・究極まで鍛えた人間の強さ
・武道としての格闘技と、プロとしての興行
・ブラジルの日本人移民の歴史と、柔道の世界伝播
・戦中/戦後における在日朝鮮人の意識の変化
・家族愛
上下巻通じて1200ページ近くある大作ですが、本流と副流のバランスが良いこともあり、次へ次へと、読み進めました。
格闘技に全く興味が無い人には辛い分量かもしれませんが、20世紀という時代を振り返るという意味でも、魅力がたくさんつまった作品だと思います。
読了後は、この本で触れられている試合を動画サイトであれこれ、見てしまいましたよ。
久しぶりに、「読み応えのあるノンフィクションに巡り合えたなあ」と感じた、力作でした。
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上下巻を通じて,一気に読んだ。木村・グレイシー戦の動画を見て震えとしびれのようなものを感じたが,本書の文章は眼差しの暖かさと熱意に満ちている。筆者が力道山への敵意に駆られているという印象はあるが,グレイシー戦の王者たる風格を見れば,納得というか,これまで木村という人を知らなかったのが恥ずかしいくらい。迫力の長編木村弁護だね。強さだけじゃなくて,周囲の人間との間での振る舞い,弱さ,時として醜さ,いろんなことを感じさせてくれる素晴らしい人間ドキュメンタリーでもあるから読ませるのでしょう。