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本谷有希子作品を初めて読んだけど、
思っていたほど衝撃的ではなく、まさにぬるいというか
生ぬるい中で人を精神的に追い詰めていく感じ。
ちゃんと理解はできなかったけれど、
他の作品も読んでみたい。
2014.7.23読了
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この作家さんはいつもこんなふうに考えながら生きてるのだとしたら、生きるの大変だろうなあって思う。私も面倒くさいほうだけど、この人は狂気というか脅威。でも嫌いじゃない。友達にはなれないけど。
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比喩がと形容が独特。これは復讐をしたかった少女の物語であり、独り相撲の物語。共感する部分は多かれど、理解には今一歩届かず。
主人公の少女の自意識がそもそもの元凶なのではないのか、という気もするが、登場人物の鼻持ちならないキャラクター性は太宰の親友交歓なみに本格的。
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生ぬるい。沸騰もしない。ポコポコと湧き立つ沼。
気分の良い瞬間がない。救いはほぼない。後に残るは、全員が自身の首を意識的にも無意識的にも絞め続けているかのような、強烈な息苦しさと不快感。
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エキセントリックな女の子ものではなく、嘘の毒牙に酔わされつつ逆襲を画策する、内面に潜り込んだ小説。
痛快さはない。
精神面における崩壊感覚。
初期のエキセントリックな「痛い女子」
→本作
→じんわりと描かれる「痛い女」
その分岐点。
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舞台で観てから、原作を読了。
舞台で見た不快感と原作の不快感が、同じであり大きく異なっていて、
両作品とも、とても素晴らしいと思いました。
人に勧める作品ではないけどね。
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ざっくり言うと、若い男女の、恋のような恋でないような人間模様の話。
面白かったかどうかは置いておいて、まず主人公の女の子の自己愛?自意識?が強すぎて、どこまで真実か分からない。まあそれは、誰にでも当てはまることなのだけれど・・・
主人公のお相手である男の子、かっこよくて魅力的だけど嘘つきで人でなしという設定だけど本当か分からないし
主人公も、昔は垢抜けてなかったけど今は芸能人になれるよって言われるくらい美人ていう設定だけどそれも分からないし
だって物語が一人称で語られてるから。
面白かったかどうかでいうと、それも、うーん。なんかこう、生ぬるいんだよなあ・・・。
でもタイトルが「ぬるい毒」だから、何とも言えない。絶妙なとこついてくるなあという感じ。
本谷有希子を初めて知ったのは、映画「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」。すごく面白くて、その原作が本谷有希子の舞台で。じゃあ舞台も見たい!ということで見た初舞台が「幸せ最高ありがとうマジで!」。それも良かったので次に見たのが「来来来来来」。これもまあよかった。
小説は、難解さが回りくどくて分からないときもあれば、痛快なときもあるので、あまり期待はしてないけどやめられない。
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本谷有希子ワールド。主人公は、分裂気味。スパンが長いのに、主人公にとっては、先週程度に感じているように思う。向伊たちのサディスティックな遊びは主人公の思い込みなのかなんなのか、わからない。ただひとつ、女、女どもと呼ばれる種類の女たちに対する嫌悪感には同感。この小説の解釈を聞きたい。興味ある。
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タイトル通りじんわりとぬるい毒が体内に巡っていくような、しんどい読後感。ガツンとした衝撃はないけど、確実にダメージを受けた気分。
私は本谷さんがおっしゃるように(あとがきより)、熊田は向伊に恋をしてはいないと思う。だけど強烈に引き込まれているのは確かで、そこまで魅力ある向伊に会ってみたい、人を平気で嘲笑える嫌な男なのに会ってみたいと思ってしまう。それが熊田が(ある意味)虜になった向伊の魅力なら、怖い。ラストは熊田の徹底的な逆襲が見られる訳でもないところがまた、こちらをじんわりと重たくさせる。
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自意識、
その生き残りをかけた壮絶な戦いの物語。
自分を保ちたい。自分が相手をコントロールしていると思いたい。自分の思っているように世界を回したい。
もし、そんな想いが崩されたらどうなるのだろう。自意識をずたずたにされたらどうなるのだろう。傷つけられることは怖い。
でも、自意識との戦いに本書はヒントをくれる。自意識を引き裂かれることに恐れはある。ただ、思うほど悪いものでもないかもしれない。
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結局 主人公目線の世界がどこまで本当で、本当の世界はどんななのかな?!
と 考えずにはいられない おもしろさ。
序盤では話が掴みきれずになかなか興味がそそられなかったけど、中盤からは 結末に何が待っているのか…?!と前のめりで読んでしまった。
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しんどい読書だった。主人公はコンプレックスの塊の自意識過剰人間なのだが、個人的にとてもよく共感できてしまって苦しい。さらに、出てくる男がどいつもこいつも人を舐め腐ってるタイプの最低な人間で、主人公を何度も精神的に辱めるものだから、気分が悪くて人間不信が悪化しそうになった。復讐劇を成功させて欲しかったけど、実際にこういう人たちに自分で復讐を果たすのは極めて難しいのは分かるし、自分は立ち向かったんだということで満足するのができる限りの最高の落とし所なんだと思う。最後に主人公が言う、笑われるのも慣れれば良いものだ、というのは私には理解しかねるしそんなことに慣れたくはないと思うが、決定的な反抗を示すことで嫌な出来事も気持ち的にすっきり決別できるのは確かだよね。だから、不当な扱いをされても毅然と反抗できる人間になれたらいいけど……。
文章は正直うまくないと思うけど、爆発するようなエネルギーが感じられる。溜まりに溜まった負の感情に基づく反抗というような話を本谷有希子はいつも書いてるイメージだが、なんでそういう話を書くのか気になった。
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あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで――。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。
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一文一文が独創的ながら的確。例えば、黒鍵の上を歩いているような男だとか、顔を旅行できるだとか。同時に、全体としてのうねりにも引き込まれ、圧倒される。
類型化した理解というのは追いつかなくて、読めるのだけれど分からない、でも引き込まれるというところになる。精度よく丁寧に書かれたものから「分かる」ような何かを見つけ出すのは困難だけれど、それでも入ってくる。
「好きな男ができた、行動は完全に彼に引きつけられている、そのことを自分で認められず悪い感情を抱いている」なんて構造が一方でミエミエなのに、一方では移入して狭い視野を共有せずにはいられない。そして現実・建設的な思考・妄想の境界が崩れていく。
「23歳」というモチーフも印象的。あとは、金目当てだとわかった時のみじめさとか、処女のこじらせた欲求だとか。
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「嘘にはその人の個性がどうしようもなく出ると思う。…向井が嘘を吐く。その時間が自分にって貴重だった。」
第三者から見れば滑稽にしか思えない嘘も、主人公にとってはため息の出るような嘘であり、恋だったのかもしれない。しかし、緻密に練られた嘘は次第にメッキが剥がれ落ち、段々とその精度が落ちていく。騙されている自分を演じることに陶酔したり、後半、笑われ慣れることに病みつきになるなど、主人公の自傷的な考えに、どうしても共感はできなかった。