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存在の証明。この本を読んでて思い浮かんだ言葉。小説とは何か、についてつらつら述べられているだけではなくて、人が存在するとはどういうことか、をずっと考えさせられる一冊でした。ちょっと読みにくいけど、面白かった。
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「叔父は文字だ。文字通り。」
そんな文章から始まるこの小説は、言葉遊びのような文章を並べて、文字、言葉、文章といったものを風変わりな視点から述べている。のだと思う。
一読しただけでは理解できたとはとても言い難い。翻訳小説のような、言葉の意味は分かるのに、文章の意味を捉えられないもどかしい感覚。
あと2回ぐらい読めば、少しは分かったと思えるようになるだろうか。。
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難解といえば難解だけど、文体がしっかりしているから読みやすい。
ネタバレになるので詳しく書かないけれど、表題作の「これはペンです」と、もうひとつの収録作品「良い夜を持っている」のつながりに、ある場面で気づいたとき、思わず「うわっ」と声が出そうになった(^^ゞ
勘のいい人なら、もっと早く気づくのかもしれないけどね。
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大好き。
言葉に対して、会話に対して、世界に対して、人間に対して、私にはわかんないことがある。
私には不安なことがある。
ソレを発信した存在が意図したものとは、違う意味を、自分は見出しているんじゃないかという不安。
私が発したものが、全然違う意味をもって相手が受信しているのではないかという怖さ。
並べたデータ群の中に、見当違いの意味を見つけてしまっている可能性について。
そういう、常につきまとう怖ろしさのお話がここにあった(ような気が、今回はして、)こんなに笑えて、でも温かい(ような気がして)、そんなどれもこれもがたとえ円城さんが意図したものと違ったとしても、私は今回少し救われた。
おもしろかった。これも大好き。
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“わたしが計算機室で見出すのは、ループに落ち込み、くるくると虚しく回っている判定プログラム。複数の分岐したルーチンたちが活発に互いを牽制しつつ、分岐の先のどの結論を議決するのか、盛んな言い争いを続けている。計算はそうして続いているが停止をする様子は見えず、結論が導き出される気配はない。健忘症に襲われた登場人物たちが自分たちでは気がつかないまま、堂々巡りの議論を続ける。
抽出された叔父の特徴たちは互いに互いを論駁しながら、どこかの結論へと落ち込むことを拒否し続ける。
ドアを蹴破るようにして登場したわたしが突きつけたプリントアウトを乱雑な机の上に放り出し、教授は降参するように両手を挙げる。
「二十四」
と眠そうに重い瞼を持ち上げつつ、教授は問う。
「二十四」
とわたしは答える。”[P.99_これはペンです]
少し泣きそうになる。
よいよる。
「これはペンです」
「良い夜を持っている」
“父は絶えず、このような想起に直面していた。何かを覚え、思い出し方を設定し、思い出し方を思い出し、何を思い出すのだったかを洗い出し、自分が何を知らないのかを選別しては拾い続けた。自分の袖に赤い光が灯るのを見て、思い出すべき単語は、父だったのか、袖だったのか、腕だったのか、肌だったのかを自分で決めねばならなかった。
父がその技を自在に扱えるようになるまでは長い時間が必要だったし、達成できたかどうかは意見が分かれる。”[P.157_良い夜を持っている]
20170504 再読
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ああこんな感じ方もあるのかと、頭の奥で思考がぷちぷちはじけて気持ちよい。数学の概念を理解しようとするときの感覚そのままなので大好きです。
脈絡なく思いついたものから次々と連ねただけのようにしか見えないのに、グッときたことばを一節抜きだしてみたらそれだけでバラバラになってしまった。ごちゃごちゃと考えてまとまらないことをむりやり要約してみたら意味が全部取れてしまったときみたい。この感覚のことまでうまく言葉にされているので恐れ入ってしまいます。
理系はロマンチックだ
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シュールだ!
こういう設定の物語は人を避けされるか、いれ込ませるかのどちらかなのだけれど面白かった!
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【第1回「IN★POCKET」文庫装幀大賞作!】
詳細はこちら↓
http://booklog.jp/special/pocket_bookcover
【装幀・デザイン】
新潮社装幀室 北澤平祐
【あらすじ】
叔父は文字だ。文字通り。文章自動生成プログラムの開発で莫大な富を得たらしい叔父から、大学生の姪に次々届く不思議な手紙。それは肉筆だけでなく、文字を刻んだ磁石やタイプボール、DNA配列として現れた--。言葉とメッセージの根源に迫る表題作と、脳内の巨大仮想都市に人生を封じこめた父の肖像「良い夜を持っている」。科学と奇想、思想と情感が織りなす魅惑の物語。
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本屋さんで見かけて装丁が可愛くて購入。
初円城塔作品。全然知らない作家さんでした。
冒頭の文章で「星新一ぽいの?」と思いながらも
読んで…「これは読む人をとっても選ぶ本だ!」と
読み始めたことを少し後悔。。私は多分選ばれない、と
思いつつ読み進める。
『良い夜を持っている』を読了してなんとか納得できた
解説の言葉を借りると私は「物語を欲しがる」タイプの
読者なんだろう。
英語の"This is a pen."と"Have a good night."に少しクスッとしてしまう
たまーに読むならアリかな、毎日円城作品はちょっと無理(^ ^;)
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なんか面白くない。教科書みたいで何度も寝た。
イメージが浮かびにくく、断片的に浮かぶシーンが夢を見ているような感じ。期待していただけに残念。
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著者の作品はSelf-Reference ENGINEと屍者の帝国(共著作)しか読んだことがないのですが、その中では一番読みやすかったです。小説なんだか小説論なんだか。表題作より「良い夜を持っている」の方が好みかな。というか表題作はよくわからなかったので…再読します。ところどころ出てくる科学用語に知らないものがあって少し勉強になりました。
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難しいことは考えないようにすると遠回りする家族の話に見えてきて、そう思えてくるとちょっと好きになれそうな話に思えてくる、そんな感じ。
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小説の小説であり、機械と人間の小説でもある。筆者が何度も試みているテーマだけれど、そのたび違う視点で、違う混乱を連れてきて、違う興奮を呼び覚まして、つまりすごく面白い。真面目なのかふざけているのか判らないところと、あとすこしで理解できそうなところで突き放すところが大好きです。SFマガジンで新作連載するそうで大層楽しみです。
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いつも通りの変態的なメタ小説。タイトルから察しはつくが「書くこと」について書いた小説で、OjiがMoji。ユーモアが冴える。セルフリファレンスエンジンの時はむちゃくちゃ笑えたが、しかし今作はそれだけではなく叙情的でもあり、世界とか空気とか、そういうものが味わえる小説になっていた。表題作「これはペンです」は白眉。もうひとつの「良い夜を待っている」もかなり良くてラストはむちゃくちゃ好きだが、ちょっと雑な感は否めない。難解な議論や問題を引用するのがいいが、いちいち「ややこしい部分は専門家に任せるが、」みたいな注をつけられるとさすがに鬱陶しい。
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頭のいい理系の人が書いた小説だということはすぐわかる。アイディアが斬新で、こんな小説があるのかとびっくりしたのは、私が理系頭ではないせいか。ものを書くとはどういうことなのかと、改めて考えさせられた。
切り貼りの件では、某大学で、自分で独自に執筆した文章を一字一句たりとも交えてはいけないというレポートが課されたという記事をいつだったか読んだのを思い出し、くすっと笑ってしまった。
が、私の好みはストーリーテラーなので、星3つでごめんなさい。