天才たちの競演 ２ ビッグコミック創刊４５周年 （ＢＩＧ ＣＯＭＩＣＳ ＳＰＥＣＩＡＬ） みんなのレビュー

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投稿者：みなとかずあき　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ビッグコミック創刊４５周年記念の企画本第２巻。
帯には「最高峰が集った」とあるが、まあ好みや其の他の問題もあるのでしょうから、これがビッグコミックの考える天才たちということになるのでしょう。
第２巻に収録されているのは、
水木しげる
高橋留美子
安倍夜郎
太田垣康男
細野不二彦（原作は石ノ森章太郎）
なかいま強
星野之宣

水木しげる「その後のゲゲゲの家計簿」
現役（？）で天才の名を冠しても良いのはもうこの人くらいでしょう。作品としては、副題に「「ビッグコミック」創刊の頃」とある通り。いかにも記念企画らしい話。

高橋留美子「リベンジドール」
高橋留美子が冴えわたる話。『うる星やつら』『らんま１/２』などより、こうした短編の方が好きですが、それは個人の好みの問題もあるでしょう。

安倍夜郎「歌の文句じゃないけれど」
歌謡曲をもとにした短編を３作収めている。見ようによっては、水木しげるの３倍のページをもらっているので、これまた天才と言っていいのでしょう。「知りたくないの」「年下の男の子」「ベッドで煙草を吸わないで」と、昭和の時代を思わせもする、さりげない日常を描いている。

太田垣康男「機動戦士ガンダム　サンダーボルト外伝」
こちらも前後編で、他の作品に比べるとボリュームがある。私はガンダム世代ではないので、本編とどのように関係があるのかよくわからないが、これだけでも十分楽しめる。

細野不二彦「贋作　佐武と市捕物控」
別に何が悪いというわけでなく、ストーリーだけを見ればいかにも『佐武と市』なんだけれど、石森ファンとしてはこの絵柄でやられてはたまりません。何か違うんだよなあと思ってしまうので、楽しめませんね。

なかいま強「黄金のラフ～マイトのステータス～」
こちらは、通常の作品の番外編的で、本編を知っているともっと楽しめるのでしょうが、これはこれでゴルフものの短編としてでも十分かと思われます。

星野之宣「宗像教授シリーズ　スサノオ最後の戦い」
さりげなく宗像教授が復活していたようです。こういう作品があると、記念企画だなあと思えます。しかも扱っているのはスサノオ。宗像教授シリーズでは何度か取り上げられていますが、今回は群馬を舞台に最新の考古学的情報も交えて描かれており、改めて楽しめるものです。

以上、全２巻の天才たちの競演となるわけですが、確かにある種今の日本のマンガの到達点をそれぞれ示しているようにも思えます。
自分が歳を取って、馴染みだったマンガ家たちが姿を消していく中で、さらにこのようなマンガ家たちやその後に続く世代を知ることができて、さすがビッグコミックだという感じです。