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思いのほか、良い作品だった。
美穂の言葉:旦那や彼氏や愛人では駄目な時ってあるもの。ただ話を聞いて優しくしてもらいたい時があるよね。でも女ともだちじゃなくて、そこはやっぱり男ともだちじゃなきゃ埋められない。…でも、近付き過ぎてしまったら失っちゃうもんね。
特別な存在である男ともだちを、失うことが怖い神名と、失ったことを悔やむ美穂。
露月さんが神名に伝えたように、『先に進むために自ら進んで失うことにした』こういう生き方もあるのかもしれない。
ハセオとまではいかなくとも、みんなこういう特別な存在っているのかな。と、自分自身を振り返りながらぼんやり想った。
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仕事や現状への鬱積した不満不安をさらりと流してくれる男友達。
実際こんな都合のいい関係の男友達がいたら関係を壊したくないと思うのは当然な気がする。相手もそう望んでいるのだし。
作者の技量にひっぱられて最後までいっきに読めた。
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「・・どうですか」と、よこの人にふってみたい気もするけれど、性別関係なく、強く関心が持てる相手がいることに満たされるし、この人は(放っておいても)大丈夫だと思える誰かの存在が、存在することが自体が癒しでありちからになる。あえて「男」ともだちとする感覚は自分に無いものだけど、神名の根っこの部分にある異性への不信感を考えると、このタイトルになるかな、と。スマイソンの手帳とか、個々のアイテム選びが隙なくお洒落だけど、常に自分にベクトルが向いてる特有のかんじをぎりぎり感じさせない。終盤、想像とはちがう展開にほっとした。
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#読了。イラストレーター神名葵は、恋人と同棲しながらも医師との不倫も。学生時代からすぐに男と寝てしまう神名だが、大学の先輩の”ハセオ”だけは別だった。バーの露月のセリフが秀逸。ラストは最近の・・・といった感じが残念でもあり、ほっとしたところもあり。
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同棲する恋人がいながら、妻子持ちの愛人もいるアラサーのイラストレーターが主人公。
自由奔放に見えるけれど、精神的に不安定で傷つきやすく、仕事にも自信を失いかけている。恋人は干渉しない代わりに冷淡で、愛人は支配欲の強いオレ様系。どちらともうまくいくはずがなく、また本当の愛情もないのに離れられない。
唯一、心も体も安らぎを感じられるのが、大学時代からの男ともだちハセオだ。が、添い寝はしても一線は越えない彼との関係が、さらに大きな不安を招く。
元々、仕事をする女性の小説として書き始めたそうだが、核になるのはハセオとの関係だ。
お互いに、家族より恋人より分かり合える存在として愛し合いながらも、結ばれることはない。作者の丁寧な描写によって、読んでいて切なさが募る。幻想的な雰囲気はまったくないけれど、デビュー作「魚神」の姉弟の関係にも似ている。
次々と相手を変え、女性とは深みにはまらない関係しか持たないが、主人公が弱っているときにはいつも側にいてくれるハセオが魅力的。もう少し、彼の過去や弱味も描いてほしかった。
作者の言葉は、感覚的に心の奥底まで響く。が、主人公にとって都合のいい男ともだちを、男性読者ははどう受け止めるのだろうか。誰かに聞いてみたい。
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読みながら、ハセオみたいなやついるわけないじゃん、というくさくさした気持ちと、あぁ、でもいてほしいという甘美な気持ちが交互におそってきた。
それは、神名の気持ちの浮き沈みに否応なく感情移入してしまってどうしようもなかったからだと思う。
照れくさいような、むず痒いような、恋愛ではない関係をこうもまざまざと見せられると、こんな読後感を味わうのか。はじめてかもしれない。
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相手の腕枕で一晩一緒に寝ても、何も起こらない。
体の関係は一切なし、キスだってしない。恋人ではない、特別な男友達。
そんな居心地が良くて、何かある度頼りたくなるような、気の置けない存在のハセオ。恋人も愛人をしている人だっているけれど、それでもそばにいて心から笑えて安心出来るのはハセオだけ。
それって確かになんか、ずるい気がするよなぁ。
そういうのを果たして「男友達」と括って良いのかも判断に迷うところだし。
私だったら友達だなんて割り切れないしなぁ。っていうかそれだけの条件揃ったら、惚れてまうやろ。
一緒に寝ても何もないっていうのも、相手の男が女性的な感じだったらわかるけど、雄の匂いプンプンの男だからね。
とまあ色々言いつつも、ハセオみたいな男友達、ちょっと良いなぁって思ってしまったり。泣きたい時とか心が弱ってる時とかも、大きく包み込んでくれるような気がして。都合の良い関係なのかもしれないし、双方に恋人がいた場合は相当やきもきさせられるだろうけど(むしろ恋人側だったら嫌だけど)。
あとエセ関西弁はいただけないけどね。エセはあかん。
そして露月さんのいい女っぷりには痺れる。やけに色っぽい仕草も決まってて、言ってる事もなんかいちいち格好良い。
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ハセオとの関係は神名にとって無条件の愛を注いでくれる父親のような存在。愛人の真司は不倫だからお互い様だけど、同棲していた彰人はかわいそうだった。いくら創造的な仕事をしているにしても。
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彼でも愛人でも無い、真のともだち。
異性じゃなくてもそんな純度の相手って限られるし成立が難しい。でもまさに友達。
作中、なんだかずるい響きだ、というようなことも言われるが、ずるくたってなんだって、ともだちなんだから仕方ない。
何も見返りの無い、友愛。忠実ではないけど、ハセオはナイトのようだ。
こんな悪態付けるナイトなら、感覚として傍にいて欲しい。
愛する事とは、の問いに対するハセオの答えは、
なんてまっすぐなんだろう。
心情もだけど、雪が金色だったり、トーストがさりさりしたり、視覚・音の表現に共感するところが多数あり。
作者と世代がほぼ同じだからかな。
とても丁寧な物語。
この余韻で、絵が描けそう。
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男女の友情が成立するかという永遠のテーマを題材にした恋愛物語。恋愛依存症的な主人公の自業自得な話だなと思ったり、男ともだちのハセオが単に美味しい役回りだっただけのような気もするが、最後まで飽きさせることなく、読者をぐいぐいと引き込んでいく上手い作品だと思った。
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それなりに面白かったです。
というか、久しぶりに★5つをつけてしまった。
「男女の友情は成立するか」という話かもしれないが、
神名にとっては「男ともだち」でも、ハセオにしてみると「女ともだち」ではなく神名のことが好きなのだ。
その「好き」が少し特殊なのだが、だからこそ、このような関係が成立していると思う。
よく親が子供のことを「愛している」というが、これは「自分の子供の幸せが自分にとっても幸せ」という感じの「愛」である。言い換えれば、相手が一番幸せな状況になることを最優先して、そのために自分がどのような立ち振る舞いをするのが良いのか、と思う気持ちなのだ。それが苦になることもなく、犠牲になっていると感じることもない。もちろん、肉体関係を持つことはやぶさかではないが、それがその女性にとって中期的に幸せなことなかどうか、という視点で考えるのだ。
そんな男がいるのか、ということについては極めて稀有なことだと思う。男が既婚者で、なおかつ、妻ではない女性に対して圧倒的な気持ちを持っているなら、あるかもしれない。何故なら、その女性の全てを引き受けているわけではなく、いわばパートタイム的に受け止めるだけで良いから。
ハセオ(男)が神名(女)とそんな関係でいることが嫌なら、さっさと決別して別の女性と幸せな関係を築けば良い。恋人でもないし、まして結婚しているのではないので、いつでもそんな関係性を解消できる。
それなのに、ハセオ(男)が神名(女)と離れないのは、ハセオ(男)が幸せだと感じているからなのだ。神名(女)に都合よく利用されているという見方があるかもしれないが、それはハセオ(男)もわかっているわけで納得済みなのだ。圧倒的に強い想い(愛情)を神名(女)に持っているということ。
非現実的というか幻想(ファンタジー)と言っても良いかもしれないレアなケースかもしれないが、そんな話があってもいいな、と思って★5つ。
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文章がすごく上手!グイグイ引き込まれて、最後まで飽きることなく読み進める。他の作品も読んでみたくなった。
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男が多い学校ってこともあって、学生の頃は
女ともだちよりも男ともだちの方が多かったように思う。
今はそんな男ともだちも結婚して、子供も持って、
疎遠になってしまった人が多い。
ハセオと神名がうらやましく思えた。
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異性の友だちは同性の友だちと違って仕事の相談がしやすそう。
男の立場からだと、そうではないかもしれないが。
ひとりくらいそんな何でも相談できる男ともだちがいたら、生活にハリが出そう!?
しかし、オシャレな表紙。
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世界への引き込まれ方がすごい。
ページをついめくっちゃう。
男女の友達って、自分の意図しないところで急に崩壊せざるを得ない状況に陥ったりするけど、環境にも自分にも負けない関係って素晴らしい。