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紙の本
昭和の家庭はこんな風であった
2021/08/25 15:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和30年に『プールサイド小景』で第32回芥川賞を受賞した庄野潤三は1921年2月9日生まれで、今年生誕100年を迎えた。
2009年9月に88歳で亡くなったが、今でも庄野文学を愛する読者は多い。
今でも新しい文庫本が出版されることもあって、今年の2月には読売新聞で「静かなブーム」と謳った記事も出ていたようだ。
その記事の中で庄野の長女が「父のファンの方は、熱心に本を読み、雰囲気がよく似たいい人が多い」とコメントを寄せている。
この小説は庄野が芥川賞を受賞した昭和30年に日本経済新聞に連載された家庭小説である。
大阪からまだ麦畑の残る東京の郊外に越してきた矢牧一家の何気ない日常の姿を淡々と描いた作品ながら、この作品が発表されてすでに60年以上経つが今でもファンが多い庄野の代表作のひとつだ。
矢牧家には三人の子どもがいる。小学4年の正三、2年になる妹のなつみ、まだ幼稚園にもいかない四郎。
引っ越してきたばかりの矢牧と千枝夫婦は知り合いもいなかったが少し離れたところに心やすい隣人ができる。
小さな世界ではあるが、現代のようにぎすぎすしていない。
時間の進み方がまるで違うように感じてしまう。
それが庄野潤三の文学の魅力ともいえる。
おそらく庄野の長女が「雰囲気がよく似た」人というのは、少なくともそんな時間を愛する人たちなのかもしれない。
親が親として、子が子として、そこにあたたかなものがあった時代の、家庭小説の名品といえる。
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