昭和の料理研究家、エッセイストの佐藤雅子氏の心温まる一冊です!
2020/06/20 11:46
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、料理研究家、エッセイストで知られた佐藤雅子氏のエッセイ集です。佐藤氏は、昭和40年代から50年代にかけて、婦人雑誌などで理想的な家庭を披露し、当時の女性のあこがれの的でもあった人物です。内務官僚であった佐藤達夫氏(のち法制局長官、人事院総裁)を夫にもち、毎日手の込んだ料理で家庭を明るくしてきた同氏の心温まる文章が同書に収録されています。初針仕事の指抜きづくり、初夏のティーパーティー、秋のいんげんを使ったピックルス、年こしのための支度などどれ一つをとっても懐かしい昭和の日々が思い起こされます。同書では、「初しごと」、「毘沙門天を支える女人像」、「折り鶴のたとう」、「台所のこと」、「お砂糖で作ったあめん棒」、「着物のこと」、「二月の花スノードロップ」、「月末スープ」、「雛祭り」、「憲法起草のころ」といったテーマで興味深い話が語られます!
思ったほどでもなかった
2017/06/18 08:09
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投稿者:こいし - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐藤雅子さんの料理本は、保存食や洋風料理のバイブル的な存在で、長い間大切に使っています。この本は入手できなくて、ずっと欲しかったので、再出版されたと聞いて、すぐに購入しました。
でも、思ったほど新鮮な情報、心に響くものはなく、残念でした。佐藤さんの本を使い込んでいる読者にとっては、あまり得るものはないかもしれません。
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図書館で本を返したあと、珍しく受けとる予約本もなく、面陳棚をぶらーっと見ていたら、この本が目に入って、なんとなく借りてきた。文庫カバーの袖にある著者略歴を見ると、1909年うまれ、1977年に亡くなったこの人の夫は、元人事院総裁の佐藤達夫氏とあった。
佐藤達夫の名は、『日本国憲法の誕生』で見たおぼえがある。法制局部長で、日本国憲法がつくられていくときに深く関わった人だ──と、思っていたら、一月から順に、月ごとの暮らしぶりを書いた中に、三月「憲法起草のころ」という文章があった。
▼昭和22年3月4日の晩、これまでだまって家をあけたことのない主人が、いつまで待っても帰ってまいりません。物騒な時代のことで、私と娘たちは一睡もせず朝を迎えたのでございました。(中略)
6日の朝、主人の帰りを待ちながら立ちつくしておりますと、坂道をはうようにしてのぼってくる主人の姿が見えました。とても生きた人間の顔ではありません。GHQ(当時の占領軍総司令部)で一晩、首相官邸で一晩、二日二晩ぶっつづけの徹夜作業だったとのことでございました。当時は何の仕事か主人は一言も申しませんでしたが、ずっとあとになって、それが憲法起草の仕事のはじまりだったことを知りました。(pp.58-59)
著者が、こうした「主人」の仕事のことを書いている箇所は他にはない。文中に出てくる「主人」は、食事に神経質で、そして花が好きで、たまの休みには早朝から弁当持ちで山へ出かけるような人であったらしい。「主婦」たる著者が書きとめているのは、食事の用意や、季節の家事のこと、母や姑のおしえのことなど。
この世代の「上流」の家庭はこのような言葉遣いがふつうだったのか、著者の書く文章は「ございます」「いたします」調で、出てくる料理がまたハイカラで、バターのことを「バタ」と書く『暮しの手帖』のレシピを思いださせるものがあった。
文庫カバーの裏表紙には「昭和40から50年代、婦人誌等で家族への愛情に溢れた料理やすみずみまで行き届いた暮らしぶりを披露し、女性たちの憧れの的だった主婦・佐藤雅子さん」とある。昭和40~50年代に、どんな人たちが著者に憧れたのだろうなーと想像した(もしかしたら、専業主婦がいちばん多かったという団塊の世代?)。
ひんぱんに出てくる料理レシピのなかで、お菓子はちょっと手が出ないが、保存食の一部はわりとかんたんにできそうだったので、こんど『私の保存食ノート』というこの著者の本を見てみたい。
(8/23了)
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戦争を体験して、戦後の物資の少ない時代に色々やりくりをして生活している様子が書かれている。
と、いう割には洋食メニューが多い。ご主人の仕事の関係だと思うが。
この世代の方々は、言葉が美しい。〜でございました。〜いたします。など、読んでいるこちらの背がシャキッとする感じがする。
ご主人の挿絵も素敵だったし、料理家の高山なおみさんの解説も良かった。
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新聞に掲載されたエッセイをまとめているので、1月から時系列に並んでいるので、それに則って読んでいます。
ゆっくり丁寧に流れる時間はとても愛おしくて、現代の私たちは、どれほど時間を無為に粗雑に使っているかと反省しつつ読みすすめてます。
高峰秀子・沢村貞子・向田邦子系列の書籍がお好きな人には、大変「ウケる!」一冊。贈り物にいただきました。送り主さんは私の好みをよくご存知ですこと。
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山崎まどかさんの本で紹介されていたので読んでみました。表紙の卵の写真がまずすてき。豊かなものを感じます。昭和のカリスマ主婦・佐藤雅子さん。その完璧な姿には頭が下がりますが、非常に昔かたぎの主婦エッセイでありながら、夫のことを「主人」と呼ぶことにみじんの抵抗を持たない芯の通ったゆるぎない保守性には明治女のたしかな意志すら感じ、読後感はさわやかです。40年以上前に書かれた本書。雅子さんから見れば今の家事はどれほど手抜きに見えることでしょう。スローライフが好きな人にはアンセム的一冊になること請け合いですが、真似はとてもできないので、初恋の先輩を木の陰から様子をうかがうように折に触れて読み返したいです。季節を感じる構成も素晴らしいです。
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日本人女性の優雅な田舎の暮らし方。三茶に住んでた時に帰り道でいつも気になってたガラクタ屋さんで見つけた1冊。こんな日本の文化を感じれる本は大好き。目次も、台所のこと二月の花のスラードロップ、月末スープ、お茶の会、アカシアの花のおもてなし、酢とガラス、浴衣を洗う、りんごのトルテ、ジャムのいただき方、その家の伝統的な過ごし方が色んなメモみたいに書かれていて凄く面白い。
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失われた四季折々で変化していく生活が記されている。(正確に言えば、失った)
気温のわずかな変化から、家中の人たちで話して、そろそろ茶碗を夏物にだとか、襟元を涼しいものにするだとか、そういう会話はどんどん減っていると思う。
面倒くさいことをとにかく潰して、事あるごとに効率と利便性を求めて、何が残るんだろう。
わたしは面倒くさくて、手間のかかることを失わない、そう生きたいです
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失われた日本の、日本人の四季のお話。
普通ではない。
かなり特別なお金持ちだけの世界って感じもするんだけど、全てが懐かしくて心地よくて素敵な時間が流れてる。
少しだけ真似してみる。
幸せで温かい人生を送れてる気がする。
日本って、日本人ってこんなに豊かで穏やかな時間を生きていたんだなとしみじみ思う。