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「ジャズ」とはジャンルやスタイルではなく、変革への意思や新しい創造への取組みそのものに与えられた呼称である、としたら本書に取り上げられた6人、テイタム、パーカー、マイルズ、オーネット、コルトレーン、エヴァンズは間違いなくそれにふさわしい面々で、その楽理的に説明可能な部分だけでなく、社会性、思想的意味まで含めて「自由」をキーワードとした音楽の冒険にゴールはない。
四谷音盤茶会の多田雅範さんのフィードでこの本を知ったのだが、かつてその席で多田さんから「スイングとかグルーヴとかもうそういうのじゃノレなくなってきてるというか…」というような発言があったことをよく覚えている。
多田さん、本書に何らかのヒントはあったでしょうか?
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かなり読みやすくておもしろかった。音楽の知識も増えたし個人レッスンを受けてるみたいな感じがしました。6人のジャズミュージシャンについて一気に2日で読んだけど、また一人づつじっくり読み返して音楽の説明と音源と照らしあわせて勉強したいと思います。ジャズへの興味もまた復活してきました。続編もぜひ作って欲しいです。
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これは素晴らしい!ときどき岡田暁生の何かが鼻につくが俺程度のジャズファンには最高の本。菊地大谷本はやっと過去のものになった。
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岡田センセイと在日歴の長い米人ピアニストとのジャズ談義。
ジャズに不可欠だがそこに焦点を当て過ぎると印象論に堕しかねない「黒っぽさ」という論点を、後景に追いやって議論が進んでいく。対象となっているジャズメンのアドリブもまた、いかに知的な構築物になりえているかという点に評価のポイントが定められている。このあたりが、他の多くのジャズ本と異なる本書の特色であるだろう。
その結果、楽理の専門性はそれなりに高め。ただ、飛ばして読んでも主旨は伝わる形になっていますし、HPを通じて映像資料も参照できるので、ハードルとしてはそれほど高くない。
菊地成孔との対談で、ヨーロッパの和音進行とアフリカのリズムの融合がジャズだ、とピアニストのケイ赤城が言っていたけど(ややうろ覚えですが)、改めてその言葉を思い出した次第。
で、本書におけるマイルス・ディヴィス論は、その菊地成孔のマイルス論とほぼ趣旨が重なっておりました(フランスの印象派との相同関係など)。そうそう。ちゃんと考える人って、だいたい同じ結論になるんだよな、としみじみ思ったのでした。
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「音楽学者とジャズ・ピアニストの対話」という副題どおりの本。ビバップからフリー・ジャズまでの代表的なミュージシャンを取り上げて、そのどこがジャズとして「すごい」のかを説き明かすというもの。冒頭から譜例やらコードネームやらが頻出するので、初心者にはとっつきにくく思われるかもしれないが、詳しく知りたい人にはYou Tubeに関連動画があり、著者の一人であるフィリップ・ストレンジ氏が実際にピアノを弾きながら解説してくれている。
誰それのジャズが好き、でもそのどこがすごいのかはよく分からない、という人はけっこういるのではないだろうか。かくいう評者もその一人である。数多ある名曲名盤のなかで、なぜその人のその演奏が自分にとって他の演奏者のものとはちがって聴こえるのか、素人には分かりにくいところだ。ジャズに関して書かれた本は多いが、ジャズメンたちの奇矯な逸話や録音時のエピソード、実際に耳で聴き目で見た演奏時の様子といった情報に終始し、音楽それ自体について詳しく論じたものは割と少ない。
ジャズの定義を問われたビル・エヴァンズは「ジャズとは一分の曲を一分で作曲することだ」と言ったそうだが、同じ曲名でも、演奏者が異なれば、全くちがった曲に聴こえるのがジャズだ。アドリブの即興性にこそ、ジャズの本質がある。この本の特徴は、一人ひとりのプレイヤーの創り出す音楽を構造的にとらえているところだ。選び抜かれたのはアート・テイタム、チャーリー・パーカー、マイルズ・デイヴィス、オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン、それにビル・エヴァンズの六人。
本を書くに至った意図の意義はわかるが、音楽を言葉で説明するのは、やはり隔靴掻痒の感が強い。譜面が読める素養のある読者は別だが、一般の読者にとって正直読んだだけではよく分からない、というのがほんとうのところ。読んでいてよく分かるのは、「彼らビバップのピアニストの発想は、右手がサックスで、左手が伴奏のイメージなんですね」といったところや、「アート・テイタムのピアノのモデルはオーケストラです。(略)彼は両手を四声で考える。右手の小指がメロディ(ソプラノ)、右手の親指がアルト、左手の親指がテナー、左手の小指がベース」といった具体的な解説だ。
個人の逸話からは距離を置いたつもりでも、やはりジャズメンに楽屋話は欠かせないようだ。白人ということで、コルトレーンがビル・エヴァンズをいじめたとか、マイルズが(ジョークかいじめか)エヴァンズに「オレのバンドには昔からの伝統がある。新入りは必ずメンバー全員にオーラル・セックスをするんだ。どうだ、オマエにできるか?」と尋ねた時、エヴァンズが時間をとって考えて「それは無理と思います」と答えた。それ以来マイルズはエヴァンズに一目置くようになったとか。マイルズという人は音楽的にはともかく、人間としては、かなりエキセントリックな人のようだ。
そのマイルズがオスカー・ピーターソンが大嫌いだった理由。「ある和音進行が出てくると、よく同じパターンで処理してしまう。曲と全然関係ない、自分のパターンの展覧会」だから。キース・��ャレットは「指のパターンから逃げたい」と言っている。指のパターンでやったのでは音楽にならないからだ。人間的にはどうあれ、こと音楽に関しては、マイルズは厳しかったようで安心した。
ストレンジ氏の実演と解説のほかに、関連する曲のリストがネットに上げられている。こちらの方はただの愛好家にもお勧めできる。マイルズ・デイヴィスのストックホルム・ライブにおけるコルトレーンの渾身のソロが、ワン・クリックで聴けるなんて、すごい時代が来たものだ。伝説的なピアニスト、アート・テイタムの超絶のピアノ・テクニックもここで聴ける。本と一緒に愉しんでもらいたい。
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著者が書きたくて書いた本という感じで、強い思いが伝わり読み物として面白かったです。
アプローチ分析や体験に基づく話になっており、自分はその時代の人ではないですが話のイメージが浮かぶ感じ。
対談形式の書体に対して、コラムの充実、参照曲の提示、Youtubeによる動画補完ありと音楽的話題に対して欲しい情報が手に入る点も嬉しい。
ジャズは万人受けするネタではないかもしれませんが、自分は興味深く最後まで読めた。
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お、おもしろいじゃないか。さすが岡田先生。フィリップストレンジ先生という方にジャズピ習ったのね。おそらく、ある程度ジャズを聞きこんで、ある程度楽譜読めて楽器弾ける人向けではあるけど、弾けなくても楽しめる。ストレンジ先生は口が悪いし。とにかく凡百のジャズ批評・解説本ではない。絶賛。必読。
誰でもこれ読みながらyoutubeで音源聞けるし、よい時代になった。
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もちろん全部わかるわけではないけれど、ところどころ、なるほど!とかそうだったのか!とかやっぱりそうだよねー!とか。感性とか才能とかで片付けてしまわないで、理論で裏付けてくれてるのがいい。そういうのを求めていた。いいと思う音楽が更によく感じられる。
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以前読んだことがあるけど再読。
前読んだ時には本を読むだけだったものの、今回はYouTubeで公開されている動画も参照しながら楽しみました。
まだあんまり目にしたことはないですが、こういう他のメディアと絡めて楽しめる本がもっと増えると良いですね。
全編会話形式で進んでいくのでとても読みやすいのですが、基本的な音楽理論の知識がないと難しく感じるかもしれません。
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楽譜や専門的な用語は
サッパリ分かりませんでしたが、
それでも興味深い話や知らなかった事も多く、
とても参考になりました。
聴くときの幅が広がりそうです。