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シェイクスピアの作品で初めて読了した。教養のために以前から読みたいという気持ちはあったけども、世に名作と称されるものほど文体や解釈が難解であったりして時間がかかるので、取っ掛かりがつかめなかった。今回、難波のジュンク堂に資格試験の本を買ったついでにこの文庫も併せて買って読んでみたのだが、私の今までの認識が誤りだったと痛感した。これほど読みやすく、また作中人物すべてが頭の中で生きて展開される本はない。
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400年位前に書かれた2000年以上前のお話だけど、それでも共感出来てしまうのは、テクノロジーは別にして、人間は殆ど進化してなくて、あいも変わらず人間は同じようなことで悩みもがいてんだなあ、と古典を読むといつも思う。
英雄に嫉妬する小子が歴史にブレーキをかけるのか、それとも(ブルータスが意図したように)専制への牽制となるのかは、歴史になるまで分からないが、現代的感性では、後者が正当化されるんだろうな。
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初めてまともに読んだシェイクスピア。塩野七生さんの「ローマ人の物語」のカエサル暗殺を読んで、シェイクスピアはどんな史劇にしたのか気になって読んでみたが、思ったより読みやすかった。ページの下部に脚注があるのも良かった。
ブルータスは高潔な人物として描かれているけど、p.50の台詞からは、シーザーに対して「こうなるだろう」という思い込みがあるように思える。
「だが人間はものごとを自分本位に解釈し、本来の意味を遠ざけてしまいがちだ。」はシセローの台詞。「ローマ人の物語」では重要人物だった知識人シセロー(キケロ)が、この台詞をいうためだけに出てきた感じだ。だから余計に重要な台詞に思えるし、人間ってそういうものかもな、と思う。
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「ブルータス、お前もか」を読みたくて手に取った。
前半、中々暗殺の瞬間に至らず、
ピリピリしている登場人物たちの様子を
長く見つめることになりハラハラ。
アントニーの演説によって
たちまちブルータスに敵意を示すようになる市民たちと、
思い込みによって死を選ぶキャシアスが印象的。
台詞ではシーザー死後のブルータスによる市民への演説が最も印象に残った。
韻文にこだわるブルータスの散文による演説。
畳み掛けるような言葉がびっしりと敷き詰められているのが目に飛び込んできて
そのページは中々の迫力だった。
とブルータス寄りに感想を書いてきたが
本作で1番好きになったのはシーザー。
「シーザーは危険よりも危険なのだ。」とか、
「お前もか、ブルータス?――ならば死ね、シーザー。」とか、
主体的すぎて笑ってしまう。緊迫した場面なのに。
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「ローマへ凱旋し、民衆から熱狂的に迎え入れられたジュリアス・シーザーは、腹心ブルータス、キャシアスらに暗殺される。シーザーの寵臣マーク・アントニーは、市民の前でシーザーへの弔辞を述べたいと請い、ブルータスは周囲の反対を押し切り受け入れる。それがブルータスにとって命取りになるとも知らずに―。「ブルータス、お前もか」の台詞で知られるローマ史劇。」
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ブルータス、お前もか
次々と勝利をおさめ、民衆の人気を集めて、政治の頂点へと上り詰めてゆくシーザーに、嫉妬と危機感を募らせる男たち。公明正大なブルータスは、カエサル暗殺ウズに巻き込まれてゆく。
男たちの嫉妬をこうも描き出す作品はそうそうない。シェイクスピアとなると、たい恋愛ものの喜劇を思い出しがちだが、これは人間の(しかも、男の)ドロドロとした側面をえぐりだしている。