紙の本
悲劇への道
2018/08/07 06:17
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校ではさらりとしか教育されない戦争への道。最初の近代対外戦争とはいかなるものだったか知る術となる教訓本。
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日清戦争の概説。過去の類書としては、古典的存在の藤村道生『日清戦争』(岩波書店、1973年)や最近では原田敬一『日清戦争』(吉川弘文館、2008年)などの好著があるが、本書は近年の政治史・社会史・民衆運動史・軍事史の研究成果を広範に取り入れ、現時点での日清戦争研究の集大成的な内容となっている(ただし経済史的視点は落ちている)。外交・軍事の叙述が基本だが、従来の類書に比べて朝鮮の東学農民戦争の弾圧過程や旅順虐殺事件の分析に紙幅を割いていること、従軍記者・従軍画家らの戦争報道や戦記の日本社会への影響、兵事事務、義勇兵運動、戦没者追悼などを通した戦争と地域社会の関係に言及していること、特に著者が研究を開拓した軍夫の視点を重視していることなどが特徴的ある。当面は日清戦争を学ぶにあたっての入門書として最適であろう。
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著者自身も述べているように、最初は日清戦争の社会史が書きたかったが、政治史・外交史を中心とした日清戦争の通史となった本。その部分はその部分で最新の研究成果をうまく取り入れて手堅いまとめになっているように思う。しかし、本書で一番面白かったのは第5章の社会史叙述の部分。メディアが日清戦争をどう扱ったのか、あるいは地方においてどのように日清戦争がとらえられたのか、コンパクトながらも事例も多く紹介されていて面白く読んだ。
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新書ながら日清戦争の内容がよくまとまっており、
分かりやすい。
戦争そのものの軍事的、外交政治的な推移だけでなく、
各地の日本国民の意識や関わり方や
マスメディアについても触れており内容は広範囲にわたる。
開戦に至る経緯については特に細かく検討しており、
勉強になった。オススメ。
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個人的にはこういった時系列に沿った概説に対して年々関心が薄れつつあるなぁ。
何か想いが伝わってこない気がする、仕事しつつの読者たる当方にとっては、誤解を怖れずに言えば多少時間の無駄のような感さえ受けるんですな、最近はとみに。
それはともかく日本の歴史に対する態度の最大の問題は、教育・ジャーナリズム・文学・研究など多様な見解の融合がほとんどなされていないことでは?非常に奇妙なんだけど昔から克服されていない重い命題のような気がします。
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日清戦争は1894年に、日本と清の間で朝鮮に対する支配権をめぐる争いを原因として始まったのであるが、日本の朝鮮の内政改革と保護国化は挫折した。朝鮮から清勢力を追い出すことに成功したものの、結局は朝鮮に対する支配権を強めることに失敗し、ロシアの影響力が強まるという最悪の結果となったのである。
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話が固い。
面白い史実ではあるが。
やはりこの手の話は読み易さと言う一面に於いて半藤さんに敵わないな~。
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明治27-28年(1894-95)の日清戦争は日本の近現代史で極めて重要な出来事、であるはず。その割には、日清・日露戦争とひとくくりにされたり、日露戦争に注目が集まったりで、日清戦争についてはあっさり記述されることが多い。
本書はそんな日清戦争について、戦況の推移、国内世論の変化、外国の反応など時系列で淡々と述べている。参加将兵が戊辰戦争を経験しており実戦経験で優れていたこと、日本軍が兵站に関して驚くほど無知だったこと、明治政府が極度に国際世論を警戒していたこと、いわゆる世論が形成され始めたこと、など、あまり人口に膾炙していない情報が多く面白い。
日清戦争自体が議論の対象になるなることがすくないので、余計な先入観なしに読める。
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日清戦争と言えば、日露戦争の遠因。台湾ゲット。賠償金位しか印象が無かったので手軽な新書で通史を読めるのは良いなと思って買ったのだが、まさかこんな酷いとは思わなかった(書籍がでは無く、日清戦争が)
開戦する必然性が無い。日清共に無い。にもかかわらず国内政治の行き詰まりから開戦せざるを得なくなってしまう。条約改正の行き詰まった外務大臣、強硬策を主張する民党により、政策選択の幅を失う伊藤内閣。
開戦直前に王宮を襲撃する現地派遣軍。
開戦後も暴走に次ぐ暴走の現地軍。
不正規戦に対応できず虐殺してしまう現地軍。
終戦に向けた外交を行えず、三国干渉を招く過大な要求をしてしまうとか、
そもそも講和全権使節への暗殺未遂とか、
戦死者の過半数が終戦後の台湾平定で出ているとか、
開戦理由の朝鮮半島での優位な立場での干渉も閔妃暗殺や連絡線維持の為の対不正規戦で虐殺を起こすことにより朝鮮人各層の反感を買うとか、戦争目的を全く達成できない『大勝利』
せめて、ここででた帝国と軍の問題点を解決できていればその後繰り返すことは無かったのになと…
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・朝鮮における清の優位を前提とした天津条約体制の変更を求める意見の広がり→日清共同による朝鮮内政改革構想→1894年6月2日閣議における朝鮮への混成第九旅団派兵決定→強力な軍事力を清に派兵してしまったことにより、派兵を契機に沸騰した対清・対朝鮮強硬論に直面し、撤兵できなくなり、伊藤内閣は開戦への道を選択せざるを得なくなった
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兵への評価として明治天皇のお言葉、「その代わり随分ぎょし難し」が全て。兵ではなく実は「民」なのかも。
各々の利益、感情から「木を見て森を見ず」勝手に動く姿は、後の大戦含めて変わらない日本人像が見えてくる。
組織論として、人的資源に限りがある以上決定したことを枝葉まで徹頭徹尾遂行することは効率的に正しい。しかし、この場合コインの表裏で頭(現場を知らない)と四肢(考えない)の分断を呼び起こさないか?
どちらかといえば、四肢に否定的な著者であるが、全体的な目的を示し切れず、徹頭徹尾を導けなかった「頭」に対しての評価が逆に甘くないか?
陸奥への評価が辛い。
陸奥の失態が何を指すかわからなかった。
この時期、不平等条約の撤廃はマスト。結果を見れば日英の条約他、平等条約は締結できている。
失態?による失地回復、世論対策の手段として朝鮮出兵(結果、戦争)への怒りなのか?
三国干渉についても遼東半島が問題になるが、清の朝鮮への影響排除がそもそもの日清戦争の建前であれば、ここは引けない点なのでは??
個人的には、ノーガードで決戦に挑もうとした川上が一番怖い。