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詩人であり、最期はギロチンで処刑されたある犯罪者が獄中で記した回想記。
少年時代から始まり、成人してからの遍歴、如何にして犯罪に手を染めるようになったのか……など、予想以上に客観性を持って描かれており、ラスネールが受けた教育の高さが伺える。
何度か新聞の記事を書いたり、脚本を書いたりしていたようだが、著者は文筆で身を立てたことは一度もなく、言うなれば半分以上は素人なのだが、こと日記・回想記の類になると素人があっさりプロの作家以上の文章を書くこともあるもので、本作もそれに該当する。
文中に『○行検閲』が頻出するのも生々しい。
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19世紀フランスで死刑を目前にして自伝を著したラスネールは、詩作をたしなむなど、それまでの犯罪者像と相容れない人物として大きく注目されました。自身にまつわる風評に異議を唱え、自身の姿を読者に呈示しようと試みたのが本書です。告白であり、内省でもあるというところに、読者は読み応え、あるいは不快感を覚えるでしょう。解説と合わせて、ラスネールがいかに特異な犯罪者であったかを読み取ることができると思います。
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「ミステリーの人間学」にのっていたので。
19世紀のフランス、犯罪は貧困と無知ゆえだと思われいてた時代、教育があり富裕層出身の犯罪者ラスネールは、自分の犯罪を社会への復讐だと主張し、社会現象となった。
そのラスネールが残した回想録で、
自分の育ちから、犯罪歴やその主張が書かれていた。
時代と国境を越え衝撃を与えた作品らしいが、
自分の犯した罪のただの言い訳にしか読めない。
家庭内で盗みを始めたのは兄のせいだとか、
手形の偽造をはたらくやいなや、裏切られたからと殺人を犯すとか。
それにしても、まだ指紋もDNAも捜査手法になかった時代、意外と犯罪がうまくいかないのに驚いた。