紙の本
人生も山?
2015/11/19 21:12
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれに悩みを抱えて山に登る女たち。連作として描かれており、最後に向かうほど「ああ、あの時点で描かれていたのは、このことか」と気づかされる。湊さん自身も多分、山が好きに違いない。そうでなければ、女性の気持ちと山を結びつけることに無理が生じると思うからだ。難をいえば、タイトルが、ちょっと…
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山ガールブームにのっかた安易な話ではないが、作者らしさはない。連絡短編で各短編で少しずつ登場人物をラップさせながら同じテーマで描く話で、そのあたりは実にうまい。
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いつだったか、自称山ガールを名乗っていた時期もある(屋久島や金時山、奥多摩の山々含め月一で登ってた頃がある)わたしですが、この本を読み終えて、面白いという感想をこれっぽっちも抱くことができませんでした。
山で喧嘩する人たちの話、簡単にいっちゃえば。山とか自然な場所にいくといつもより素直に、そして大胆になることからわたし自身よく相方と喧嘩します。が、それで共感できない。
女性が山に登りながら現在の自分と見つめ直し、腹にどす黒いものをかかえながら登り、浄化していく、または消化していく、連作短編です。
わたしもいかにも山ガールな格好してたけれど、一度も山ガールって呼びかけられたことありませんがね。それはわたし個人の話かしら。
何も面白みがないのでびっくりしました。わざわざ舞台を山にしただけで、まったくといって山のありがたみ、素晴らしさが伝わってこないし、鬱々としているだけ、無理に山にしないでよかったのでは? 部屋の中で悶々と考えているような描写とそんな対して変わりない気がしました。
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それぞれ舞台となる山の景観と、登る『女子』たちの内面にある愚痴による濁った感情とのコントラストが対照的。 誰かとの比較とか…。 こんなにたくさんの混濁した思いを、山はいつでも全て受け止めてると思うと、その畏怖をより感じざるを得ない。山登りとしては、妙高山への思いがより強まった次第。
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登山する女性たちの連作短編集。登山の目的。達成感とか綺麗な場所を見るとか、悩んでいることについての整理と回答、新しい一歩を踏み出すためなど。人それぞれのようだ。私は登山の趣味はないけど、みんなそういう意識でやってるのかな?女性の微妙な気持ちがわかる。トンガリロは切ないというか、じわじわきて泣いた。
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湊かなえってこんな本も書くんだ。七花は小学生なのに考え方は大人で、親子逆転の対応、感性は女流作家ならではの物書き。吉田のクソボケ!と3回叫べは、まさに有川浩の作風のよう。最後は繋がるがやや中途半端かな?最後に全く関係ないけど読み方は「やまめにっき」じゃなくて「やまおんなにっき」だったんだ。
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わざわざ山に絡ませる必要は無かったんじゃないかな。物語も在り来たりな展開過ぎて退屈だったな。期待していた作品だっただけに残念。
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学生時代から遠足が大嫌いで、山登りとか全然興味無いんだけど、この本は結構面白かった。山を歩きながら恋愛や結婚や家庭について考えているうちに、自分や相手の良いところも悪いところも見えてくるみたいな。湊かなえなのに読後感がすっきり(笑)
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山を一緒に登るということの意味を教えてくれる1冊。「ペースの異なる相手と歩調を合わせることが最もつらい」というのは、言われてみれば当たり前なのに、山登りをしながらあまり意識していなかったことだ。
正直、登場人物ののうちの何人かの女の子たちの鬱屈した感情描写などはあまり読んでいて気持ちが良いものではなかったし、あまり共感もできなかった。ただ、山に登る理由は様々であること、初心者の女の子が山にはまっていく(山ガールというのだろう)過程で、一緒に登る人との距離感が変化していく様子は面白いとも感じた。
章ごとに全く異なるようで少しずつ物語が引き継がれている構成も、世界にいろんな角度から光をあてていく感じがいい。
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湊かなえ氏はもういいや と思っていたが、山関連なので読んでみた。
しかし妙高•火打に素人さんが2人で小屋泊まりで行くか?
ましてや槍•白馬•利尻なんかに初心者がぶっつけ本番で行けるか??
さらに、通りすがりの人に槍ヶ岳山荘まで一緒に連れてって と頼まれたからって連れてくか???
背負ってもいないザックをネットで買ったり、試着もしてない靴をプレゼントしたり、有り得ないっしょー
アラサー女達の色んな悩みを書き表す為に、山をダシに使われてる気がする。
と怒りはありますが、最後のトンガリロの読後感は良いです。
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登山を絡めてお話が展開されるお悩み女性を描いた7つの連作短編。仕事や恋愛や家族やらに苦悩する心情が上手い。珍しく毒もなく何れも爽やかなラストなので読後感もいい。連作による人間関係も楽しめ面白かった。サラッと一気読み。
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湊かなえさんには珍しく、共感の持てるストーリーだった。
いつものドキドキ感、ぞっとするような怖さを求めてる人にはオススメしません。
いろんなタイプの女性が登場しますが、どれも『うんうん』と思える。
角田光代さんの本を読んでるのかと勘違いしそうになったくらい。笑
内容紹介
このまま結婚していいのだろうかーーその答えを出すため、「妙高山」で初めての登山をする百貨店勤めの律子。一緒に登る同僚の由美は仲人である部長と不倫中だ。由美の言動が何もかも気に入らない律子は、つい彼女に厳しく当たってしまう。/医者の妻である姉から「利尻山」に誘われた希美。翻訳家の仕事がうまくいかず、親の脛をかじる希美は、雨の登山中、ずっと姉から見下されているという思いが拭えない。/「トンガリロ」トレッキングツアーに参加した帽子デザイナーの柚月。前にきたときは、吉田くんとの自由旅行だった。彼と結婚するつもりだったのに、どうして、今、私は一人なんだろうか……。
真面目に、正直に、懸命に生きてきた。私の人生はこんなはずではなかったのに……。誰にも言えない「思い」を抱え、一歩一歩、山を登る女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。女性の心理を丁寧に描き込み、共感と感動を呼ぶ連作長篇。
内容(「BOOK」データベースより)
私の選択は、間違っていたのですか。真面目に、正直に、懸命に生きてきたのに…。誰にも言えない苦い思いを抱いて、女たちは、一歩一歩、頂きを目指す。新しい景色が、小さな答えをくれる。感動の連作長篇。
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微妙に絡み合った山ガール短編集。
ウジウジしたところ、スパッとしたところ、合わせて気持ちいい。
お勧めです。
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妙高山、火打山……と7つの山を舞台に話しが進む。
山の魅力も伝えつつ訪れている人たちの関係が語られていく。それぞれの話しが微妙にリンクしているところも魅力。
山は不思議な場所。
人と一緒に登っていたとしても頼れるのは自分の足だけ。
あーつらい、苦しいと思っても一歩ずつ踏み出せば時間がかかれど着実に頂上に到達する。
やってやれないことはないと思う一瞬。
以前は、誘われて登山することがあったけど、もう体力的にキツイやね〜。
日頃から歩いていれば、何歳になっても楽しめるんだろうけど。
物語中に出てくる食べ物にいちいち反応してしまった(笑)。
山で食べたハチミツをたっぷり塗ったパンと朝食に食べたインスタントラーメンがなぜか妙に美味しいことを思い出してしまったよ。
インスタントラーメンの美味しさを再現したくて、自宅で朝から同じように作ってみても、自宅ではちっとも同じ味に感じられないのが不思議。
山の魔法か?
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冒頭───
午後11時、新宿駅バスターミナルに集合。ここから夜行バスで長野駅に向かう。10分前に到着した。まだ誰も来ていない。いつものことだ。
数メートル先にいるおばさんたちのグループは四、五人集まっていて、切符やアルミホイルに包んだおにぎりらしきものを配り合っている。チェックのシャツに裾をしぼった八分丈パンツ、という姿。足元には、脇にストックを差し込んだ25リットルから30リットルサイズのリュックを置いている。
あの人たちも山に向かうのだろう。「山ガール」とは言えそうにないけれど。しかし、さ来月には30歳になるわたしも、他人のことを言えた立場ではない。おばさんたちは全員お揃いの藍染のスカーフを巻いている。けっこうかわいい。
気持ちはガールなのかもしれない。(妙高山)
空に向かい歩いてきたはずなのに、星空は地上にいる時よりも、高く遠いところにある。それでも、星の数は地上で見るよりはるかに多い。(火打山)
“イヤミスの女王”湊かなえは、あまり後味の良くない女性のどろどろした物語しか書かないのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
こんな素敵で爽やかな山女小説も書けるのだ。
日本国内六つ、海外一つの山に登る女性たちを描いた七つの連作短編集。
全く独立しているわけではなく、細かいところでリンクしあっており、それを最終章の“トンガリロ”では、見事にまとめあげている。
全体の構成も素晴らしいのだが、登場人物たちが、山に登ったことで日常のしがらみから解放されるせいか、思いのたけを毒舌的に発散する言葉の表現が新鮮で楽しくて笑える。
───例えば
トリカブトに猛毒があることなんて教えなければよかった。不倫相手の奥さんがもし殺されでもしたら、私も協力者になってしまう。(妙高山)
バリバリと仕事をこなすキャリアウーマンとでも思われていたのだろうか。仕事は忙しいが、老人ホームの事務員にキャリアウーマンという言葉は似あわない。そもそも、こんな言葉はとっくに死語と化しているはずだ。では、今は何と呼ばれているのだろう。大人女子? これでは仕事をしている人としていない人の区別がつかない。(火打山)
「私、小学校の時のあだ名が金太郎のキンちゃんだって話したことあったっけ」(中略)
母親の手先がなまじ器用だったため、私の散髪は幼い頃から母がやっていた。しかし所詮は素人芸。バリエーションは縦横まっすぐに切りそろえたおかっぱだけ。小学一年の段階で、(中略)子どもがそんな髪型をしていたら、悪意もなにも関係なく、周りは金太郎を思い浮かべるだろう。
おまけに、町内会主催の「ちびっこわんぱく相撲」に優勝賞品のゲーム機欲しさに参加して、低学年の部で三年生の男子を倒して優勝したのだから、その名は不動のものとなった。(金時山)
等々、もう爆笑である。
読みながら、これまで気付かなかった湊かなえのユーモアセンスに感心したと同時に、表現が綿矢りさに似ていると感じた。
山に登るということは、何かを発見することでもあり、何かを捨てることでもある。
新しい自分になって旅立��ために、或いは過去の自分に別れを告げるために。
山に登り、新たな人たちと出会うことや山の頂きへ到達することで、それまで知らなかった自分を見出すのだ。
この七つのエピソードはどれもが起承転結のよく練られた素晴らしい物語だと思う。
それぞれの“山ガール”たちの心情も読者に深く沁みわたってくる。
そして、先に挙げた随所に散りばめられたユーモア表現。
最初から最後までとても面白く、読み終わるのが惜しいとまで思った。
ここ何か月か読んだ本の中で最も私を楽しませてくれた一冊だ。
湊かなえの新しい一面を発見した作品。
第152回直木賞候補作に推薦します!!