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『死の快走船』
元船長の深谷氏の遺体が自分の船にくくりつけられた状況で発見された。船の底に付いた粘土質の土から船が他の場所に上陸した事を推理し、船の波あとから犯人の体重を推理する東屋氏。下男の早川の協力。発見された大量の貝。深谷氏が恐れていた物。
『なこうど名探偵』
洗濯屋・多田音平が訪れた大手鴨十。細君がてんかんで鴨十が死んだと訴え医者を呼びにいく間に起き上がった鴨十。彼の目撃した泥棒の正体。
『ひとくい風呂』
風呂屋に残された女の着物。裸で風呂屋をでたのか?幽霊が出ると噂される風呂屋。幽霊らしき女を目撃した薬屋の後妻。行方をくらませた薬屋の先妻の秘密。
『勤太郎氏の結婚』
50歳をすぎて結婚を希望し始めた勤太郎氏。新聞の三行広告から連絡をとった女性・水田女史に会いに行ったが
。何も知らない水田女史。勤太郎氏の秘書と水田女史の関係。
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もったいないと思いつつ、ガシガシ読んでしまいました。ああ、未読だった大阪圭吉の作品が読める幸せ。
作品が書かれた時代ゆえ、すごく時局を感じさせるモノがありますが、「お国のために!」みたいな空気を全編にわたって全面に出してるわけではないので、普通に今でも楽しめるところが素敵。
「翼賛タクシー」のコメディー路線も良かったし、「水族館異変」では、今までの大阪圭吉作品とはちと味わいが違うエロさと色彩描写の美しさで、また新たな側面を見たような新鮮な驚きも。
資料によると捕物帖も書かれていたようで、それも読んでみたいですね…。
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さすがミステリ珍本全集、地味な本格ミステリを書く人と思っていた著者のイメージがだいぶ変わった、レア物の短編集。収録されているのはスパイ物など国威発揚的な話、ユーモア小説がほとんどだが、ミステリ的なオチがついているものも多い。
いま読むと”お国のために〜”という主張が全面に出ているのがだんだんウザく感じられるが、書かれた時代的には仕方ないのだろう。
異色だったのは「水族館異変」。これは著者らしからぬ乱歩チックな話で驚いた。
やはりこれまで世に出ていた本格作品の方が格段にいいとは思うが、著者のバラエティに富んだ作風を知ることができたのは嬉しい。