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「犯人は◯◯だよ」こともなげに神様は口にする。それは、絶対の真実。
俺のクラスには神様がいる。転校生の鈴木はイケメンで頭が良くてスポーツ万能。しかしそれだけでなく、鈴木は全てを見通す力を持っていた。リコーダー泥棒やバス事故などを見通し、解決した。クラスの人間はすっかり鈴木を神様と信じ、信奉していた。しかし俺は鈴木の力には懐疑的だった。だから最近起きた殺人事件の犯人を訪ねてみたのだ。神様はあっさりと告げる、犯人の名を。
神様の鈴木くんが犯人を名指しするところから始まる連作短編集。身近で事件起きすぎだし果てしなく後味悪い。話も解決しているのかいないのかはっきりしないパターンの方が多い。それなのになんとなく引き込まれて読んでしまった。
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話ひとつひとつには、あまり無理を感じないが、小学5年生が「凡夫」とか「誤謬」とか、やたら難しい言葉遣いをするところに違和感が。なにも小学生が主人公じゃなくても良いのでは、とついつい思ってしまう。
それでも神様の正体が最後に分かるのではとの期待が手伝ってページをめくる。読み進めるうち、中盤過ぎから少しずつ秘密が明らかになり、うまくひっかかっていた自分に舌うちしつつ、だんだんと引き込まれる。締めも、自分にとっては珍しさがあり、一気に読了。
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前半で定形を見せておいてからの後半の怒涛の展開には驚いた。
特に比土との対決では、神様探偵という設定が非常にうまく活かされていて感服した。
またラストの、麻耶雄嵩節ともいえる救いのない結末を迎えるのかと思わせてからの一行には笑わせられた。
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自分は神様だという、鈴木くんの
「犯人は○○だよ」
で始まる、連作短編集。
少年探偵団たちが、それが正しいのか、探っていくんだけど、
これ、小学生の設定じゃなくても
よかった気が。
小学生が、小難しいセリフで理屈こね繰り回すのがいいって人もいるのかな。
そこにリアリティは求めないけど
小学生じゃなきゃいけない理由も感じないな。
あと、最後のどんでんがえし?も
どーでもいーでしょっていう感じで
これやられちゃうと
じゃあ、今までのこねくり回した理屈は
どうなんねん!!
てなりました。
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前作同様、読後感の悪い話、とは聞いてましたが、わかっていて読めばそれほどでもなかった。
スタート時点で主人公のプロフィールをわざと誤認させるようにしむけたり、最後の事件の真相についてあいまいなまま終わらせたりと、叙述トリック的なところを狙ってるのかもしれませんが、あまり上手とは言えないので途中で付き合うのに疲れた感。最後まで読んでもカタルシスらしいものはないです。もう少しがんばりま賞?
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神様シリーズ2作目。
連作短編集。
小学生に姿を変えた自称神様・鈴木くんのご宣託によって、事件の犯人の名前だけが最初に分かるという変化球が特徴のシリーズ。
神様こと鈴木くんは転校してシリーズ前作とは別の学校に来ていますが、意地の悪さは相変わらずでした。前作を読んでいなくても問題ない内容です。
鈴木くんが挙げた人物が本当に犯行可能かどうかのハウダニットが主で、捜査するのは探偵団の小学生たち。
探偵団が筋の通った推理をしたとしても、その人物が実際に犯行を行ったかは分からず仕舞いだったり、警察が別の人物を逮捕して終結しているケースもあり、鈴木くんが本物の神様かどうか含め、疑心が膨らむばかりの大変ジメジメとした雰囲気。
小学生の彼らにはとても残酷な真実ばかりが待ち受けており、いじめなどもあって非常に暗い。
子どもたちの明るく楽しい雰囲気はなく、ドロドロとしたやりきれない陰鬱さばかりが紙面から滲み出ています。
探偵団のメンバーが爽やかな作風の仁木悦子ファンというのも皮肉。
犯人の名前が分かる→その人物が誰で、犯人たりえるのか捜査、という同じ手法の短編ながら、バラエティに富んでおり最後まで気を緩めることが出来ません。
後味の悪さは冴え渡っていますが、結末は案外ハッピーエンドなのかも。
とにかくラストは何とも言えない気持ちになりました。
ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【少年探偵団と神様】一見事件とは関係のなさそうな犯人の名前がでてきますが、被害者と美旗先生の類似を考えれば人違いというのは思いつきます。
正反対の方向へ向かう二人を間違うはずがないというのが一番の問題ですが、作中にもある通りそれを解決するには偶然の要素が大きい。
警察は動機方面から真犯人に辿り着いたようで、これで探偵団の推理の信憑性が高くなるわけですが、同時に鈴木くんが本当に神様かもしれないという空恐ろしい雰囲気もでています。
【アリバイくずし】前回の苦い経験もあり、母が犯人と疑われているのも知らずに嬉々として情報をもってくる丸山くんが悲しい。
丸山聖子のアリバイ崩しを目指して展開していくわけですが、このアリバイがかなり強固。
それが犯行現場が違うという点でガラリと事件の様相を変えるのが見事です。
現場と思われていた自宅にいなかったという、被害者の不在証明になっています。
被害者や被害者宅の詳細な情報が逆に甥の逮捕という結果になりましたが、探偵団の推理も結局は鈴木くんの言葉に支えられているだけですので、真実は闇の中です。
【ダムからの遠い道】これも美旗先生のアリバイ崩し。
被害者の目撃情報が凄く怪しくて、左ハンドルというのはすぐに浮かびそうです。
「ナンパですか?」のセリフは違和感があったので、ここで淳の性別錯誤に気付きました。
一話目で無罪だった美旗先生をここで犯人としてもってきたことに驚きがあります。
【バレンタイン昔���】まず、まだ存在が確認されていない人物が犯人として挙げられたのがおもしろい。その後に転入生の登場はまるでホラーの展開。
これまで通り鈴木くんが挙げた人物が犯行可能か検証しはじめるのですが、思わぬ方向に話が向い、全てが決着してから鈴木くんの言の意味が分かるという恐ろしい展開です。
伊那古が高夫殺しの犯人にはなりえない、鈴木くんはやはり偽物か?という疑いが一転、未来の事件を言い当てた神様の信憑性とともに不気味さが際立つラストです。
生まれる前に「高夫」と名付けられていたから、生まれた後に「正紀」でも関係ないというのはまぁいいとして、では取り違えられた本来の正紀はどうなのでしょう?生まれてから名付けられたからやはり「高夫」なのか、それとも、本当だったら名付けられるはずだった「正紀」になるのか?
「高夫」になるならば、神様の答えはアンフェアな気がします。このへんはちょっとスッキリしません。
ここで淳の性別が明かされましたが、後の市部の展開がこの事件と関係しているのも上手いタイミングです。
【比土との対決】これまでの流れを逆手にとり、アリバイ物とみせかけて無差別殺人という驚きの真相。
偽りの動機を強く示す事で、より真の動機が叶うという巧妙な事件でした。
しかし、偶然小夜子が被害者であったからここまで上手くいったに過ぎず、淳と関係の浅い他の人物が被害者だったら、淳は神様に聞くことすらしなかったはず。
上手く神様に聞くように誘導出来たとして、被害者が小夜子でなかったらむしろ比土の容疑を晴らそうと市部と協力しちゃうのでは……
と、思ったのですが、比土は高夫事件の犯人が市部と知って脅していたようなので、淳が神様に関わるだけで十分市部には脅威だったのでしょう。
小学生がこの動機でこんな殺人を犯すとは。比土は恐ろしい。
【さよなら、神様】目撃者のおばあちゃんがボケボケでいまいち信頼できないことや、淳が犯人と疑われ壮絶ないじめに発展しだしたところで、「比土と一緒にいたのは子供」とより淳を貶めるように情報がだされるのが憎いところ。いまいち信憑性がないのが上手いです。おばあちゃんが世間の流れに乗って適当な事を言ったようにもとれます。
淳の性別が女だと判明してから小夜子の行動を思い返すと、小夜子の淳へ寄せる友情が切ない。
淳の性別のトリックは必要だったかな?とも思いますが、淳が実は女で、更に美少女らしいということになると、そこで初めて市部の狂気じみた愛情が浮き彫りになるのかもしれません。
数年後の鈴木の登場によって、高夫の殺人事件は市部が犯人という結論に至った淳。
衝撃にがっくりと座り込むと、踏切の向こうには笑顔で手を振る愛しい市部が……。
苦いラストだなぁ……と余韻に浸ろうとしたところで、ハートマークひとつでそれをぶち壊されました。
さよなら神様のタイトル含め、あとからじわじわいろんな想いが出てきます。
作者の意図かとは思いますが、あまりにもばっさりと切り捨てられたラスト。もうちょっと余韻に浸りたかった。
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連作短編集。今回もまた黒い話を書いてくれて嬉しい限り。毎話読むたびに人間の嫌な所が炙り出されるようで、読んでて気分が悪くなります(ホメ言葉)『バレンタイン昔語り』がいいですねー。そう来るか、と。
連作らしい展開と本書のあのタイトル。ステキv
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話しの展開は面白かった。けど小学生がこんな会話はしないんじゃないかな。ラストも何だか…
2014.12.17
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小5の姿をした神様は犯人を教えてくれる。
読者は犯人が誰かを知りながら、アリバイやトリックを暴いていく。
という単純な推理小説では終わらず、三ひねりぐらいある。
面白い。
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神様と呼ばれる少年から犯人を教えてもらってから少年探偵団の推理が始まるという特殊な構成の連作短編集。神様こと鈴木くんの正体不明っぷりが怖い。各話とも解決後も常に不安感と厭な後味が残る。話が進むに連れて少年探偵団の人間関係が変化していくのが不安で仕方なかったが、そこに引き込まれた。
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身の周りで起きる殺人事件を小学5年生の探偵団のメンバーが調査していく展開だが、会話の内容が高校生の設定にした方が違和感が無かったし、小学生の男女の恋愛話も違和感が…神様の化身のイケメン鈴木君が犯人を最初に答える所から始まり探偵団がアリバイ等を調査するが神様の言うとおりの結末に。だが本当の真相は実は…という後半の流れ。退屈せずに読了。
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最後のハートマークがなんとも言えない不気味な味わいを醸し出していました
最初の二編くらいは大したことないなと思いましたが、後半から麻耶雄嵩さんの本領が存分に発揮されていて、読んでいて口の中が苦くなりました
評判通りの名作だったと思います
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「犯人は、〇〇だよ。」
全知全能の神、鈴木が殺人犯の名を口にする冒頭部分から始まるスタイル。主人公含む、少年少女探偵団がウラをとるという流れ。
犯人がピタリ当たることもあれば、誤認逮捕で終わり、ゾッとするものも。
強いて言うなら、小学生にしては大人すぎることと、周りで殺人事件が起こり過ぎるのが不自然で、現実離れしている。
「俺」と自分を呼ぶ主人公が実は女の子、というのも伏線がちっと甘い。突っ込みどころはあるが、全体的には気圧されるものがある。
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『神様ゲーム』の続編ということで即買いしました。
前作では神様を信じるか、信じないかが解釈の分かれ目だったのに、本作は神様・鈴木太郎は絶対的な存在になっていて少しびっくり。
しかも一話目を読んだらなんだか平凡。。。
と、拍子抜けしながら読んでいたのですが、最終的にはやっぱりさすが麻耶さんでした。
鈴木=神様という設定だからこそできる、「バレンタイン昔語り」以降のトリック。
神をも利用するやつまで出てきて。。
何か裏がある…と思いながら読み進めていて、まぁひとつ目の叙述トリックはよくあるので解ったのですが、最後の種明かしは期待以上に凄まじかった。
しかも、真相(推測の域を出ないけれども)にたどり着いていながらも「ま、いっか♪」となる主人公が不気味。
麻耶さんらしい素晴らしい作品でした。
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おもしろかったー!!短編で読みやすいのもいいし
すべてがそうつながるかーと読み直してしまった。
神様なんだー さよならってーとうなってしまった。