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「生きるために何をするか考えるのは頭だが、何のために生きるのかを決めのはあくまで心なのだ」
という事を誰からも教えられずに生きてきた。
チューリップという花の名前さえ知らずにきた人生、そしてそういう人生を与えたのが実の母親だということを思うと心がどんよりと暗くなる。
神の配剤のようにこの世の幸と不幸のバランスを保つ一人の男のもとに、圧倒的な絶望と天才的な頭脳しか持たない人間たちが集まったとしても何の不思議もない。きっと、そういう風にできているのだろう。ムシたちが暗闇の中の光に群がるように。
でもそんな闇の中で生きる者たちにも「心」はあったのだ。かすかだけど誰かのおせっかいに反応する心が。その小さな光を消さないように守り続けてくれるたおせっかいやきたちに、一人の読者として心からありがとう、と言いたい。
どんなに悲惨な状況に陥れられたとしても、諦めずそこからいつかきっと這い上がって見せる、そのために必要なのは「仲間」なのだということを実感として知る。それが人間として生きていく意味なのかもしれない。
上下二巻になる大作、堪能しました。
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面白かった。週刊現代の書評を見て衝動買いしました。
上下巻およそ900頁を2日で一気読みするくらい夢中に
なれました。
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面白かった。
上下巻と長いのに、気をそらさない展開。
町田の背負った過去の十字架の重さ。
稔の行方などの、いくつもの重なり合う謎。
ページをめくる手が止まらなかった。
ただ、最後がちょっとあっけないというか、
駆け足な印象なのだけが残念。
謎が重なり合っている。
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感動です。さすが薬丸岳です。感動と愛にあふれた物語でした。「幸せにならなければ、自分がしてしまった罪の痛みを本当の意味で感じることはできないだろう」「信頼し合える仲間を持て、そういう存在がいれば、どんな苦境に立たされたとしても、いつか這い上がれる。おれはそう信じている」
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ある男が持つものは「執着」だけ。
「人を愛せない。そこに愛情なんか微塵もないー」
それぞれの思惑とは。
誰が敵で、誰が味方なのか。
町田の本心はどこにあるのか。
先の展開が気になり一気に読み終えてしまった。
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上巻で、天才少年が少年院に入ることとなった発端になった事件に関わっていた組織のトップも、彼と同じく稀代の天才だった。2人の天才の運命を分けたのはー。
いろいろな伏線がちゃんと回収されてすっきりしたし、登場人物も個性的で感情移入しやすかった。繁村さんがなかなか味わい深いキャラだった。彼もまた天才。
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町田や楓が少しずつ変化していく様子から目が離せなかった。テーマもストーリーも興味深かったと思う。だけど、視点がコロコロ変わるのが少し読みづらい感じも。あとラストの室井にはちょっと拍子抜けしたな・・・
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面白かった。
面白かったんだけど、謎に満ちた恐るべきムロイさんとの対決(?)があまりにも肩すかしと言うか…ありていに言うと、ショボい。
もっと頭脳戦バリバリに戦ってから勝ってほしかったかなぁ。
でるひとの多くが頭いいはずなんだけど、繁村さん以外はそう天才とも思えなかったかも。
コミュ障多いし(苦笑。
それと、上巻の硬派な感じに比べて下巻はなかなかに青臭くて、頭のモード切替が難しかったわ。
一気読みの弊害。
■ ■ ■ ■ ■
ん?私、ケチばっかつけてる?
ありゃりゃ。
「面白かっただけに、そこが!」的な文句なんで
そこはあんまし気にしない気にしない。
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特殊な生い立ちのヒロシ、母親の怠慢でヒロシには戸籍がなかった。戸籍がなかった戸籍がなかったと、本文中何度も書かれているわりに、人格形成に重要なヒロシの幼少期はさほど書かれていない。薬物中毒の母親だって、子供育てるの大変だったと思うし、虐待死させるでもなく、捨てるでもなく、それなりに共に生きていたので、愛情のかけらもないわけじゃなかったと思う。しかし、そんなところは適当で、ヒロシの視点でしか書かれていない。
ヒロシは、その生い立ちのわりに、性根の腐ったタイプではなく、黙々淡々真面目なタイプなので、彼の周りにはホットな仲間たちが集まってくる。
だから、人情物のホームドラマミステリーとおもえば面白く読めた。
残念なのは、ムロイは一体何をしたかったのか‥さっぱりわからない。
世直しだとか言いながら、始終ヒロシへの執着で、終焉あっけなく終わる。
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上より展開が早く、引き込まれた。けど、黒幕の呆気ない幕切れが残念だった。もう少し登場人物を掘り下げて欲しかった。
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無戸籍の天才児「町田」の切なくも心温まる成長物語。著者の集大成と呼んでも差し支えない大河長編で、上下巻合わせて900ページ一気読みです。
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戸籍を与えられないという究極の虐待を受けながらも、抜群の知能指数を持つ少年が、生きるために悪の組織に入り、足を洗った後も執拗に追いかけられる。ハードボイルドに加え、愛情を知らずに育った主人公が周囲の人たちとの交流で心を開いていく物語でもある。
上巻は、得たいの知れない組織の親玉の存在感と、少年時代の主人公の危うさに引き込まれ、疾走感のある展開に★4つだったが、下巻は尻つぼみで期待を裏切られ★3つに…。
知能戦に実動部隊が加わって主人公を追い詰めていくのであれば、後半も容赦のない戦いを徹底的に繰り広げてほしかった。終盤はネタが尽きたのか、キレイで安易な方向に逃げてしまったのは、残念…。
ふと、中村文則だったらどんな風に書くだろうと考えてしまった。
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ここまで展開されて来た、いくつもの物語が一気に収斂し、視界がひらける。
見えてくるのは、狂気を孕んだ執着心か。
初の上下巻、読ませるけれど、やや長い。
切れ味がも少し欲しい。
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木崎、すごい奴だ。ただ、物事を歪めて考えてしまう。多くの人間を駒のように使い自分の欲望を満たそうとする。まさか、晶子まで深い繋がりがあったとは。一方、為井はまっすぐな奴だ。そのまっすぐさが、長い間凍っていた心をも溶かしてしまう。そして、博史。木崎の行動の先を読んで動いていた。人間的な心を持ったことで、人との繋がりを持ち自分の能力を最大限に活かした。一人の力が圧倒的に優れていたとしてもたいして大きなパワーにはならない。信頼出来る仲間がいればこそ、人の力は何倍にもなる。そして、笑いがある。
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驚異的な知能を持ちながらも、戸籍を与えられず育った少年・町田。生きるために犯罪に手を染めた彼がさまざまな出会いを糧にして、その後の人生を歩む物語。
更生の物語というのは薬丸作品では多いのだけれど。むしろ町田は更生するというより、もともとこういう人間だったんだろうな、と思いました。だからこそ彼にまともな環境が最初から与えられなかったことがなんとも哀しくて。でもこういう問題、現実にもあるのでしょうね。
そして彼を取り巻く人々の物語も壮大。町田と関わることで影響を受け、変わる人物も少なくなく。まさしく人間は一人で生きているのではない、ということか。
室井率いる組織の存在が大きな謎ではあったのだけれど。意外と人間的というかなんというか……彼もまた神などではなく、人間だったということなんだろうなあ。