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紙の本
直江状は本物か?
2014/08/24 16:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「関ヶ原の戦い」において脚光を浴びることの少ない東北の情勢について、上杉家の動向を中心に、できるだけ良質な史料と研究に基づき活写しています。
内容は、第一章は秀吉が病に伏すまで、第二章は家康による会津征伐の直前まで、第三章は直江状の真偽、第四章は事前盟約と小山評定の虚実、第五章は東北の関ヶ原を取り上げ、全体では上杉景勝の評伝に仕上がっています。
一次史料を丁寧に追っていくと、意外な顛末が明らかにされていきます。例えば、
1 家康を挑発した直江状は、改竄・捏造の可能性が高く、一次史料と同等の価値はない(133ページ)
2 景勝と三成の事前盟約についても、「上杉氏が徳川氏に敵対行動をとった責任を、直江兼続一人に押し付けようとして、創作された可能性が高い(137ページ)」
3 家康は石田三成や大谷吉継と比較的良好な関係を築いていた(162ページ)
4 七将襲撃事件において、三成は家康の伏見屋敷に逃げ込み難を逃れたのではなく、伏見の自邸に逃げ込んだことが近年立証された(64ページ)
5 小山評定を終え江戸城に戻った家康の追撃を、兼続が進言したというエピソードも疑わしい(199ページ)
「 二次史料の活字化が進み、小説やテレビドラマで増幅され、人口に膾炙した弊害は実に大きい(240ページ)」とのこと。いかに創作話(小説の世界)が、実話と認識されて流布しているかが分かりました。
大門氏の著作は、良質な史料と最新の研究に基づき史実に迫ろうという客観的な姿勢が特徴です。「史料至上主義では歴史は解明されない」と主張し、珍説・奇説を集めてきては「逆説だ!」と歴史家を気どる某小説家とは真逆のスタンスです。
本書でも虚飾を排し、史実を追及する姿勢は貫かれています。劇的ではないストーリーにリアリティを感じ、刺激溢れる好著でした。
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