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みんなのレビュー145件

みんなの評価3.6

評価内訳

136 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

はるさめに ぬれつつやねの てまりかな(与謝蕪村:本書p.66より再引用)

2007/09/13 08:45

20人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る

私は今、安部晋三氏の辞任の新聞記事を読み終え、本書を久々に取り出した。本書を、文字通り、喜びに胸震わせつつ、手にとって、もう二十数年。今も昔も乱雑な部屋の中、さらに混乱を極めた本棚ではあるが、机に向かって左手を伸ばせば、本書だけは目をつぶっても取り出せるようにしてある。裏ディック(神秘主義)・表ディック(ストーリーテラー)双方の長所が最大限生かされた彼の最高傑作である。安部氏を批判する資格も意志も私にはない。ただ彼ないしは彼の身体がいちはやく気がついただけだ。日本の世間の一部が気がつかないうちにはじまっていた世界戦争(文字通りの戦争である)が、彼の意志を超えた動きを見せ、彼自身の物理的存在さえもおびやかしはじめたことに。私もまた抵抗できない大きな流れの中の、ほんの小さな芥子粒として巻き込まれつつあるのだ。まだ飯の後始末もしていないのに。でもやるんだよ。流し台で意味もなくピカピカにシンクを磨こう。
 本書は独・日・伊:枢軸国が第二次世界大戦で勝利し、地中海地域をムッソリーニが比較的穏健に統治する新ローマ帝国(この辺のディックの、「身体を愛する」一独裁政治体制であるイタリア・ファシズムと「身体を抹消する」本質的に政治体制ですらないナチズムのさりげない区分は見事である。「天皇制ファシズム」などという、戦前のコミンテルンの用語を使ってしまう方々には、この意味でも本書をご一読されたい)、ユーラシアの大部分、アフリカ(ホロコーストのさらなる発達・拡大)、南米、北米大陸の半分を支配し、さらには、月面にも手を伸ばす(V2ロケット技術の継続)、ヒトラーの後継者、ボルマン率いるナチス、そして戦前からの議会制に復帰し、民生品生産技術を発達させ、ユダヤ人をも許容する穏健な統治を環太平洋地域・北米の半分で布く日本(買いかぶりすぎではあるが、日本の戦前「デモクラシー」との連続性のディックの認識はここでも的確である)、この三つの戦勝国で三分割された世界が舞台である。そんな状況下、2冊の書物が人々の間で流通している。中国の古典『易経』(実在の書物である:岩波文庫刊)、そしてもう1冊は地下出版のベストセラー、『イナゴ身重く横たわりて』というアメリカ:連合国側が勝利した後の世界を描いた『SF小説』である。
 米国駐在の一日本人中年官吏田上氏(戦前アメリカ小物オタク)、一ユダヤ人失業者フリンク氏、彼の離婚した妻ジュリアナ、戦前アメリカ骨董店の店主チルダン氏は、それぞれに平穏とは言えないが、普通に悩み、職探ししたり、ナンパされたり、商売に励んだりしていた。幸福ではないが凡庸な日々。
 しかし、ある一人の男の死が、薄皮一枚で隠蔽されていた戦争状態を露わにする。ボルマン・ナチス総統の死去の噂:次期総統を巡る権力闘争:日本側の介入の試みが、一官吏田上氏、そしてそれぞれの平凡な人生を大きく動かしていく。そして彼らは、全体像も見えぬ、目的も定かではない、流れの中で、限りなく小さく、はかない存在として、懸命にもがき続ける。
 「われわれは自分の生命を守るために、悪の権化が政権につくのを後押ししなければならないのか?それがこの世の状況のパラドックスなのか?」と田上氏は自問する。(本書p.284より)。しかし。彼は一官吏として、そこから逃げずに踏みとどまり、苦しみを引き受ける。 
 「ほんとに、輪タクだったかい?運転手がペダルをこいでいたかい?」(本書p.353より)
 そして、ジュリアナは歩き出す。
 「動くもの、光り輝くもの、生きたもの、彼女をモーテルまで運んでくれるものを探し求めて。」(本書p.391)

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紙の本

派手さはないが考えさせられることの多い傑作

2017/04/29 15:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドイツと日本(とイタリア)の枢軸国側が第二次世界大戦で勝利していたら・・・

そんなことを考えたことのある人はきっと多いはず。その答えと言うわけではありませんが、
この小説の世界は、「もしかしたら世界はこうなっていたのかもしれない」、そんな風に思えてなりません。

特定の主人公を設けずに群像劇の手法で物語を展開させることで、様々な角度からこの世界の姿を描くことで説得力を与えています。

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2004/09/27 04:00

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2007/03/13 15:21

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2007/12/13 12:21

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2009/02/12 12:11

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2009/04/17 00:33

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2009/05/25 23:27

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2010/02/11 13:28

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2010/03/16 22:14

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2010/03/22 21:26

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2010/04/19 12:20

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2011/05/09 22:39

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2011/06/02 15:09

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2011/07/27 23:31

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