紙の本
「マット・スカダー」シリーズのターニングポイント
2003/02/11 18:35
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りゅう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「マット・スカダー」シリーズの底流に流れているのは、アルコールの問題である。ハードボイルドミステリーと言いながら、アルコール問題を扱い、見事に成功している。本書では、AA(無名のアルコール中毒者たちの自助グループ)のミーティングに参加しながら、なかなか話すことができない、「アル中です」と言えない彼は再飲酒してしまう。
「マット・スカダー」シリーズのターニングポイントとなる本書では、アルコールを止めようという強い意志があるにもかかわらず、飲んでしまうというアル中の性がよく書けている。フィッツジェラルドの「新緑」(村上春樹訳)を思わせるアル中の描き方である。「新緑」では自殺で終わるのに対して、本書では希望(?)で終わるように思う。事件が解決したとき、マットの心に何が訪れるのだろうか。
「マット・スカダー」シリーズは、単なるハードボイルドミステリーではない。特に本書は期待して頂いて良い、とぼくは思う。
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アル中で探偵(?)でない主人公に引かれて
2002/07/13 23:34
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エウロパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「コーヒーにバーボン」、この組み合わせは、飲み助でない私もやってみたくなる飲みも。「マッド・スタガー」シリーズでは、最近作以外では随所に出てくる。本書は後半の盛り上がりと言い、ストーリー展開といい作者の代表作だと思う。
このシリーズの持ち味は探偵でない「マッド」の個性にかかっている。自堕落な生活、私もそんな生活がしてみたいと思う人にはこたええられない魅力のある作品です。まず、この本書を読んで主人公が気に入ったら、このシリーズを読んでください。ただし、最近作は酒を止めておもしろくもない作品が2000円近くの値段でうられているので、私としてはオススメできない。本書の作品の前後に書かれた作品がデカダンスな雰囲気を一杯持っていて、こういう雰囲気の好きな読者にはたまらない本となると思います。
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最後までハラハラドキドキ
2021/04/15 15:17
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投稿者:こひめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうどうなることやらと不安でした。物語の終盤になるのに確実な手掛かりは全然見つからないし,その間に人はどんどん亡くなっていくし,主人公は事件が進展しないイライラ+アル中の葛藤と戦わなきゃでどんどん鬱になっていくし、、、読んでいるこっちまで鬱が40%くらい感染っちゃったくらい気が重いお話でした。「カッコいい探偵が華麗に登場して,難事件をズバズバ解決していく」話を望む人にはこの本は向きません。1人の生き方が不器用な男があがいていく様を見たい方にオススメです。
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エンタテイメントに徹した佳品
2002/02/12 18:38
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投稿者:ひろぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のマット・スカダーは、ある意味で紋切型でクサい部分もあるのだが、それでも背景の街や他のキャラクタやストーリーの展開の中にしっくりと溶け込んで人工の跡をとどめていない。ストーリーそのものは驚くほどでもない標準的・通俗的なものだが、最後までサスペンスが持続するし、終盤の山場での活劇からしんみりとしたラストに至るまでの起承転結の構成が素晴らしい。エンターテイメントに徹しているところが好感が持てる。細部まで目配りの利いた完成度の高い好編。
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分類したらハードボイルドミステリなんだろうけど、主人公のマット・スカダーの変化を追う方が面白い。だから、おれの中ではミステリとしての評価はあまり高くない。
しかし、それでもこの本は傑作。シリーズ1作目から通して読んできたので、この本の最後は涙が出た。
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梁朝偉が20年近く拘ってる本ということで読んだ。なんかね、好き。いいよ、この本。長いし、ミステリーとしてはかなり微妙だけど、スカダーさんが好き。シリーズものなので他も読んでみようかな。
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「アームストロングの店に彼女が入ってきた。キムというコールガールで、足を洗いたいので、代わりにヒモと話をつけてくれないかというのだった。わたしが会ってみると、その男は意外にも優雅な物腰の教養もある黒人で、あっさりとキムの願いを受け入れてくれた。だが、その直後、キムがめった切りにされて殺されているのが見つかった。容疑のかかるヒモの男から、わたしは真犯人探しを依頼されるが…。マンハッタンのアル中探偵マット・スカダー登場。大都会の感傷と虚無を鮮やかな筆致で浮かび上がらせ、私立探偵小説大賞を受賞した話題の大作。」
解説より
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アル中探偵・スカダーが活躍する本書。特に奇妙な話でもなく、華麗なトリックがあるわけでもない(大概のハードボイルドはそうですが)。しかし、八百万の死にざまがある腐った街の描写が秀逸でその空気がビンビンに伝わってくる。その雰囲気が最大の魅力であるような作品でした。
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アル中探偵が主人公の極上ハードボイルドミステリ。正直言って、事件そのものはどうでもいい。誰が犯人であろうと関係ない。ただただ、事件を追いかけるスカダーを始めとする、登場人物たちの持つ魅力にのめり込んでしまうタイプの話である。暗いけど。
前作に比べて、主人公が酒を飲むシーンは少ない。飲めば死ぬと言われているからだ。つまり、飲みたい気持ちを必死で押さえながら捜査を続けるシーンが延々と続く。文章がうまいせいもあり、読んでいるこっちが苦しくなる。酒が好きで、最近ちょっと飲み過ぎているかな、なんて思っている自分ならなおさら。
ラストの主人公の一言。ほとんど伝説のようなシーンなのだけど、僕個人は余り感動できなかった。初めて読んだときも、そのときよりずっと共感的に読んだ今回もそう。なぜだろうなと思う。むしろ、同じアル中の女性と主人公のやりとりのほうが、特に彼女の思いをイメージすると、ひどく心が揺さぶられる。もうひとりの主要登場人物である黒人の心の中にある孤独も。
2009/7/14
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アル中探偵マット・スカダーシリーズ。アル中の辛い症状、酒の誘惑の強さ、AAの実態とか、かなり掘り下げて書かれていて、とても良かった。ミステリーももちろん良い。ローレンス・ブロックは「泥棒探偵バーニィ」シリーズはかなり読んでいるが、マット・スカダーは初。楽しかったです。結構長くて読み応えもあったし。
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ミステリーっていうよりハードボイルド。
わたしにはちょっと・・・。
真犯人はだれ?という読み方をする本ではなく、主人公、登場人物のそれぞれの生き様を感じながら読まねばならないストーリーだということに、遅ればせながら気付きました。
ニューヨークの怖さが分かる本といったらこれ!って感じですか。
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とても読みやすかった。大雑把に言うとチャンドラーよりもパーカーよりな印象で間口は広そうな気がしました。日々のアルコールとの葛藤、新聞を飾る事件の数々、これを繰り返すことで主人公のやりきれなさを浮き立たていたように思う。ただあまりにもそれが多すぎた感は否めない。あと、犯人・・・ちょっと唐突なように私には思えましたが、ラストはスカダーが自分の殻を破れたようでなかなか良かった。 チャンスが魅力的。
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「飲まない日はいつもいい日だ。正気でいられるからね。でも、それが、飲まないで正気でいるってことが、アル中にとっては何よりも辛いんだ。」
わたしはそうでもなかった。退院して九日か十日経つが、あと二三日素面でいたらまた飲もうと思っていた。
アル中探偵、マット・スカダーの登場である。
ニューヨーク、マンハッタンを舞台にした探偵小説シリーズの第四作。
実在のビルや街角が出てくるので、グーグルアースでチェックすればニューヨーク通にもなれる、ちょっと古いけど。
このシリーズのなかで、主人公のアル中が少しずつなおって健康になっていくんだけど、話はだんだんおもしろくなくなっていく。
そりゃあそうだ、身を持ち崩したアル中探偵だから共感できるのに、お金持ちになって健全な倫理観などを持ち始めるとろくなことはない。
アル中で苦しんでいるシリーズ途中でやめておこう。
もちろん小説の中のお話。
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こちらの本格的ハードボイルドも驚いた。
主人公がアル中の治療を始めていた。
このままどこまで落ちて行ってしまうのかと心配していたので良かったし、
主人公の弱さが現実味を出していてして良かったが。
この先、どうなるのだろう。
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タイトルだけ知ってた本を読んでみる その1
アル中探偵とヒモらしくないヒモの友情がよかった。