紙の本
いつの時代も変わらない政治家たち
2019/09/13 05:54
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
折返しの第10巻。この巻では、いつの時代も変わらない派閥争い。ジャコバンクラブの中でもジロンド派が台頭。ロラン夫人の工作もあり内閣の多数を牛耳り、オーストリアに戦争を吹っかけるという巻。この頃から派閥の権力争いがあったとは。いつの時代も変わらないなぁと改めて感じさせられました。さてオーストリアに戦争を吹っかけるも弱小フランス軍。もう少し先ですが、これがナポレオン戦争では連戦連勝になるのですから、指揮官の力は偉大だなぁとも思いながら、引き続き第11巻へ!
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『小説フランス革命』の文庫版として、2011年9月から9ヶ月にわたって月一で発刊されていた。
9巻までが第一部で、発刊も2012年5月に終わっている。
この第1部は、1789年のフランス革命前夜から夜から憲法制定とその周辺が描かれていて、毎月楽しみながら読んだ。
(今思い出すとミラボーの死はショックだったなぁ。)
そして時は流れ・・・
ついに2014年9月から、またもや月一で文庫版第2部が続々と刊行されることになった!
10巻『ジロンド派の興亡』は、革命後の政治の裏側と女性の活躍、ロベスピエールの精神的成熟が描かれている。
すこし話がややこしくなってきているけども、十分楽しめる。
解説の金原瑞人さんがあらすじを解説してくれているので、読了後のまとめとしても、助かった。
さて、来月が楽しみだ!
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【内容(「BOOK」データベースより)】
1792年。捲土重来を期するルイ16世は、開戦派のジロンド派を中心とした内閣改造を実施。フランスは外国との戦争を開始するが──。フランス革命の全貌を描くシリーズ、新章突入!(解説/金原瑞人)
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【著者略歴 (amazonより)】
佐藤賢一
1968年、山形県鶴岡市生まれ。東北大学大学院文学研究科で西洋史学を専攻。93年、『ジャガーになった男』で第六回小説すばる新人賞を受賞。99年、『王妃の離婚』で第一二一回直木賞を受賞
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第二部の開始
この巻のフランスの状況は、現代の国際的な政治状況をそのまま写しているのではないかと思うくらい。
経済的困窮の打開を外国との戦争に求める国の指導者
国際的な政治状況を利用して、金儲けに走る投資家
富める者と貧しく困窮する者の格差が拡大し続ける社会
「フランス」を「国際社会」に置き換えて、過去に学ぶ時がきているのではないかと思う。
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ブリソたち主戦論が政権を握る。そこにはルイ16世のフランスを敗戦に持ち込むことで王権を回復しようとする策略があった。国内の矛盾を外国との戦争によって目を逸らし、また勝利することで強権を手に入れ一気に改革を進めようとするが、敗戦が続く。王はブリソたちを罷免する。ロベスピエールはブリソたちと袂を分かつ。そしてただの自由や平等では人々は救われないと気がつく。フランス国内は食料難で不満は爆発寸前。再びデモが起こる。しかし、王に説得される。時代はまだアンシャンレジームか革命か、混迷の中にある。
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次々と個性的な人物が登場して、物語は佳境に向かって進んで行く。わくわくどきどきしながら、読んでいる。
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1792年のフランス革命情勢はわかりづらい。テニスコートの誓い、バスティーユ陥落と続いた1789年はまだ諸勢力の旗幟が鮮明だったが、1792年には諸勢力の思惑はそれぞれに分裂し、保守合同で基盤を固めたはずのフイヤン派はシャンドマルスの虐殺がたたり不人気にあえぐ。国王は内閣を短期間で入れ替えて主導権を保とうとし、各勢力のいがみ合いと疑心暗鬼が深まる中で、諸外国が介入姿勢を強めていく。
しかし、オーストリアの老獪なレオポルド二世は、娘の嫁ぎ先を案じつつも戦争は考えていない。では誰が戦争を望んだのか。国王ルイ16世とマリー・アントワネットが外国王軍を呼び込んで自らの救出を図ったのだ、とすればわかりやすいが、佐藤さんの観察はもう少し深い。
この巻からジロンド派の語り手としてロラン夫人が登場する。彼女の虚栄心と国王の小細工が掛け合い漫才を繰り返す中で、フランスはオーストリアに宣戦布告し、危機は深まっていく。誰がこの事態を打開するのか。夫人のサロンでおしゃべりを繰り返すジロンド派か、頭でっかちのロベスピエールか、それとも行動力で鳴らすダントンか。答えは次巻に出る。
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ジロンド派の興亡というか、マノン・ロランの栄光と挫折って感じか。一人分の権利よりも、利用できる物は利用して権力を!ってのは素直で良いなw
そして、ルイ16世の深謀遠慮と、ロベスピエールの開眼!