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官能小説に入るのかもしれないこの作品。
社会の中で女が生きるとはこういうことなんだと、女が読むと納得するが、男にはわからないのかもな…
大学時代に不倫していた鞍田と再会した塔子。
塔子は結婚し、子どもを産み、家庭に入って、義父母と同居していた。
鞍田との再会で、塔子は鞍田のツテにより会社で働くことになる。
女として鞍田との関係、更に小鷹との関係、
妻としての思いが伝わらない夫への思い、
義父母への気遣い、
母として子育てする姿…
女は大変…
印象に残ったのは、夫は子どもの面倒を見てくれないと何度も塔子が思う姿。
家は自分のおかげで住めると思っている夫。
しかし、そういうことではなくて、いつも女の方が折れる(というと男は女のことを頑固だという)
この辺りは凄くわかるなぁ、と。
不倫している間、いけないと思いつつも塔子があまりにものびのびとしているので、そこが清々しかったり。
また、この本からは義父母との同居はできればしない方がいいのかな、とも思った。
2人の力で2人の愛を育むのが一番かと。
最後にこの作者、私とも年が近い。
この歳でこんな作品が書けることに脱帽。
また別の作品も読んでみたい。
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読み終わって、初めてこれが官能小説というカテゴリに入っているらしいということを知った。どおりでやけにそういう描写が多いと思ったので、今更納得。
好きな作家さんは、文体が好きなので、いつも通りすらすらと読めた。
正直、この主人公にはなかなか共感出来なくて、なんでこんなに欲望のままにふらふらしちゃうんだろう、と思ってしまった。でも、まぁ前述のカテゴリに入れようとするなら仕方ないか、と今は思う。
この人の恋愛物語のラストは、
いつも唐突に迫ってきて。
あの何ページかで結局泣かされてしまう。
『ナラタージュ』の時の感じを思い出した。
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官能小説だとか、不倫小説だとか、いろいろ書いてはあったけれどいちばん思ったのは家庭のこと。嫁になってしまうということがつらかった。塔子はだらしないしだめなところもあるけれど、何不自由無いように見えてもこういった問題はあるんだって考えさせられた。少女が主人公の小説に出てくる綺麗なお姉さんもこういうことで悩んでいるのかなーとか。
翠ちゃんの選択に泣きそうになった。ラストが好き。
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読みやすいのですが、男の自分としては、えっ、と思うことたびたび。
本むき出しで電車内では読めませんでした。
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可愛い2歳の娘がいて、友人のように気さくで孫に首ったけで、孫のお守もしっかりしてくれる姑との同居。
イケメンで有名企業に勤める真面目な夫。
回りから見たら、幸せとしか言いようのない家庭を持っている塔子。
心の中では少しずつ不満が降り積もっていても、それが表面に出てはいなかったのが、後輩の結婚式で昔の愛人に再会したことで、どんどん表面化してくる。
夫のあまりにも自分中心で、無関心なのにも腹がたったけど、それにしても塔子の他の男性へのふらふら加減は信じられなかった。
自分の心を見つめ、やっと自分がしたかった事、最初の会社を辞めたくなくて、結婚しても働きつづけたかった
ということがわかり、自分のイライラの原因が『今の家に自分の居場所が無い』という衝撃の事実に気づいて、初めて家を出る。
そこで、いままでどれだけ自分を殺してきたかに気付く塔子。
そして、塔子がいなくなって初めて自分の気持ちに気づく夫。
自分本位で、楽に生きていたと思っていた、夫が実は、やっぱり家庭の犠牲者だったという事がわかり、不器用だけど、塔子の事が好きだったという、自分の気持ちを素直に書いた夫からの手紙で救われました。
最後に親子3人で暮らし、自信を持って生きている塔子になれて良かったです。
ただ、そんな両親と祖父母の間に挟まって、何不自由のない生活から、不安定な状況に置かれてしまった娘の翠は可哀想だったし、それが将来のトラウマになるんじゃないか?という不安。
そして、それこそが悪の連鎖の原因なのかも・・・と現代社会のどこにでもあるような家族の闇を上手に描いていると感じました。
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ナラタージュの10年後っていう感じ。
つかほんとに10年近く経ってるんだな…
いつも通り地味で影があって妙にエロい女と年上の恋愛にトラウマがある枯れた風男、奔放で魅力的な男友だち的第三者。
濡れ場は読み応えもあるんだけど、何せ多くて最後のあたりは飛ばし気味に読んでしまった。
濃厚で丁寧でよかったです。
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いわゆる一流とされる企業のサラリーマンだからといって必ずしも頭が良くクレバーなわけではない、ということを再認識させてくれた作品。
…って、全然このストーリーの主要人物ではなく、脇役の塔子の夫のことをさして言ってるんだけど…(笑)
何かと振り回される女性の周りには必ず振り回す男性がたくさん寄ってきてしまうというのもなんとなく頷けるなぁとしみじみ…
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通勤電車で本を読むワタシにはナカナカ、、、。
塔子さんは、すこーし男性にだらしないのかな。
小説内のことですから、それはそれとして。
長編でしたが、飽きずに読めました。
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いろいろと考えさせられる小説だったな。
グレーな領域をどこまで許せるかな、とか。
私は白黒はっきりとさせたいタイプだけど、もしかするとその価値観が全てではないのかな、と思った。
最初は塔子の流されやすいところ、自己評価の低いところがあまり共感できなかったけど、読んでいくにつれて惹かれていった。
あとはこんなに人の細かいところまでみんな観察しているのか、分析しているのか、、ってところがとてもきになった。
もっと人は本能的に生きているのでは?少なくとも私はそうかな、それはそれでいいかなと思った。
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ワタシは自身が女性的だというのを自覚している。これはそのワタシの琴線に引っかかった女性的なモノの一つだ。sex and the cityしかり。
でも男性だから男性的な視点と男性フィルターを通した女性的な自分から読んでいた。(ややっこしい…)
主人公の塔子みたいな女性にワタシもあったことがあるが、
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これを読んだら、自分が歳を重ねていることに気がつかされた。そして、島本理生が成長していることに気がつかされた。「結局さぁ、時代が変わっても、男が女に求めるものって変わらないんだよ。未だに合コンで看護師と保母さんが人気あるのって、子供と自分の面倒を見てくれる女がいいってことでしょう。 .. .. ..」この辺とか確信ついてるよね、皮肉。
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いろいろと考えさせられます。こういう世界もあるのかな?いけない世界と解っていながら、読んでて楽しかったです。
どういう世界の話かはここでは内緒にしておきます(苦笑)。
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結局、なんだかんだやってても元さや。
それがちょっとモヤモヤ感を残した。
でも塔子のような主婦に限らずなのかも。決められた枠にはめられてる時には冒険してみたくなるってことかな。
官能的な部分はうまく、きれいに書かれていて、嫌な感じはしなかった。
共感もし、反論したくもなり、納得もした内容にあっという間に読み終わった。読んでいる自分に夢中になれた作品だった。
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切ない。切ないという言葉で終わらせてしまって良いのかわからない程に沢山の感情が絡まり合う。主人公が抱える孤独や心の中の闇に触れると心が冷えてしまうのに、それでも引きずり込まれたいというか。この世界観が決して嫌じゃない。私はやっぱりこの人の小説が好きだ。
女という生きものは、兎角色んな役割を背負って生きているもの。ただ生きていくということが、こんなにも苦しいものだとは。家族とも分かり合えずに苦しみ、愛されたくて必要とされたくて必死にもがく主人公を、誰が責められるだろうか。鞍田との関係を、不倫と言葉にしてしまえば簡単だけど、それだけじゃ言い表せない関係性があると思う。簡単に定義できるだけのものじゃない。そういえばこの小説の中で、この2人のことを不倫と表現した部分はなかったんじゃないだろうか。塔子だけでなく、矢沢や小鷹の核心をつく言葉にハッとする場面がある。
ラストは切なくて切なくて涙が止まらなかった。
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お休みだから図書館に行って借りてきた。
島本理生さんの『Red』読了。地元図書館の島本さんの本の中で一番分厚くて一際目を引いたから手に取った。今確かめたら415頁もあった。
でも、興味深い内容だからぐいぐい読めて、かかったのは1時間半位かな。
結婚とか、恋愛とか。そういうのって何なんだろう。
塔子(主人公)が自分の生育歴とは異なる「完全なもの」「普遍的な幸せ」を追い求めた気持ちは痛いほどよく伝わってくる。
人からはみ出してはいけない、という呪いじみた気持ちは多分、多くの人が無意識的に心の中に秘めているだろう。
家庭を持ち、子どもを育てることで完全な大人になって、普遍的な幸せを手にいれたような気になって。でも実際は、たくさんのしたいこと、願望を犠牲にして成り立つ幸せでしかなくて。
恋愛までは自由なのに、結婚の後は驚くほどに身動きのとれない、不自由な世界に押し込まれる。
その不自由さに鬱屈した時、人は浮気に走ってしまうのかもしれない。
先が見えない関係だけど、多分そこには姑だとかママ友だとかのしがらみは存在しないから。
塔子は良妻賢母を絵にかいたような人だけど、いつも自信がなくて身を引いて、本音をうまく言えなくて、世間の常識にがんじがらめにされて窮屈に生きている。
だからその分、爆発した時のエネルギーが凄まじい。
その辺りの感覚も分からなくはないから、あまり他人事ではない気持ちで読みきった。
塔子の夫の真の言い分は塔子を常に下にして見ていて、女は家を守れだとか、女が正社員なんてだとか、自分のための金を稼ぐなんてしなくていいだろうとか…一方的で腹立たしいものばかり。気持ちを素直に話すところはいいかもしれないけれど、塔子の心の機微を全く推し量ろうともしない。塔子が尽くしてくれるのを、妻ならそれが当たり前だ、して当然だ、と享受して、自分のジェンダー論を押し付けている。
おかげで塔子は、好きだった仕事も辞める羽目になった。実の父が余所に女をつくって離婚して、そのまま行方しれずだということも「外聞が悪いから」と夫に口止めされ、父と定期的に会っている設定にされながら結婚し、その設定を信じた義母らと同居している。
結婚って、相手を犠牲にするための制度なんだろうか。
全ての結婚がそうだとは思わないけれど、どうも、あまりプラスのイメージが持てない。
だからこそ、鞍田さんと塔子の恋愛がとても伸びやかでやわらかなものに見えてしまう。実際はそれも、不自由さと隣り合わせの仮初めの自由なのだけど。