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文庫にて再読。装丁はハードカバーの方が好き。
旅に出ながら読みたくなる一冊。誰しも時間を、土地を、たゆたいながら生きている。靴を買う話がとくにすきだ。
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今まで読んだ森絵都さんとは雰囲気がガラッと変わったので、最初馴染めないかなぁと思った。けど、読み進めるにつれて、ちょっと変わってるんだけど、所謂何気ない日常を描いていて、ほっこりする作品集だったな。
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83
不思議なタイトル通り、全部の話に引き込まれた!
最初の話もまさかのオチ~~!
クジラ見の旦那さんの最後の言葉は笑ってしまった。
あと母、北上の長々と話した息子にそこだけは良かったってバッサリ言い切る母が好き。
あと新幹線のやつ笑った~!危機一髪ですね本当に。
引き込まれて、引き込まれて、あっという間に読み終わった。森絵都さん大好き。
20191111
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2019/10/11
また短編だ。
長編が好きなんだよね。
桂川里香子がいいな、スッキリして。
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日常を描きつつ、ウイットと スコーンと向こう側に突き抜ける結末。
美味しいちっちゃなチョコレートの詰め合わせみたいな1冊。
表題作は、大きなひげ男の人形を抱え、茫然とする主人公の様子が目に浮かぶよう(笑)
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短編集。自分にとって面白いと思った話は半分くらいかな。ラストシーンと表題作がなかなか好みの作品でした。特にラストシーンは、倫理観と実際のルールのどちらを優先すべきかという議論が展開されており、非常に興味深い作品でした。
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あなたは、長編と短編のどちらが好きでしょうか?
そうですね。私は長らく短編は苦手でした。せっかく作品の舞台がイメージできて、主人公にも感情移入できたと思ったのに、せっかくいいところだったのに、無情にもプツッと現実世界に引き戻されてしまう、もしくは、また次の短編の新しい舞台をイメージしていかなければならないなんて…。ああ、短編を読むというのはこんなにあっけないことなのか。そんな風に思ったこともありました。この数ヶ月で300冊以上小説ばかりを読んできた私ですが、そもそも今思い返してみて短編で印象に残っているものを挙げろと言われても戸惑いを隠しきれない現実もあります。『ジャンプできるというか。短編って思いきったことができる』と語る森絵都さん。『長編はストーリーの大きな流れがあって、それを流し続けることが最優先だけど、短編は自由なフォーカスで人物や風景だけを切り取ることもできる』と続ける森さんの言う通り、一冊丸ごとを一つの設定の土台の上に作品世界を構築する必要のある長編と違って、短編は例え無理筋の設定であってもサクサクとまとめてオチをつけてサッサと立ち去るような強気の物語だって構築することができます。そう考えれば考えるほどに、長編と短編は同じ土俵の上で比較するようなものではないのかもしれません。そして、その味わい方も全く異なるのかもしれません。
多くの作家さんは、長編と短編のどちらにもチャレンジされるのが一般的だと思います。作家さんによってどちらにより秀でているかも異なります。長距離種目と短距離種目の両方に秀でることは容易ではないと思います。しかし、小説の世界は異なります。陸士競技とは違ってその両方に高い才能を発揮される方もいらっしゃいます。「カラフル」、「みかづき」と長編の名作を生み出す一方で、短編にも名作が粒揃い。現代日本における短編小説の名手の一人とされる森絵都さん。この作品は、そんな森さんの安定感漂う短編集です。
ということで、10の短編から構成されたこの作品。森さんの短編というと、ふっと肩の力が抜けるようなフワフワした印象の作品が特徴ですが、この作品も身近な舞台から、外国、そしてまさかのファンタジー世界まで多種多様な短編が集まっています。そんな中で特に印象に残ったのが次の二つでした。
まずは〈桂川里香子、危機一髪〉という短編。強烈なそのタイトルからどんな危機が訪れるのかと興味が湧きますが、なんとも痛快な一作でした。『桂川里香子と初対面の挨拶を交わした』のは『京都へ向かう新幹線の中だった』という『私』。『すでに窓側の指定席で日本酒のワンカップをぐいぐいやっていた』という里香子の『ワンカップから目をそらし』、『初めまして、岸田の代理で参りました』と挨拶をする『私』。『社員一同、桂川先生には心より感謝しております』とは言ったものの『なぜ桂川先生と呼ばれているのかすらも知ら』ない『私』。『各界に幅広い人脈を持』っていることから『京都在住の経済コメンテーター』を紹介してもらうのが今回の目的。『話がついたらそこで私を放免してちょうだいね』と言う里香子。『祇園の元芸者たちと湯豆腐同好会を結成し���るんだけど、今夜は彼女たちとの大宴会がある』と言われ『真っ昼間からカップ酒を食らい、夜は夜で大宴会』と聞いて呆れる『私』。『アルコールはこのへんにしておくから』と言う里香子は『ある程度、東京駅から離れれば落ちつくの。それまではどうにも素面じゃ落ちつかなくって』と続けます。『乗り物、お得意ではないんですか』と聞く『私』に『新幹線だけ』と語る里香子は『昔、ちょっとしたことがあってね』、『私の思い出話を聞きたい?』と続けます。『出会って三十分足らずの彼女の過去』に『興味を覚えていた』という『私』に過去を語り出した里香子。『今を遡ること五十一年前、桂川里香子は名古屋白壁地区の旧家に生を受けた』と名家のお嬢様として生まれた里香子。『子供のころから本能的に自由を愛してい』たという里香子。そして『三十路にさしかかった里香子を思わぬ波乱が襲った』という試練の時代。『何者にも縛られることなく生きてきた彼女は、ついにあの抗いがたい拘束に身を囚われた』という一大事。それは『大恋愛』というまさかの衝撃。そして『新幹線。そう、もしここで彼らがほかの交通手段を取っていたとしたら、里香子の行方は一変していたに違いない』という里香子に起こったまさかの『危機一髪』が描かれるこの作品。結末のほんの数行が、それまでの里香子に漂っていたモヤモヤとしたイメージを断ち切り、読者の胸をスカッとさせる痛快なオチで締めくくるこの物語は、切れ味鋭い森さんの短編ならではの魅力に満ち溢れていました。
もう一編は表題作の〈異国のおじさんを伴う〉という不思議なタイトルのついた短編です。『根拠なき直感を重く受けとめるきらいがある』という『私』。『わけもなく気になる。大体においてすべてはそこから始まる。とりわけ創作に関しては』という『私』は、例えば『ある日、突然、それまでなにげなく見過ごしていた「やぶさめ」という儀式が気になりだす』という瞬間があり、『理由はわからないが猛烈に気になる』という展開を辿ると説明します。そして『気がつくと「YABUSAME!!」と題する小説を書いていた』という結果がついてきた『私』。そんな『私』の代表作が『ビアード・マン』シリーズでした。『某百貨店で催された世界民芸品展で出会ったある人形のおかげ』と、そのきっかけとなった『ひげ人形』。『顔の下半分をひげで覆われ』、『出来損ないのタワシのようでもあ』るものの『無視しがたい愛嬌を振りまいていた』というその人形。『オーストリアの人形で、森の妖精』という人形を『千円ならばと財布の紐をゆるめ』て買った『私』。『かじかんだ指先でもてあそびながら家路につ』き、『家に着いた頃には早くも頭の中で想像上のビアード・マンが躍動しはじめていた』という展開。そして『この人形との出会いが私の人生を変えたと言っても過言ではない』という結果論。『画家に恵まれ、ツキにも恵まれて多くの読者を得た』その物語。そんな時、『オーストリアの〈ひげ人形愛好会〉なる団体から一通のメールが届』きます。『今年十月二十日に地元リンツで開催するひげ人形愛好会の集いに、ぜひともあなたをご招待したく思っています』というそのメール。悩んだ末に『ひげ人形愛好会のご招待、謹んでお受けしたいと思います』と返信した『私』。そして日本を旅立���、『目覚めると、異国の朝だった』と、リンツへと赴いた『私』を待ち受けていたのは、想定外に次ぐ想定外のトラブルの数々。そんな中で『私』は『新たな道連れとともに未知なる旅を追ってゆく』という新たな人生の飛躍へと向けた大きな一歩を踏み出していきます。そんなこの作品は、人生の奥深さを感じさせるとともに、主人公の中に湧き上がる清々しい気持ちが風にたなびく鮮やかな結末にすっかり魅せられた傑作でした。
他にも「道のむこう」という”道”がたくさん写った写真集を取り上げ、女性は『私はこの道が一番好き』と『道と自分を重ねる』傾向にあることから、彼女が選んだ『道の写真』にその性格を重ね合わせていく〈藤巻さんの道〉。『葬儀屋のマイクロバスでナンパをする男も男なら、される女も女だ』という起点から『昔から、ときどき見えてしまうんです』というまさかのファンタジー世界が展開する〈ぴろり〉。そして、『二年前に父が逝って以来』、母が一人住まいの家の中で居場所を北へ、北へと移していくという不思議に、息子が『僕が母から逃げてはならないように、母も自分自身から逃げてはならないんだ』と真摯に対峙していく様が、まさかの結末を迎える〈母の北上〉など、短いながらも鮮やかなオチで締めくくる短編ならではの味わいを存分に感じさせていただいた作品でした。
10の短編から構成されたこの作品。そこで展開する物語は、いずれも何かにこだわりを見せる人たちの日常に繰り広げられる些細な出来事に光を当てていくものでした。何のことはない普通の日常のそこかしこに転がっている些細な事ごと。そんな日常を短く切り取って、そこにドラマを描いていく森さん。
長編には長編の良さがあり、短編には短編の良さがある。今回、上下刊にまたがった長編の〈クラスメイツ〉と、この短編集を連続で読んでみて、どちらにもそれぞれの味わいを感じることができました。フルコースを食べて、アラカルトの良さを知る。アラカルトを食べれば、フルコースで食べてみたくもなる。長編と短編とは、そんな風にそれぞれを違う楽しみ方で味わっていくものなのかもしれません。そんなことを感じながら、サクッと楽しませていただいた短編でした。
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良作ばかりがズラリと並んだ短編10編。各編、もう書き出しだけで引き込まれます。クスっと、しんみりと、爽快! 色んなところに連れて行ってもらいました。様々な状況下で至る気づき...。いやぁ相変わらずの筆力に脱帽です。
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ハードカバーで読了。かなり短めの短編集。
世界観にどっぷり浸かりたいタイプの私には少し物足りなかった。
99%の日常にほんの少しの荒唐無稽さがあって、その雰囲気は好き。
特に1話目のとラストシーンがよかった。
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短編集、面白かった!
どの話も雰囲気が違うけれどユーモアも毒もあったかさもあって面白かった。
『藤巻さんの道』と『クジラ見』。どちらも最後のセリフにとても笑った。
『桂川里香子、危機一髪』もとても好き。
桂川里香子がとてもいいキャラしてるし読み終わった後スッキリする。
一番印象に残ってるのは『ラストシーン』
最後の流れには驚いた。
映画のラストを観せたいどうこうからの40Cに座る彼のリアルで切実な台詞にはぁっとなった。
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最後に驚かされたり、納得したり、とても楽しめた短編集。一冊のなかにたくさんの思いがあふれていた。どの短編も面白かった。他の人にも気づいてほしいようなことがたくさん描かれていた。
「藤巻さんの道」「クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の···」「思い出ぴろり」「ラストシーン」「桂川里香子、危機一髪」「母の北上」が特によかった。
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10編の短編集、と言うよりショートショート、と言った感じ。初めに解説を読んでしまったせいか、
「ご本人にとっては練習なんだ」と言う読み方をしてしまう。
自分的には、「母の北上」がお気に入り。
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全編視点やストーリーは異なるけれど、どれもクスッとさせられたり、やられた!と思わせられたり、押し付けがましくなく人情味に溢れていたりしていて、どれも楽しめた。
まさかのタイトルの「おじさん」の正体?に驚き。
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森絵都の短編集はを読むのは本作が3冊目だが、個人的には一番のヒット。全ての登場人物が可愛らしく愛おしく感じ、元気が出た。
「藤巻さんの道」「母の北上」が特に気に入った。