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何かをしなければ「死」という状況では、制度が役に立たないこともある。本書はそこを突破するにあたって、思想的、実践的に極めて興味深い指摘に満ちている。事例(ケース)がとって付けたものではなく、論の血肉になっている。不条理を嘆いているだけでは、明日はこない。たくましさ、生き延びるための優しさが大事なんだな。今の自分に必要な視点であった。
・ヨハネ:裁き、イエス:赦し
・裏を返せば、福祉という制度から投げ出された人びとの工夫である「生きられた法」は、裏の福祉のあり方そのもの。
・「生きられた法」は、法律としてのルールではなく、世界の使い方の実践である。これは法構築理論の「抵抗」のあり方とは一線を画す。
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既存の福祉の制度からこぼれてしまった時にどうすればいいか、という話だから、別に「反」福祉論ではないかなぁと思った。事例は参考になるが、これをどう活かしていくかと考えたときに、なぜそのようなことが実現したのかという要因の分析などが甘い気がするし、解釈に疑問が残るところはある。5章のイエスに関するくだりは正直なくていいと思った。
現状の制度でどうにもならないのであれば、生きていくために自分たちでどうにかしていかなかければならないのはその通りであるが、その時に、根本問題から目をそらさないようにしたいと思った。
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福祉を社会学で考えたような?本。もっとやわらかい本かと思ったら、むずかしくてほとんど読めなかった。
いまの福祉の制度や実践からこぼれおちているひとに学ぶことによって、福祉をさらに発展させたいとのことですが、内容がわからなかったので、わたしにはなんとも言えないです。くやしい。
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反福祉論というタイトルですが、何を論じているのかがあまりはっきりしませんでした。制度による福祉は確かに限界があります。それを補完する実践が必要であり、すでに取り組まれていることも自明です。実践の実例は読みごたえがありました。そこを中心にルポとして、論を展開したほうが著者の言いたかったことがはっきりしたのではと思います。
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福祉や保険制度があって、それにあわせて人を救おうとしても、それはごく限られた対応でしかない。
制度的救済は、生活の一部にのみ関わるもので、適応範囲をいくら広げ、細かくしていっても、全面的な解決はありえない。
そうした当たり前のことを、制度外で生きる人々の暮らしや、イエスの生きた姿から問い直そうとする本書の試みは、福祉制度を設ければ万事片がつくかのように考えがちなわれわれにとって、とても新鮮に映る。
国の予算の半分を借金でまかなっているわが国の財政がいつまでもたちゆく筈がなく、こうした根本からの問いかけが求められているのは間違いない。