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幻想的というか寓話的というか、とにかく奇妙な読後感を残す短篇集。
作中で何か大きな出来事が起こるわけではなく、どちらかというと淡々と物語が進んで行くが、逆にそれが気持ちいい。
『銀色のサーカス』と表題作にもなっている『郵便局と蛇』が良かった。特に『郵便局と蛇』のラストシーンが持つある種のシュールさは面白い。
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平凡な日常のなかに、そっと不思議や幻想的なイメージが入り込んで、それと気づかないうちに夢幻の中にいる。そしてそれが何かのきっかけでフッと霧消し、また日常のなかに取り残される。
そんなふわふわした感覚と、一抹の虚無感を感じさせるような短編が多い印象。
あっと驚く展開や、思わず唸るような魅せ方ではないものの、心地よく読める一冊。
以下、各編について覚え書き。
「銀色のサーカス」★★★
遭遇した本人の目線から見ると、こんなことあるのかという展開だけど、案外サーカス団の裏側から見ればなんてことないのかもしれない。
「郵便局と蛇」★★★
伝承が具現したら。蛇のイメージの具現の仕方が良い。
「うすのろサイモン」★★★★
学者が聖人というより、どう見てもサイモンが聖人。
「若く美しい栁」★★★
木々や電信柱がこのような意思を持っていると思って街の中を眺めると、日常の色合いが変わるかも。
「辛子の草原」★★★
田舎の女性の幸福と限界。
「ポリー・モーガン」★★★
本書の中では奇譚らしい奇譚。触れば割れるシャボン玉のような話。
「アラベスク----鼠」★★★
次々と浮かんでくるイメージと、それに交錯する鼠。鼠は何を表す?
「王女と太鼓」★★★
これも伝承のようなお話。絵本を閉じるように終わる。
「幼子は迷いけり」★★★
少しよく分からない。意志薄弱な少年、というだけだろうか?
「シオンへの行進」★★★★
これは綺麗な話。これまたガラス細工のような美しさ。
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上品な味わいの短編集。刺激の強い伝奇・幻想を求めて読み始めると少し物足りなさがあるが、抑えた筆致が魅力的。
表題「郵便局と蛇」、及び冒頭「銀色のサーカス」、「ポリー・モーガン」が良い。「郵便局と蛇」は突然の蛇に思わず膝を打つ。
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イギリスの作家、コッパードの短編集。
表題作「郵便局と蛇」
はっきりしたオチのない、煙に巻かれるような、民話のような、不思議な内容。
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決して結末は語らない気味悪いまま終わる意地悪小説という印象。
翻訳が、読者からほどよく突き放しているのは快感なのだけれど、どのお話でも心が躍ってきたあたりで生殺しにされる。
「若く美しい柳」と「ポリー・モーガン」は、退廃的で美しく、好みの作品。女性の欠けていき戻らない何か、について作者は物語を書くのが得意なのかと思う。時間的拘束による喪失は、私たちにはどうしよもならないし必然で、けれども受け入れがたい。そんないやーな気分になるお話。
「うすのろサイモン」は日本人には理解しにくいけど、学者の疾走感とサイモンののんきっぷりの対象が痛快で面白い。
後半はぱーっと読み終えて、読後感は宜しいとはいえない。
文章の美しさは浮世離れしていて読者にどこか油絵を浮かばせる。(私だけ?)
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幻想的と言えなくもないが、それだけではない。
奇妙という言葉も今一つあたらない。
唯一無二の作風。
それ以外に形容のしようがない。
ただ、もう少し読んでみたいとは思わせる。
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・銀色のサーカス:あとがきにあるように、たしかに落語「動物園」と似てる。
・郵便局と蛇: 表題作。伝奇的。最後にザバーッと落ちる雨粒がよい。
・うすのろサイモン:好き。3回しか幸せを感じたことのなかったサイモン、幸せになったのかな。学者は……?
・若く美しい柳:ツンデレの柳の悲恋物語。
・ポリー・モーガン:美しい幽霊譚。幽霊は直接には出てこないけど、そこがいい。
・幼子は迷いけり:子どものため、子どものためといいながらいろいろ与えて、結局は自分が楽しんでしまう親。まるでその親にエネルギーを吸われるようにどんどんひ弱になっていく子ども。親子のひとつの形を示唆しているみたい。
ファンタジーに寄ったものから「奇妙な味」とも言える作品まで。いろいろバラエティに富んでいるうえ、思ったよりとっつきやすかった。
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好みでした。子供の頃に読んだおとぎ話の雰囲気がしました。
真ん中辺りに大人の女性が主人公の作品があり、これなんかは、まさか男性が書いてるとは思えないような、恐ろしく繊細。
しかしどれも短いので全部膨らませて倍くらいのページ数で、もっと長い間浸っていたかった。
「郵便局と蛇」「辛子の草原」が好き。
タイトルはひねってる訳でもないのに、どれも見たことないような雰囲気があり、これもまた惹かれる。
他の人には到達できそうもない、独自の世界に立っている人で、うらやましい。
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「誰も書いたことがないような話が書きたかった」とのことで、ふわっとした印象を受ける短編が多かったかな。
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コッパードの不思議な物語10篇の短編集。帯に人生の神秘、物語の魔法とあるが、コッパードは捉えどころのない作家で、キリスト教や村社会の影響を受けてるものの何かを伝えたいのか、ただ面白い話を書きたかったのかわからないところがある。例えば見世物小屋で虎の皮を被ってライオンと戦うことになった男が最後に見たものは…という「銀色のサーカス」、呪われた王子を蛇に変えて封じ込めたという沼の伝説を郵便局で聞いた。最後の審判の前日に封印が解かれるという。沼を通りかかると…表題作「郵便局と蛇」。どれも不思議なファンタジー。小説になんでも意味や解釈を求める現代人の悪い癖は捨てて語り部のストーリーを楽しみましょう
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う~ん……。
自分には理解できませんでした。
何を読まされているのかもわからず、作者の意図も分かりません。
幻想的と言えば言えなくはありませんが。
詩を理解する心があれば楽しめたのかな?