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後日譚はアウトローへ進んだ非日常
2019/01/27 21:06
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台はそこそこ名の知られた進学校、そこで数学でつまづきつつある学生達。
夏休みの補習中、唐突に校舎で起きた女子生徒の自殺。
自殺ではないと直感した由良が犯人を追い込んでいく。
きっかけは、試験問題を盗み見たなどと「割りとどうでも良い」ことに咎を覚えた暴走だった。
展開も遅く大筋では凡庸、特段みるべきところもない、やや中途半端な仕上がりではある。
平凡な学生生活と高校卒業の日常を捨て去り、アウトローに成り下がった二人はこの先どんな道を進むのか。
肝心なそこが描かれておらず、作者の限界も感じさせる。
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再刊本。以前はメディアワークス文庫から出ていたようだ。
『夜宵』を読んでちょっと気になっていたのでこちらも購入。
『夜宵』はダークファンタジーっぽい作風だったが、こちらは青春ミステリ。余り捻ったところはなく、予想通りの展開ですっきりと纏まっていた。
メディアワークスからは本作を含め3冊刊行されていたようだけど、講談社で全部再刊されるんだろうか?
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切ない。
ありがちな日常風景の中に、人の数だけある「視点」と「解釈」。それらが交差してできあがったストーリーは何とも言い難い切なさを持ち、冬に思い出す蝉の鳴き声みたいな儚さがぐっと胸を締め付けました。
大勢に理解されなくても、たった一人に理解されれば良かった救いと無責任な他者の勝手な解釈に突き落とされる現実がひたすらつらいです。
前半があっけない感じがしたところの後半の話には、反則的な読みがいがあります。
初めて読む著者作品かつ学園探偵ものかな?と思いながら読みだした予想に反して、踏み込んだ深い心理描写に、良い意味で騙されました。
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読みやすくてあっという間に読めました。
が、なにこれ、とても、切ない。
順番が、逆でも、きっと切ない。
夏休みの補習中に一人の女子生徒が窓の外を落下していった。
目撃者もおり、自殺としてひそかに葬られた少女の死。
「あいつは、自殺なんか、しない」
同じ美術部だった男子生徒・由良が彼女の死の真相を追う青春ミステリ。
青春ミステリだけど、ミステリ+青春。
この構成にはやられました。
後半は読み進めるほど胸が詰まる。
一度読み終わった後で、もう一回読み直すと全然違う印象。
シリーズのようなので次巻も読みます。
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二章立てのような感じになっており、由良が事件の謎を追う→由良と吉野彼方の出会いという普通とは逆の順番。だからなのだろう、最後まで読み終わった時の切なさが増す。
最初に死ぬことを前提に読み始めた吉野彼方の物語が切なすぎて。父とのいざこざによる一種の男性不信、そして同級生たちとの諍いを由良の存在によって乗り越えた未来が開けた矢先に待ち受ける死。
吉野彼方にとって由良はかけがえない存在だろうし、きっと逆もそう。だから読み終わって初めてに由良のやるせなさがわかる。
最後まで読み終わった時には一章の主人公への同情が全く残っていないことに驚き。
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20150217
なるほど、いやあ、まいった。吉野彼方の転落の真相には驚きました。真相の後に吉野彼方と由良が出会ってからの話をもってくるというのも何だかとても切なくなります。
でも、ううん。吉野彼方の同じ年頃の女の子キライ、群れるのキライ、な所がちょっと鼻に付く。彼女はそういうことを鼻にかけるような女の子じゃないと思うのだけど。「私は同級生の女の子とはチガウノ。」がモロに出てたのかなあ、と。
あと、今時の高校生って彼女とのキス写真とか人に見せるの?そもそもそんなの撮るの?男子高校生の会話が現役高校生のそれじゃない感じがして、少し残念でした。
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夏休み、補習中の教室の窓の外を女子生徒が落下していった。自殺として少女の死がひそかに葬られようとしていたとき、目撃者の男子たちに真相を問い詰めたのは少女と同じ美術部の男子・由良だった。絵を描きかけのまま彼女が死ぬはずがない。平凡な高校生たちの日常が非日常に変わる瞬間を描く青春ミステリ。
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地平線から不吉に膨れ上がる積乱雲 吉野彼方 「俺は、トラウマという言葉を免罪符にしようという考え方、好きになれない」 殊更ことさら=わざと 優越感を覚えつつ慰める 由良彼方 宛アタカ 高専 ドッペルゲンガー シャボン玉大量発生ツール 高津さん 織恵 フリーダムな人 世界軒の豚骨ラーメン 俯きがちな顔 花束のような蝶達を描こう
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読む前から切ない、切ないと聞いていたけど確かに評判どおりで、後半は一気に読んじゃいました。
シリーズ化してるみたいなのでそっちも読みたいなー
由良みたいなキャラクターは好みなので。
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青春小説は甘酸っぱさを押し出すものからカーストやイジメを描くものまで多彩な設定が置けるから小説とも当然相性が良い。数多ある青春小説の中で今回は由良シリーズ。二部構成で前半読んでその出来事を理解した上での後半は切なさが募る。やはり中高生に読んでほしいし、日常では体験できない出来事にも触れていろんな感情を抱いてほしい。
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p.19
トラウマという言葉を笠に着て、僕は誰よりも傷ついてるんですと主張するだけ。人間なら誰だって塞ぎきれない傷の一つや二つ負ってるもんなのに、殊更にそれを主張するのは『俺って呼吸してるんだぜ』と自慢するようなもの。そう思わない?
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初めはありふれた学園探偵ものかと思いきや、徐々に明らかとなる事件の内容と主人公の状況に嫌なものを感じ、救いのないラスト……。そして、追撃を加えてくる後半が、心にトドメをさしました。
読後感がすさまじい一冊でした。またしばらく落ち込みそう…。
(2014/10/27)
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二部構成であり、一部は自殺した吉野の真相を確かめていくミステリーだと思っていたが、読み進めていくうちに良い意味で期待を裏切られた。人間の裏の顔(悪意、独善的な感情)が見えた瞬間のゾクゾクッ!とした不快な心の動きが忘れられない。まさか主人公と旭、織江が関わっていたとは。人間のちょっとした悪意で人を殺すことがあるんだな。現実にはそれが偶然行われなったの繰り返しで、自分ももしかしたら知らないうちに狙われているのかもしれないと思うと世界の見え方が変わる。
二部は一部と対照に甘美で優しい物語だった。変人である由良と家庭環境が劣悪で人間が嫌いな吉野の出会い、仲良くなっていく過程。公式の言葉を借りれば「みんなと同じになれない2人だけど誰かを好きになることはあるわけで…。」
前半があるからこそ、後半がとても切なく優しく感じられる。救われることはないけれど、後半があって良かったと思う。絵の続きはどうなんだろうな。
繊細な文章で読みやすく、続編が気になりました。
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夏休みの補修中に少女が学校から落下して死亡。どうして落下したのか、疑問を持った少年が原因を究明するといった青春小説。
前半は少女の落下を補習中の教室で見た少年「榎戸川」目線での話。後半は落下した少女「吉野彼方」目線の話になってる。
はじめはミステリーなのかなと読んでたんだけれど、ミステリー感はうすい。どうして落下したのか!という確信部分はなにか弱いような気がする。
後半からは青春感たっぷりでけっこう好きかも。少女目線の青春のお話になっても、最後に落下するのわかってるし、なんだかもやもや。
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ミステリというよりは、青春系だったかな。
一章のあとの二章は結末が分かってるからこそ、悲しくなってくる。