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娯楽としての不倫
2016/09/03 04:59
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投稿者:neko - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京の大企業で働いていると、仕事以外の時間つぶしにこまる。通勤に時間を取られるし、残業もあるので、習い事とか同好のなかまと趣味するってのは大変。結婚は、天変地異とキセキが一緒に来るくらいの事態でもおきないと相手が見つからない。で、お手軽な不倫をする。オトナの世界では、バレても、ちょっと気まずい思いをする程度で、「だらしない人」というレッテルを貼られることもなさそうです。
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期待はずれだったかなぁ。。。
ハルとハル。6歳の小学一年生ハルユキと、12歳の中学一年生のハルナの物語から6年ごとにお話が進んでいく。絡まらずに、絡まりそうな気配は少しだけ見せつつ。けれどまさか2011年3月11日の震災に繋げるとは思わなかったな。震災をテーマに扱った物語をたくさん読んできたけど、あまり好きじゃない。
アスペルガーっぽい26歳のハルユキが震災が起きたときにハルナを迎えに行く。そしてしるしがあったからあなたを見つけたとかなんとか、、
リアリティーにかけるというか。うーん。好きじゃないな。
優しくあったかい、と捉えることがわたしには出来なかった。ひどく退屈だし、傲慢にも思えてしまった。残念。
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二人のハルが運命の出会いを果たすまでの軌跡を描きます。
素敵な小説ですが,運命の出会いの部分があまりにもあっけなく,もうちょっとで出会いそうなのにすれ違っていた,実は出会っていたけど,そのときはお互い気づかなかったというような展開や,二人の接点がもうちょっとあった方が,より感動できたように思います。
好きな作家さんなので,次回作に期待します。
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宮下さんの小説が好きな理由のひとつに、「やさしさ」がある。
物語の中の人たちが、そしてその人たちを見つめている作家の目が、やさしいのだ。
強いモノが上をめざし、そのために弱いモノたちをかきわけふみつけ知らん顔で降りすぎていく。
そんな世界のなかで、黙々と、もしくは淡々と、だけどふんわりと微笑みながら自分の半径3メートルの世界で日々を大切に生きている人たちへのまなざしが、やさしいのだ。
ヒトより遅くたっていいじゃない?なにもかもが上手くできなくたっていいじゃない?今日のこの日をあなたと過ごす、それが私にとって大切なことなのだから、と、そっと肩を抱きしめられるような。
そうだそうだ。「やさしさに包まれる」そういう気持ちになるんだ。宮下さんの小説を読むと。
人と同じこと、が苦手な2人が偶然に出会う。ある意味一種の奇跡なのだろうけど、そんな奇跡のしるしをまるごと受け止めたい。そういう気持ちになる一冊。
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生きるのが不器用な二人のハルの物語。全く別の場所で生まれ育った二人がいろんな経験を経て成長していく様は暖かい気持ちになります。そんな二人が居場所やしるしを見つけて運命の出会いをする展開がいい。凄く優しいこの物語が好き。
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ハルナとハルユキの二つのハル。交互に進んでいく話に、最後はどうなるのだろうと思いましたが、とても優しくあたたかな結末に、胸がキュンとなりました。それぞれにしか見えないしるしが一緒になり、ふたつ(二人)のしるしが新しく生まれる。不器用な二人の人間の恋愛小説でした。一生懸命に生きたしるしの物語。
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+++
この人は何も知らない。遥名も何も知らない。それが決めてだった。
傷んだ心にやさしい雨のように降り注ぐ、傑作恋愛小説。
欠けていたものが、ぴたりとはまる。そんな風にしてふたりは出会った。
勉強のことを一秒も考えない小一のハルと、生きるための型がほしいと考える中一の遥名。
別々の場所で生まれ、まったく違う人生を歩んできたふたりの成長と出会いを描く、生きることが愛おしくなる傑作恋愛小説。
+++
ハルと遥名、二人の「ハル」の人生は初めは別々に進んでいく。だがどちらもがいまいる場所にしっくり納まらない居心地の悪さを感じ、ほかの同級生たちのようにすんなりと事を運べずに成長していく。大人になり、それなりに必要とされる場所を見つけ、自分なりに充実して暮らしていた。そんなときに運命は二人を引き合わせたのである。そして震災。ハルは遥名を自転車で職場から自宅まで送るのである。二人にとっては、極端に言えば言葉さえ要らないくらいの必然的な出会いだったのだ。1991年、1997年、2003年、2009年、2011年と二人の人生を追いかけてきて、最後の章までたどり着いたとき、そこにはほんもののしあわせのしるしがあったのだった。愛おしいという言葉はこのためにあるのだと思える一冊である。
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冒頭───
小学校の校庭に三十二人の子供がいた。入学して間もない一年二組の子供たちだ。春の明るい陽射しが降り注ぐ中、屋外活動用のボードを首から提げ、担任の渡辺孝代先生の話を聞いている。上下とも白っぽいジャージを着た渡辺先生は、サンバイザーの下から子供たちの顔を見まわした。
「春のしるしを見つけましょう」
いささか抽象的な提案だったにもかかわらず、はあい、と子供たちは返事をした。
小学生のハルと中学生の遥名の二十年以上に及ぶ物語。
蟻の行列を熱心に見つめていると、自分を呼ぶ担任の先生の声も耳に入らなくなるハル。
柏木温之という名字なのだが、それまで“ハル”としか呼ばれたことがないので、「柏木さん」と呼ばれても、何を言われているのか理解できないないハル。
一方の遥名は、かわいくて勉強ができるにもかかわらず、世の中を上手に渡るためには、なるべく目立たない方が良いと考えている女の子。
その考えのまま、高校、大学、就職へと進んでいく。
一見、接点など何にもないような二人だが、大人になり、ある一つの事件で、“しるし”を見つけて、急速に接近する。
それはありきたりな言葉だが“運命”だったのだろう。
子供が大人になるまで、何を思い、何を考え、何に疑問を持ち、未来に何を抱きながら生きていくのか?
これが人間の生き方として正しい、という解答なんてどこにもないのだ。
枠にとらわれず、周りに惑わされず、成長していくことの大切さを思い知らされる。
“ハル”の話は、全体的に暗くて気が沈みがちになるが、最後で、ふわっとした温かな風が吹いてきたような気持ちになれる。
そういえば、あの日の帰宅難民の行列で、何組かのカップルが出来上がったという実話があると聞いたような気もする。
途中まではやや退屈な感もあるが、最後で心が優しくなれる、そんなお話です。
特に、最後の“第六話”の語りがこの作品を見事に締めてくれる。
小学校からの友だちである健太の存在もハルにとっては大きかった。
それにしても、今の小・中学校って、こんなに荒れてるんだろうね。
自分の頃を振り返ると、とても想像できない。
いつから、学校教育は間違った方向に進んでしまったのだろう。
先生が悪くなっていったのか、親が悪くなっていったのか------。
宮下奈都さんは、なかなか味のある良いお話を書くんですね。
他の小説ももう少し読んでみたいと思いました。
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素敵とか素晴らしいって言葉を使うと思考停止になるから使わないと決めていても素敵な話だって言いたくなるような作品です。主人公のハルは処世術と言うものから遠くの立ち位置で生きてきて、世間に上手く溶け込めず成長期を過ごすのですが、あるきっかけでハルは自分が自分でいられる場所を見出します。遥名も同じように世間にうまく溶け込めずにいたのですが、互いに「しるし」を見つけて自然に生きていける立ち位置を見つける温かい話でした。私も画一的じゃなくて様々な物差しでその人を見る目を持てたらいいなあ、、って改めて感じました。
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宮下奈都さんの小説は大好きなんどけど、これはまあまあかな。期待が大きすぎたかも。
ハルとはるがいつ出逢うのかな、と思って鱈最後の最後でしたね。
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ハル(温之)と遥名。
はじめはあまり接点のない二人のそれぞれの子供時代、思春期、青年期。
ハルは無口で、クラスにも馴染めない、いじめられっ子だった。
遥名は勉強はできたけど、目立たないよう、みんなから浮かないように生きてきた。
接点のないような二人にも、小さなしるしがあった。
震災の時にはじめて言葉を交わす二人だけど、そこからが急展開。
ハッピーエンドでよかったけど、ラスト。
二人の子ども、しるしちゃんって名前!そして、なぜ両親の性格的なものを引き継いでないのか。
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蟻の行列に見入る少年はやがて電気技師に。
優秀な兄を見て育った妹は同じ大学へ進学したが、他人自分を合わせて生きることに疲れ果てていた。そんな2人のハルの出会い。
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すべてはしるしに繋がっている。
積み重ねて来たことは無駄じゃない、繋がってる。
窮屈な毎日にほっと心が暖まるお話でした。
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ラストと、そこへ至る大切な部分がやや安易に感じられてしまったのは読み手たる私自身の問題?ただ、ハルと遥名それぞれの人生に対してもう少し文章(の量)を費やして奥行きと深みを与えて欲しかったと感じる。
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最近、宮下さんは好みのものがなくて
少し疑いを持ちつつ読み進めました。
後半から引き込まれて
人の温かさだけが
きちんと物事をうまく進めていく。
そのしなやかな柔らかさを
丁寧に、静かに描いています。