紙の本
主人公たちの心情の描き方がいい。
2015/12/01 17:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学三年生の男の子ケイと、十歳年上のメイおばさん。ふたりには人間ならざる存在の「アヤカシ」が見えるという共通項があってー。この設定を生かして、色々なアヤカシを絡めつつ、いくつかの物語が展開する。
特徴的なのは、メイおばさんがアヤカシの存在を否定し、無視するようにケイに強く言うこと。もちろん物語が展開するにはケイはメイおばさんの言いつけにそむくことになるのだが、それはそれとして、メイおばさんにはアヤカシを無視したい過去があった。後半、それが明らかになる部分が読みどころ。そして、読んでいるうちにメイおばさんに共感し、肩入れする気持ちが湧いてくる。
終盤、あるアヤカシが中心となってメイおばさんの心の屈託をほぐす展開になっていく。そのアヤカシの、「だれだって、だれかとつながっていたいのよ」というせりふが心に残った。
投稿元:
レビューを見る
4年生のケイには、10歳年上のメイおばさんがいる。お母さんの歳の離れた妹なのだが、仕事で忙しいお母さんの代わりにアルバイトで家事や家庭教師をしてくれている。そんなケイとメイにだけ見えるふしぎなおじさん・アヤカシさん。いろいろな品物に宿るモノノケ?
モノに込められた思いを持ち主に伝える。
投稿元:
レビューを見る
小学3年生のケイには、お姉さんみたいに若いおばさんがいる。メイおばさんだ。お母さんの仕事が忙しいから、メイおばさんはバイトとして、ケイの夕ご飯の用意や家庭教師に、週3回来てくれるのだ。
そして、ケイとメイおばさんには、二人しか知らない重大な秘密があった。それは、他の人には見えない物にやどったアヤカシの姿が見えるということだ。
ケイに、アヤカシの姿が見えるようになったのは、メイおばさんの後ろに、黒っぽい重そうなコートを着て山高帽をかぶったおじいさんがピッタリくっついて歩いている姿を見たことからだ。おじいさんはアヤカシで、メイおばさんに言いたいことがあるようだが、メイおばさんは、そのおじいさんどころか、アヤカシに出会っても知らない振りをしなさい、関わっちゃダメだと、ケイに教えます。
でもケイは、おじいさんが悪いものとは思えない。そして、ケイ1人でいる時に、おじいさんと出会ってしまう・・・。
富安陽子お得意の、ちょっと不思議で面白い物語。
小学校中学年くらい〜
投稿元:
レビューを見る
人には見えないものが見えるケイとメイおばさん。
メイおばさんはかかわらないようにしてきたのに、小学生のケイは好奇心に勝てず、ついつい関わってしまう。
伝えたいことがあるから出てくるというアヤカシたちとの交流の短編集。
でもお話はつながっていて「ああ、そうだったのか」と。
薦めてみたけれど、読んでくれそうになく残念。
投稿元:
レビューを見る
おばさんについてきた変なおじいさんは、アヤカシだという。無視しなさいとおばさんは言うけど、ケイはそのアヤカシさんに話しかけてしまう。こうしてケイとアヤカシの不思議な毎日が始まった。
アヤカシさんが現れた訳やおばさんがアヤカシを嫌いな訳、物語のラストですべてが繋がるあたり富安さんらしいうまさです。
投稿元:
レビューを見る
個人的にはとても好きな作品。
小学三年生の啓がメインかと思いきや、メイおばさんの方が実はメインだったという。
伏線をきれいに拾ってもらったなぁという感じ。
ただ、この、なんというか。
ちょっと大人な雰囲気というか。少し俯瞰してみている雰囲気というか。そういうのは、小学生にはまだよくはわからないかもしれないなと思いました。主人公も今、改めて見直したら小学校3年生。5年生ぐらいの雰囲気ですからねぇ。でも、このぐらい素直じゃないと「アヤカシさん」は見えないのかもしれないですね。
投稿元:
レビューを見る
4年生のBT用。
主人公のケイも4年生だし、メイおばさんがおばさんになったのも4年生だし、ちょうどよい。
物や人を大切にすることが柔らかく伝わってくる。こうでなくっちゃ!
投稿元:
レビューを見る
定番もののアヤカシの話ですが、最後にうまくまとめるところがさすが富安陽子さん。
ただ、クロージングがやけにしつこい。
ブローチにからくり箱に箪笥まで!ぜーんぶに縁をつけて収めているので、ちょっとここは冗長感がありました。
おもしろい話だけれど、簡単だし、主人公の男の子も4年生だから、中学年向きでいいと思います。
文句なし。これは推しです。
投稿元:
レビューを見る
まだ若いのに、甥におばさんと呼ばせるメイおばさん。それだけでちょっとイカすなと思ったけど、メイおばさんの個性や良さがあまり出ていなかった。ただただ、怒ったりムスっとしてたりしたので、魅力を感じなかったなあ。そこが残念。
投稿元:
レビューを見る
アヤカシ…というか「物の精霊」が見えるケイとメイおばさんの話。
ブローチの子かわいい。たんすの顛末が好き。
しかしメイおばさんの母親の反応がリアル。そりゃ不気味だわなあ…。
投稿元:
レビューを見る
小学4年生のケイと、ケイと10歳しか変わらないメイおばさんを中心に描かれたお話。
二人は他の人とは違う、特殊な能力を持っており、それは物に宿っている精霊、いわばアヤカシを見ることのできる性質を持っている。
ケイはとてものんびり屋な正確で、興味を持ったものや疑問に思ったことをそのまま口にしたり行動に移したり、子どもらしい少年。
メイおばさんは、自分自身がアヤカシを見ることができるゆえの苦労から、今ではアヤカシが見えようが話しかけられようが無視を徹底している。しかし、甥のケイはどんなにメイが厳しく怒っても好奇心に負けてアヤカシと関わってしまう。
その様子が頻繁に描かれており、自分勝手さが目について正直この人とは関わりたくないタイプだなと思ってしまう。
私自身、メイおばさんと同年代に当たるので、視点がケイよりではないというところから来る感情なのかもしれない。
けれど、ケイくらいの年齢の子から見たら、20歳くらいのお姉さんを見ると、ガミガミうるさくて、ちょっと自分勝手でいて、でもどこかかっこよく見えるのかもしれない。(私は全くかっこよくは映らないが)
でも、このガミガミうるさいメイおばさんも後半は少し、しおらしくなる。
ずっと心につかえていた、しこりがやっと溶けてきたようだ。だから、今までのアヤカシに対しての接し方が完全無視という方法であり、文章だけの本でありながらも、耳を塞ぎたくなるほどのケイに対しての説教は、この、自身のアヤカシ関連の相当な嫌な出来事があってのことだったのだと言うことがわかる。
また、人やものは繋がりを求めていて、どこか知らぬ間にも繋がりがあるのだと。
時間や季節、過去から今、そして未来、色んな物同士にも、繋がりがあるのだと。
未熟な私にはわかるような、わからないような。
考え方が根本的に違うというのもあるのかもしれない。だけど、このような考え方もあるのだ、ということだけは覚えておこうと思う。
投稿元:
レビューを見る
泣いた。
私の好みにドンピシャ。
表現の美しさ、懐古する気持ち表現、すべてが好き。
付喪神ともいえるなって思いました。
投稿元:
レビューを見る
アヤカシさんが見えるケイに、同じく見えるメイおばさんが、知らん顔してなさい!と強く言う理由。だいたい想像できたけど、知らん顔できずに関わって、面倒なことにはならず解決していって終わりかと思いきや…
「何か事情があって、みんなどこかで、つながり合っているのだ。事情はどうあれ、引っぱり合い、つながり合おうとするのだ。
人も、ものも、時間もー。」
今の時代も、つながりを信じたい。
投稿元:
レビューを見る
「人も、ものも、お互い知らないうちに、ひっぱりあい、つながり合う」という言葉が残りました。
骨子は、アヤカシが見える主人公たちが、アヤカシの物語に引き込まれながら解決の手伝いをする物語。富安陽子さんの作品はやっぱり安心感があります。
投稿元:
レビューを見る
そうか。人もものもさみしいのか。なんだかわかる。誰かと繋がっていたい切実さ。縁は必ずある。めぐりめぐって必要なものはちゃんと繋がるんだよね。必然。