紙の本
マットウな経済学の本
2016/02/22 16:40
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投稿者:ITオンチのじいさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の若かった時は、たぶん資本論の1巻さえ通読しなかったであろう若き自称革命的マルクス主義者たちが行き詰まって、サムエルソンの経済学が一世を風靡しようとしていた頃である.
そして新古典派?新自由主義?…金融工学たら、米国(米国の新自由主義者)中心の「経済(学)」が今日まで流行している.
(その昔)経済「学」は多かれ少なかれ『公』の概念を含み、その『正義』の概念を含む『経綸の学』であった.その意味では時代の政治が達成しようとする目標に左右されるイデオロギーを含まざるを得ない(中立を標榜することが、そもそも現状多数派…多数派が実際に人的に多数というよりは多数の権力を支配している人たちの集合…の前提条件を肯定しているのだから).いかにも物理理論のように××工学等と呼んでみてもなんらそのイデオロギーから自由にはなれない.
社会のきわめて一部分(ではないかもしれないが、だったら尚更悪質な問題ではないだろうか?.古来より…歴史的には圧倒的に永い間…様々な共同体において隣人から利子を取り、抜け駆けて利を得ることは「反共同体的行為」として、戒められていたのだ.なぜ戒められていたかといえば、戒められなければならぬ人たちが居たからに違いないが、現今では戒められもしない.利が正義に逆転したのである.)の人たちの、金を儲けるという投機(ギャンブル)に奉仕するのは経済学だろうか?
……と考えてみると、『21世紀の資本』は30~40年忘れられていた?マットウな経済学の本である.
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21世紀の本
2015/09/25 11:33
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投稿者:tyokoya - この投稿者のレビュー一覧を見る
一大ブームを作り出した経済・社会学書です。読み応え満載で、知的好奇心に旺盛な方は時間とお金をかけて読まれたらよろしいかと思います。ただし、現在の政府が行おうとしている経済政策とは相容れないところもあります。その点は注意が必要でしょう。
r>g
で示される、資本収益率と経済成長率とバランスを証明するために多くの紙面をとっています。読者は何をすべきか考えて深読みすると楽しめます。
経済学などに詳しくなければ、解説本を利用されてはいかがでしょうか。きっと理解に役立つものと想像します。私は読みませんでしたので、論評は控えます。
これを読んでから資本論を再読しました。社会に投げかける本の力の観点から、21世紀における資本論と位置づけて評価して然るべき書物だと感想を持ちました。
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商学部経済学部レベル
2015/02/13 15:00
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投稿者:篠山蕪村 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中の経済活動に即して、解説しているのでわかりやすいと思う。
歴史的背景を考察しているのも実に興味深い。
二次世界大戦以降に唱えられた経済理論を的確に批評し、何故に其の様に考えられたかも的確に解説しているので、読み進むと戦後経済の成り立ちが理解できる。
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読んでます
2021/05/24 01:50
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投稿者:ばやけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
やはり資本主義における格差の歴史を知ることが大切だと思います。
本書は、それを知る上で大変に役立つ書物です。
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過去から引き出された未来への発展のための鍵を説いた書です!
2018/11/24 12:06
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、世界でもベストセラーとなったトマ・ピケティの書です。同書では、18世紀にまで様上る詳細なデータを駆使して、未来に対する提言を込めた書です。「資本収益率が産出と所得の成長率を上回る時、資本主義は自動的に恣意的で持続不可能な格差を生み出す」という著者の一説は非常に心に響きます。ぜひ、多くの人に読んでいただきたい経済学の名著です。
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評価は特5!
2016/01/21 19:40
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投稿者:たくみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
700ページの大著。平易な文だが目から鱗の知識の宝庫。人力ビッグデータに圧倒される。経済学の素人でも、腰を据えて読めば、十分に理解・納得させてくれる。マーカー片手に、余白にメモを書き込みつつ、勉強しているという意識をせずに歴史書のような経済書を堪能できた。
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ブームは一段落したようだが、大変おもしろく読んだ。
中ほどは、ほとんど同じような議論が延々続くので、バルザックの「ゴリオ爺さん」の話なんかだけ飛ばし読みして、主には「はじめに」と第I部,第IV部を、なるほどなあと思いつつ読んだ。
生まれからして不公平で、やってられないよと皆が捨て鉢になってしまうような社会がよいとは思わないので、なんとか妥当な対策が民主的に実施されることを望む者だが、そのあまり「1914年-1945年のような衝撃」を望んだりはしない。
20世紀的な爆発的成長はもうなく、人類にとってはむしろ普通であった停滞の時代になるのであれば、それに適応するライフスタイルへの変化が、最富裕国である日本で生まれてくることに期待したい。
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山形氏のおしゃべりなあとがきはこの本には付属しておりません。
http://cruel.org/candybox/pikettyjapaneseFAQ.pdf
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資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき(19世紀はそうだったし、また今世紀でもそうなる見込がかなり高い)、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基盤となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになるのだ。p2
【格差拡大の根本的な力―r>g】p27
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5年以上、積読だった本。きっと一人じゃ読まないままだ、と思い友人を巻き込みたった二人の読書会を企てました。二週間に一部ずつ読んで、週末2時間zoomで語り合うという方式です。全4部構成を4回で読み終わりました。ものすごい達成感!ノートを取りながら読書したの学生以来か。夜、夕食後に自宅で集えるzoomという仕組みに感謝。いやいやこの試みに付き合ってくれる友人の存在することが最大の幸せ。大昔、パルコのコピーに「本読む馬鹿が、私は好きよ。」というのがありましたが、本を読む馬鹿仲間は宝物です。この読書会と同時に読んでいた「人新世の資本論」でピケティの新刊「資本とイデオロギー」が出ることを知り、次のテキストはそれにするか?その前に、もう一発、別の読むか?そんなやりとりも楽しいです。
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ようやく読了。
格差問題を「r>g」で可視化した大著かつベストセラー?
好著かどうかは自分の手に余るが、過去の経済統計を挙げた丁寧な説明は説得力があり、じっくり読めば理解できる。
所々挙げられている富豪の例等は面白かった(不愉快でもあるが)。
格差解消には資本税が必要、との説は分かるが、実現はなかなか難しそうだ。
さて我が国。公的債務削減のためには、資本課税、インフレ、緊縮財政の3手法があるとのこと。そのどれもやる気のない現政権に(まぁ先送りつづきの2%目標はあるが)不安
一杯の今日この頃…
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最近話題の本でありいろいろと特集等々も組まれているが、そういった要約ではなくしっかりと読んでおくべき本だと思う。
結論ばかりが取り沙汰されているが、この本で最も強調されるべき点は今までにない規模で長期間かつ多くの国に渡ったデータを収集し、その分析の上に結論を導き出していることである。その上で、こうした事実に基づいた研究が民主主義には不可欠であり、現在の法と社会制度にはそれを担保するだけの透明性が全く欠けていることを問題視している。
種々の解決策そのものに関しては異論があると思うが、氏の指摘する格差拡大の問題認識そのものが正しいかどうかを検証する為にもこうした基礎的統計データの整備は官民共通の21世紀の問題として共有されてしかるべきだと思う。
と、少し堅苦しく書きましたが純粋に知的好奇心としてもとても面白い作品でした。常々思っていた種々の疑問にも一定の答えを与えてくれた気がします。
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人気テレビゲームよろしく、邦訳と同時に解説本が複数出ているのを見て当初は食指が動かなかったが、結局購入。厚い、重い、高いの三拍子が見事に揃った本だが、意外に内容はシンプルで読み易い。
本書によれば、経済成長率gは実体的に決まり低下が予想される一方、資本収益率rは時間的選考性により心理的に決まるので、不等式r>gが恒常的に成立し、資本家は常にプラスの貯蓄を蓄積できてしまう。またテクノロジーの発達により今後も資本と労働の代替性が高まるのだとすれば、資本の限界効用が増え所得の資本シェアも増大していくから、資本の所有者は労働への分配を相対的に増やす必要がないまま所得の一部を貯蓄に回せることになる。これが動学法則β=s/gを通じてさらなる資本蓄積の集中につながっていく。
著者の主張を受け入れるとすれば、このまま行けば21世紀は益々「ネットの資本収益率が先に決まる」社会になるということになりそうだ。外的要因にさほど影響されることなく資本所有者がまず自らの取り分を決め、それから労働その他の生産要素への配分が事後的に行われる。エクイティ利回りにとってリスクフリーレートという参照点が何の意味もなさなくなるということだ。
ただその前提である「土地や株などの安定的資本の長期的な収益率rは概ね5%」の根拠は若干曖昧に思えてならない。いくら著者が収集したデータが膨大とはいえ、そこから18・19世紀の土地の収益率がそんなに簡単に求まるのだろうか。また確かに5%という数字には直感的な納得感はあるが、時間的選好に関する効用関数が長期的に一定だとする根拠は乏しいように思える。実際、著者の集計にもあるように直近の先進国における資本収益率は4%に近づいているし、投資機会の競合でr-gがさらに減少する可能性は相当にあるような気がするのだが…。資本労働代替性が収益率低下をオフセットして、数量効果が価格効果を上回ることを示すような実証性あるデータは、少なくともここでは示されてはいない。
なお、著者が公的債務の増大それ自体はさほどの問題でないと考えている点は興味深い。純資産に対する累進課税による税収を公的債務の償還に充てれば、資本蓄積の不平等も解消できて一石二鳥というわけだ。現実的にそういう政治的コンセンサスが得られるかどうかは別として。
と、様々な論議を呼びそうな内容だが、兎にも角にも20世紀後半の世界が歴史的に如何に特殊な世界であったか、そして(著者の言うほどに極端かどうかは別としても)資本が支配する来るべき世界にどのように身構えるべきかを本書は教えてくれる。また何よりも、戦後の資本破壊からのキャッチアップでしかなかった高度成長のアノマリーを長期的な前提とすることの愚かしさを理解できるだけでも、十分に読む価値のある本だと思う。経済学はプラグマティックであるべしとする著者のスタンスにも共感が持てた。
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延べ20時間ほどかかり、トマ・ピケティの『21世紀の資本』を読了した。話題になっているだけあり、確かに素晴らしい仕事。この本の卓越した点は、様々な国の資産・所得・税等に関する定量的なデータを200年間もの長期間にわたって集計したところから、貴族や宗教家が富を独占しており不平等な社会であった18世紀のレベルにまで、現在の経済格差は実は拡大し続けているという点を明らかにした点であろう。
そして、
・資本主義社会の序盤、工業化が始まる段階では確かに格差は拡大するが、資本主義社会の成熟化に伴い格差は低減する
・公的債務を用いた公共支出やインフレーションは、所得の再分配という効果をもたらすため、格差を低減させる効果がある
という世間一般で考えられている言説は、どちらも誤りだということが示される。
では20世紀の後半に拡大し続けている格差が21世紀においてどうなるのか?著者によれば、何も手を打たなければ格差は拡大し続けるだろうと警鐘を鳴らす。ここでポイントになるのは、「r>g」という不等式であり、この不等式が成立し続ける限り、資本主義は格差を益々拡大し続けるだろうと予測する。
この式において、
・rは資本を投下することにより得られる収益率
・gは経済成長率
をそれぞれ意味し、第二次大戦の復興時期にあたる1945~1970年くらいまでの経済成長率gが極めて高かった時期を例外として、歴史的に見れば「r>g」という関係性は常に世界各国で見られた事象であるとされている。
さて、gは分解すると、人口増加による自然成長分と技術革新等による生産性向上分となる。現代の先進国では人口増加率は極めて低いこともあり、gは今後も低迷することが容易に予想されるし、高いgを誇る中国やインドのような国々においても人口増加率はどこかで低減し、先進国レベルの生産性に追いつけば生産性も限界を迎えることから、21世紀のどこかでgが低減するのはほぼ間違いがない。
とすると、21世紀においてほぼ間違いがなく「r>g」の不等式は成立することとなり、格差の拡大は進行し続けるであろう。
では、こうした格差を是正するための手段は何か。著者が示すのは、公的債務を用いた公的支出でもインフレーションでもなく、資産に対する累進的な課税である。現在取られている所得に対する課税(所得税・法人税など)では、その所得が自己申告に基づく性質を持つ以上、正しい所得の把握が困難となる。一方で資産を評価することは、現在も固定資産税における資産価値の評価等で実績があるように、まだ実現性が高い。
ただし、この際、資産(ここには当然、現預金や有価証券等の流動性が高い資産も含まれる)をどこか別の国やタックスヘイブンが移転してしまえば、正確な把握は不可能となる。そこで対応すべきはまずヨーロッパのような地域レベルで、各国の金融システムを統合し、ヨーロッパ全体でどれだけの資産が蓄積されているのかをトレースできるようにする仕組みである。
つまり、経済がグローバル化し企業や個人は自由に資産を扱うことができるのに対して、現在の課税システムは国民国家の枠内に閉じられたものとなっており、もはやこれが整合していないの��当然であるのだから、課税システム自体をグローバル化させるべき、という主張である。この際、既にEUという形で地域連合が進んでいるヨーロッパが最もその実現に適しているのは言うまでもない。
600ページを超える大著ではあるが、論理は極めて明晰だし、ところどころ出てくる恒等式や不等式もシンプルでありわかりやすい。何よりも、経済格差の問題を極めて実証的に示した上で、その解決策まで踏み込んだ本書の議論は、その正当性に関する経済学者・歴史学者・政治学者等の議論を踏まえて、更に洗練されていくべき問題だと思う。
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本書の価値は、何よりデータの豊富さである。このデータの収集だけで、非常に読む価値がある。また、そのデータ一つ一つを丁寧に考察するというスタンスは、少なくとも経済学において良きスタンスであると言える。
一方、経済学という巨人の肩に乗るスタンスがあまりなく、独自路線で書かれているのがウィークポイントかと思った。あと本書最大の主張であるr>gというのが少しアドホックなのが微妙である。
なにはともあれ、良書であることには間違い無いので、何度も読み直してみたい一冊である。個人的には、マクロ経済学や経済成長論を復習した上で、それらと絡めて批判的に読み直してみたい。