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同僚に誘われて初めてライブに参加したその日、直子はロックバンド「ゴライアス」のボーカル、伶也と出会った。
それからは、伶也が彼女の全てになった。
持てるお金、時間のすべてを注ぎ込み、伶也を見守り無償の愛と献身を捧げる直子。
40年後、彼女に残ったものはなんだったのか。
面白くて一気読み。
「伶也と」というタイトルからして切なくて素晴らしい。
追っかけとかオタクとかの先を行く話。
自分も含め芸能人にハマる体質の人から見れば、すごく幸せな人生だったと思う。
(図書館)
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三十二歳の誕生日にプレゼントされ同僚と行ったライブでボーカルの伶也をすきになった直子が、人気者になり薬や酒で落ちぶれ再生し洗脳されという彼の人生を、メル友からマネジャーのようになり応援し見守る。七十一歳で彼と共に亡くなっている所を発見されるまで年齢を重ね老いても冷めも醒めもしない直子の一途さが凄い。
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一気読みしました。思ってた感じと違った。
わたし自身もアイドルの軽い追っかけみたいなものをやってたのでのめり込む気持ちはわかるけれど、そこまで献身的に支えられる気持ちがわからないなあ。けれど直子にとって最後はとても幸せな人生だったんだろうな、と。
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推し活の最終形。
本人がしあわせだと思ってるなら、他人が口を挟むことはない。
自分の子どもがこうなったら、挟んじゃうと思うけどさ。
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マンションの1室、死後2ヶ月が過ぎたと思われる男女の遺体が発見される。
直子は30歳を過ぎて初めて本当の恋を知る。
大学院から大手企業に就職し、真面目にコツコツと働いてきた。恋人と呼べる相手もいたけれど、それも1年を過ぎた頃からはもうただなんとなくで6年が過ぎ別れた。
転職先は大手ではないけれど、和気藹々と直子を迎えてくれた。ある日、同僚から誘われた初めてのライブで、バンドボーカルである伶也に一瞬にして心を奪われてしまう。
怒涛の推し活物語。
伶也のために生きる。伶也に全て捧げる。
いつか伶也の目に止まる日が…。
いつか伶也と付き合える日が…。
「は?ないない!なに夢見ちゃってんの?」
そんな軽口は叩けない!
芸能人に嵌まったことのある人ならば、身に覚えがないなんて言わせない。
ただ、その気持ちが1ヶ月で色褪せてしまうのか、3年5年と続くのか…ただそれだけ。
直子の推し活に終始していたのなら、これほど引き込まれることはなかったと思うのだけど、直子の周りにちゃんと生活がある。
両親は歳をとっていくし、推しを辞める友人、結婚してゆく友人、亡くなる同僚に伶也のスキャンダル…と、やけにリアリティーがある。
スターダムにのし上がってゆく伶也を、自信をなくし幼子のようになってしまう伶也を、結婚してしまう伶也を、スキャンダルに追われる伶也を、一線から退きボロボロになってゆく伶也を、すべての「伶也と」共に生きた人生。
馬鹿だなぁと思う人もいるだろう。
だけど、本当に好きになった人のために捧げた人生を生きた直子は幸せだったと思う。愛のカタチは人それぞれで、それをとやかく言うことは誰にだってできない。
一生尽くします!言うのは簡単。だけど、貫くって簡単じゃない。いやできない。それをやってのけた直子はすげぇ!
今年の13冊目
2022.2.21
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切ない!最後まで読んで、めちゃくちゃ切ない気持ちになった。
あるバンドのボーカルに恋した女が、そのボーカルとお近づき(?)になって、年を重ねていく話…なんだけど。
それで本人が幸せならいいけれど、なんか悲しくもあり羨ましくもありで複雑な気持ちになった。70歳過ぎても、相手の色んな一面を見てきたとしても、ずーーーっとファンであり好きな人であり続けるのって単純にすごい。
文章構成が、各章はじめの方に世間の目線や客観的な視点が入って、主人公目線に戻るのが面白かった。読みやすかった。
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最初淡々と読んでいましたが途中から夢中になり一気読みでした。
主人公の瀧羽直子は大学院まで出た理系女子です。
それまで芸能人の事など殆ど知らずに生きて来ましたが転職先で知り合った由香に誘われて
「ゴライアス」と言うロックバンドのライブへ行き、そこでたちまちボーカルの伶也に夢中になってしまいます。
転職先での同僚たちも現実に実在しそうな面々でその会話もリアリティーがあって物語を盛り上げています。
「ゴライアス」の他の3人のメンバー、マネージャーのReiko、その他の登場人物の描写も丁寧で違和感なくストーリーが進みます。
伶也の栄光や転落など良く芸能界で耳にする出来事ではありますが
主人公、直子の献身的かつ盲目的な愛情は凄い物がありました。
そこにはもう伶也と言う男性を愛する1人の女を超越して母性すら感じました。
エンディングは冒頭に書かれているので二人の結末を知っていたに関わらず
最後のページが近づくに連れて感極まる感情が込み上げました。
浮き沈みの多い伶也の人生だったけれど、これほどまでに1人の女性に想われたのは幸福だったでしょうし
これほどまでに人を愛せた直子に羨ましさも感じます。
ページ数はさほど多くはありませんでしたが二人の濃い人生が詰まっていて読み応え十分でした。
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二人の結末から展開していくので、哀しい最後が分かるゆえに切なさを募らせながら読んだ。周りからなんと思われようとも、理解されなくても直子は幸せだったんだろうと思う。人の価値観を押し付けられるのべきものではない。自分の人生に色を付けてくれた人と最期は一緒にいられた。浅はかな人生と思われるかもしれないけど、直子の最期は穏やかだったと思う。
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直子と怜也の二人が迎える結末は冒頭に描かれています。そこに至るまでの二人の軌跡。
社会的にも安定している直子が、自己犠牲としか思えない情熱を怜也に捧げつくす。どんなに尽くしても恋愛対象としては見られないことを知りながら、見返りのない愛を選んだ直子が幸せだったのかはわからない。共感だけが恋愛小説ではないと思いました。