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ギリシャにまつわる神話・逸話の掌編集。ソクラテスの妻は悪妻かもしれないが、どうしても責める気になれない。家庭に欲しいのは偉大な哲学者じゃないんだよ……。「恋」「亡牛嘆」「ダイダロスの息子」は続き物っぽい。心の闇が垣間見えるアリアドネに魅力を感じた。「オリュンポスの醜聞」に登場するヘファイストスは、鍛治神としての素晴らしさに溢れており、最後の「ヒストリエ」も総括にふさわしい話で良かった。
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こういう短編集は大好き。
一つの作品が原稿用紙10枚ほど。ギリシアの神話や故事に材を求めたもので、オイディプスの悲劇など馴染み深い逸話が柳先生の筆によって再構成されている。
標題作は妻の視点からソクラテスの死を描写する逸品かも。アテネ五輪に向けた出版社の持ち込み企画だったようだけど、これまた出版社の都合で短期連載に終わったのは残念。
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ギリシアの神話や歴史上の人物たちのエピソードを短く、読みやすく。
各編の下敷きになっている話からそこまで大きく逸脱せず、ちょこっとだけ心情描写が入ったり、視点をずらしたり。イカロスの逸話はそのなかでもアレンジの効いていて、ちょっと太宰の『駆け込み訴え』リスペクト感も。
中高生の朝読書などにも向いていそう。