紙の本
このタイトルの、なんと的確なことか
2019/06/18 21:13
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
茨木のり子には、その詩に出合う前に、ローティーンの頃、『うたの心に生きた人々』という著書で出合っています。
この本で私は山之口貘という沖縄詩人に出合いました。
茨木のり子自身の詩は『自分の感受性くらい』や谷川俊太郎選の『茨木のり子詩集』(岩波文庫)を読んだぐらいで、あまり熱心な読者ではありませんでした。
後藤正治の『清冽 詩人茨木のり子の肖像』を読むと、もっともっと長生きして詩作を発表してほしかったと思います。
この評伝の「清冽」というタイトルの、なんと的確なことか。
沖縄の雨に濡れて波打った文庫本を、帰りの飛行機の座席で開き、読み終えるのを惜しむようにしてゆっくりページをめくりました。
あとがきから解説まであますことなく読みました。
そして、『茨木のり子詩集』をじっくり読み直そうと思いました。
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詩人茨木のり子の生涯を追った評伝。79年の穏やかな生涯、ファンなくては書けなかった作品だろう。
高校の教科書に載っていた「わたしが一番きれいだったとき」で知っていた詩人。詩の内容と、どことなく広末涼子っぽい顔だったのと合わせて覚えている。
大正の末の生まれ、終戦時19歳。戦時中から戦後、飾らない言葉で時代を反映させた詩。詩集としては異例の売行きを、残したものも多いらしい。
本書は図書館にて発見。地元ゆかりの作家のコーナーにて発見。茨木が40年以上暮らし亡くなった自宅が近所にあるとは思わなかった。
後藤正治のノンフィクションには外れがないように思う。
茨木作品だけでなく多くの詩の引用。教科書違いであまり触れた機会のない詩という表現形態も面白いかも。
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茨木のり子の評伝。茨木のり子の詩は知っていたが、その背景は知らなかった。若い頃、戯曲を書いていたのも知らなかった。新聞か何かで、詩集「歳月」と共に紹介されていたので、両方とも読んだ。後藤正治さん、ありがとう〜!読んでよかった!
茨木のり子さんは一途で清々しい人だという印象。同人誌「櫂」を川崎洋さんと一緒に創刊していた事や谷川俊太郎、岸田衿子、大岡信なども同人だった事も知らなかった。いくつもの詩が掲載されているが、ほかの作品も読みたいと思った。詩集はもちろんだが、エッセイ「はたちが敗戦」も読んでみたい。また、石垣りんの詩集や茨木さんが選んで翻訳した韓国の詩集も読んでみたくなった。
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数々の心に残る詩はどのように生まれたのか、その生涯を綴ったノンフィクション。青春を戦時下で過ごし、長じては『倚りかからず』に生きたその生き様には尊敬しかありません。何が正しいのか不安になる時代、せめて自分という軸を持っていきたいと思いました。
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第2歌集「見えない配達夫」の「わたしが一番きれいだったとき」、第5歌集「自分の感受性くらい」、生前最後の詩集、第8歌集「倚りかからず」、大好きな詩です。ノンフィクション作家、後藤正治さんが茨木のり子さんの生涯を多角的な視点から浮き彫りにしました。「清冽 詩人茨木のり子の肖像」、2010.11刊行、2014.11文庫。戦争と敗戦、混乱と荒廃、挫折と転身・・・、愚直なまでまっすぐに詩に表現されてますね。吉本隆明氏は、言葉ではなく人格で書いている と。 茨木のり子: 2006年2月17日没、79歳。
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茨木のり子の優れた評伝。第1章からして、すでに読み手の心を掴んで離さない。それは、第13章まで、そして、あとがきに至るまでずっとであった。この書で、詩集では知り得なかった茨木のり子に出逢うともいえそうです。