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<目次>
第1章 秀吉と二つの地震
第2章 宝永地震が招いた津波と富士山噴火
第3章 土砂崩れ・高潮と日本人
第4章 災害が変えた幕末史
第5章 津波から生きのびる知恵
第6章 東日本大震災の教訓
<内容>
朝日新聞be連載の記事をまとめたもの。磯田先生の本はとても読みやすい。なぜだろうか?
日本史上の自然災害の歴史を得意の古文書解読の成果で丹念に拾い集めている。勿論、きちんと調べ論文にしている学者も多くいるのだろうが、この読みやすさのせいで、この本を読んだより多くの人に、過去の災害の歴史から学ぶことの多さに気づかせることが出来ると思う。
そういう意味で、タイトルがストレートなのだが、正鵠を射たタイトルで手に取ってもらいたい。
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興味深かった。
筆者が『武士の家計簿』も著した方で、自分の足や目で得た知識から叙述するためかもしれない。
本書は生の哲学と結びついたベネデット・クローチェの歴史哲学に即して“天災に見舞われる現代”のために“天災から日本史を読み解いた”本である。
一章では災害が政治の流れを左右したことを豊臣氏の衰退に観察している。
二章では富士山噴火・南海トラフ大地震を主題においている。富士山噴火には南海トラフと近い時期に起こりやすいため、この2つは一つの章に収められているのだろう。
三章では、土砂崩れと高潮が扱われている。
四・五章では東日本大震災以前までに、どのように災害に遭い、どのように災害の後に行動したかを述べている。五章では特に、それで得られる教訓を書いている。
六章では東日本大震災からの教訓を記している。
科学を信奉したここ2世紀の流れからの変革を感じる本だった。
天災には上手な受け身を取れば被害を少なくできる。力ですべて押さえ込むのではなく、ある程度は最初から損なうこと等を見込む姿勢が求められる時代になってきた。近年の建築に減築という概念が採られてきたのも、これの一つの現れかもしれない。
日本史は天災に大きく影響を受けてきた。今もそうであり、今後もそうだろう。文明化により頭から追い出していた「災害」というものについて再考しようとする時代になってきた。
そして日本史の中に生きている我々は災害に遭った後、後世のために出来るだけ様々な方法で科学的・具体的かつ精密な内容を多く残していくことが必要だ。我々にはまだ点にしか見えないことが1000年後には線が見えるかもしれない。
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2014年12月読了。
できるだけ多くの人に読んでもらいたい本。
「日本史から天災を読みなおす」でもいいのかも。
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「武士の家計簿」の原作者が何故防災?と思い読んでみた。がしかし、作者は日本防災史(そんな学問があるかは不明)の大家であった。後半の昭和南海地震の津波被害は、南海トラフ対策に取組む上で非常に重要な情報であった。東北震災の堤防高さの話もあったが、どんな規模の災害が来るのか?津波の高さ?発生する被害?は科学的解析予測も大事だけど、歴史的事実ほど説得力がある根拠はないだろう。作者の丁寧な情報収集に敬意!森繁久彌の話も良かった。
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記録に残っている範囲でしか研究対象とすることができないため、地球の歴史という大きな時間軸で見ると、範囲が狭くなってしまうのが残念。
そのため、そこから導かれる天災予測も明日の行動の指針になるような明確なものではない。
ただ、災害時に身を守るのは、結局自分しかいないという事実は改めて納得。極限状態で、あれもこれも考えるのではなく、とにかく自分の身を守ることだけを考えるべきという力強いメッセージがそこにある。
忘れ物を取りに帰るといった安直な行動は厳に慎むべき。
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過去の古文書や言い伝えから、日頃の天災に対する備えの重要さを説く。
時が経つとどうしても忘れがちになるが、備えを怠ってはいけない。
本の中身については、一つ一つのエピソードというか事例について、もっと深く記述してほしい。できれば、いろんな学者で、一つの事例を掘り下げ、その災害の全貌を描くようなものがあると面白い。
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天災から身を守るためには歴史から学べるものが多い。天災をどのように防ぐか。前兆の記録や対処法を古文書から引っ張り出し、その教訓を読者に訴えます。
こういう本の内容は一般的には解説書風になってしまいがちですが、本書はドキュメンタリー仕立てになっていて、その文章の迫り来る気迫さたるや、戦慄を覚えます。
僕の住む宮崎は、日向灘地震が来ると昔から言われています。本書を読んで、地震・津波発生時の対処法を再認識させられました。とにかく高いところへ逃げる。荷物を取りに戻らない。先ず自分が助からないと他人も助けられないから、自分の安全を最優先する。等。先人の誤ちを繰り返さないよう、肝に命じます。
文章に引き込まれて一気に読めました。僕の評価はA―にします。
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朝日新聞「be」連載時に読んでいたはずだが、まとめて読むと改めて考えさせられる。
思い入れが強いこともあり、磯田節全開。
だが、防災のためには、歴史に学ぶことが重要との主張は、その通りだと思う。先人が残しておいてくれた貴重な記録をきちんと学んでおきたいものだ。
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天災の恐ろしさ、それへの対策の仕方について、古文書から読み取り現代に生かそうという本。
とても参考になります。
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防災について歴史学から見つめてみようと思い読み始める。
朝日新聞のBe連載時から読んでいたので、再読したものも多い。
昨年土砂災害にあった地元安佐南の八木「蛇落地」の話もある(『佐東町史』に詳しい)。本書を読了後に『佐東町史』の該当箇所を確認したが、この記述だけで土砂災害に結びつけれるかどうかは疑問。ただし、同じ事例の記述が今後もしあればその地域の防災意識を高めるきっかけにはなるであろう。
また、本書では津浪だけでなく台風による高潮被害への警鐘もならしている。
津浪・高潮に頻繁に襲われる日本だけに、どのようにしたら生き残れるか参考となる先人の叡智は多い。
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著者は,『武士の家計簿』を書いた磯田道史氏。石川県人である私は,こちらの方を先に知っているので,「なんで,この先生が,こんな本を書くの?」と思ってしまった。
このあたりのことについて,著者は,あとがきで簡単に触れている。
「しかし,その間も常に災害史のことは頭にあって,武家文書の調査をしていても,地震や津波の資料があれば収集しておくことを20年間続けていた。本書はその積み重ねの成果である。」
なるほで…である。
寒川氏の著作とは,またちがう視点で,過去の地震や津波災害を捉えていて,おもしろい。もしも,あのとき,あの地震が無かったら,歴史はちがう展開になっていたかも知れない…と思う箇所もあった。
ただ,他の人がレビューでも書いているように,後半は,「先人に学ぶ防災」という感じになっていて,ちょっと「日本史を読みなおす」とは言えない内容だ。
でもでも,それもまた大切な情報であり,今後,私たちが「なぜ歴史を学ぶのか」を考える時の1つのヒントを与えてくれる内容であることは確かだ。
最後に紹介されている岩手県普代村の防潮堤と和村村長の話は,明治の話であるだけに,とても身に染みた。
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地震、津波、高潮、土砂崩れと、多くの災害に見舞われてきた日本には、その克明な記録が残されている。古文書を紐解けば、過去の災害がどのような規模だったか、同じ被害を繰り返さないために何に注意すればよいのか、多くの示唆が得られる。
地震や津波、富士山の噴火では前兆と考えられる現象が観測されていた。地名や神社の場所には、過去の災害の刻印が隠されていた。悲劇を生き延びた人々が残した戒めが、後の世の人々を救った例も多い。近世の災害や東日本大震災での事例も含め、今後も災害と向き合っていかなければならない日本人が、覚えておくべき多くの教訓が残されている。
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「災害を考える」と言えば、何か“理系”な科学という印象が強いが、「過去の記録を紐解いてモノを考える」という歴史学のような「文系の科学」というのも大切であるような気がした。
とにかく非常に興味深い一冊だ!!
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教科書を見ても、日本史の通史を見ても、地震に関するエピソードは関東大震災しか見当たらない。歴史を学ぶ人が参考にするテキストには、震災や台風、津波によって歴史が何らかの影響を受けているという視点がないように思えて仕方がない。
そんなことを思っていたらこの本を図書館で見つけました。
前田利家の娘が亡くなった伏見の地震が秀吉政権を弱らせたという説は新鮮でした。
でも、読後ひしひしと感じたのは、過去の(それも古代中世も含んでまで)震災の記録があればきちんとひも解いて、当時の状況を知ること、犠牲者を出した原因や生死の境目は何だったのかの分析、その土地の特徴を知り、対策を立てることがホントに重要だと思ったのと、学校でも地元で過去にどんな災害があったのかを子どもたちにしっかりと教える必要性があると思いました。そしてサバイバルの知恵を身につけさせることが大事ですね。
本書後半の被災者の記録は思わず涙してしまいます。
こういう研究をしている学者さんって珍しいので磯田さん是非頑張ってほしいです♪
おまけの感想ですが、当初の目的と読後の感想がズレていった自分の感覚につい笑ってしまいました。
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本書を読んで思ったのが、日本は自然災害が多い場所、ということ。だから色々対策もできる。けれどもその災害経験が生かされないことも多々あることも分かります。
先の東北大震災では海岸線の松林は役に立たず、津波で引きぬかれた松が人に対する凶器にもなるということに戦慄。このことはあまり知られてないことではないでしょうか。