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◎●まぬけなトッケビ / 朴鍾振 訳
韓国の昔ばなし。忘れん坊で人のいいトッケビが何度もやってきて、主人公に富をもたらす話。とっけびは、韓国の伝説や昔ばなしによく登場する化け物で、姿形はさまざま。正確も、人懐こい者、いたずら好きの者、相撲やなぞなぞが好きな者など、たくさんのタイプが存在する。子供たちは、トッケビが主人公のところに何度も同じものを持ってくる場面でよく笑い、「アムゲヤ、アムゲヤ」の繰り返しを喜ぶ。お話そのものの楽しさに任せて素直に語ればよいが、結末の部分は、とっけびに感情移入しすぎると、かわいそうな話になってしまうので、テンポよくからりと語ること。
2,3年生から。(10分)
●魔法のかさ / R・ファイルマン 原作E・コルウェル 再話松岡享子, 浅木尚実 訳
「こどものとも516号」1999年3月福音館書店より。
日常生活の中で魔法が起こる、ごく単純な筋立てのおかしな話。子供たちは冒頭で、数をかぞえると、どうなるか知らされるため、期待を込めて聴き入る。突拍子もない状況が目に見えるように語られるので、笑いがはじけることまちがいない。「ひゅー」という瞬間は、スピード感を出すこと。登場人物の正確もさりげなく付与されているので、それぞれ思い描いて語ると味わいが増すだろう。
5,6歳から(8分)
●明かりをくれ! / 松岡享子 訳
「本」が需要なキーワードとなり、怖いけれども、おしまいは気持ちの良い終わり方をする話。冒頭、やもめと七人の子どもたちが、小屋を追い出されてさまようところから、聞き手はぴったりと話についてくる。話はだんだん不気味になり、緊張が頂点に達した後、一転して幸せな結末へと向かう。細かい描写もあり、子どもたちの有機や幽霊の強い願いに支えられて展開する話なので、怖がらせることばかりにとらわれず、しっかりイメージを描いて語るとよい。
4,5年生から(11分)
●ネズミの大てがら / 光吉夏弥 訳
『世界むかし話 インド』光吉夏弥訳 ほるぷ出版より。チベットに伝わる昔ばなしを英国人が再話したもの。ヒマラヤのふもと、厳しい自然のもとで暮らすネズミたちと親切な王様の話。小さなネズミでも役に立つというイソップの話中話はさりげなく語るようにして、何万というネズミの群れが隊を組んだときの様子をありありと思いうかべながら語りたい。争いがおこる前に敵が降参する結末を子どもたちはとても満足して聞く。
3,4年生から。(12分)
●ネコのお客 / R・エインワース 作瀬田貞二 訳
『幼い子の文学』瀬田貞二著 中央公論社より。
「こすずめのぼうけん」で知られる英国作家の短編。
食べ物をねだるネコと、応えていくおじいさん。両者がだんだん打ち解けていく様子が、目に見えるように描かれているので、2年生くらいでもひきつけられてよく聞く。こまかな描写が重ねられているため、語るには集中力が必要。神秘的な結末に、深い満足感が残る。
2年生から(16分)