イスラム教に疎い人に読んでもらいたい。
2015/02/05 21:15
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:命"ミコト" - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、イスラム教の成り立ちや日本を含む欧米マスコミのイスラム教の偏見に対する危険性が書かれている。
具体的に書くと、
・安倍内閣が勧める集団的自衛権はイスラム教を敵にまわす危険性。
・日本を含む欧米マスコミがイスラム教差別を助長している。
・欧州の極右や極左の躍進はイスラムのヘイトスピーチを悪化させる。
などです。
最後に日本人にとってのイスラムや戦争は心の中から生まれるを読むとイスラムを守るために平和憲法の重要性が解ります。
内容的にイスラム教に疎い人に読む事をオススメします。
イランラジオのリンクも貼っておきます。
http://japanese.irib.ir/
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読書中。
イスラムのことがよくわかる。
共存するためにはまず相手を理解するよう努力することから始まる。
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「戦争は人の心の中に起こるもの」
終わりの方のページで、ユネスコの憲章から引用されたこの言葉が印象に残った。
憎しみが憎しみを呼び、戦争はまた新たな戦争を引き起こす。
われわれ日本人が無知であるイスラムに対する誤解を解き、理解を深める一冊。グローバルな視点で世界を捉えるのに必読の書であろう。
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イスラムを巡る政治状況を歴史的背景を解き明かしながら平易に解説し、あるべき中東政策の処方を提示。西欧諸国の一方的な視点の怖さを痛感させられる。
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イスラムとの多文化共生を真摯に考えてきた内藤氏が今般の危機について熱く語る。
イスラムは寛容の宗教。商人の教えとして始まった穏健なもの。そういう趣旨の著者の本はいくつか読んできて,なるほどなと感じてもいた。しかし本書は話題が話題だけに反欧米が明瞭に表れすぎていて,記述にもだいぶ無理がある。そんな印象を受けた。
著者の主張は要するに,イスラム国のような過激な組織を作り出したのは,20世紀の帝国主義列強の横暴と,イスラエルによるパレスチナでの殺戮,冷戦後の欧米諸国によるイスラム敵視,911後のアメリカを中心としたアフガニスタンやイラクでの殺戮,信仰を徹底しない欧米追従アラブ諸国による国民弾圧であって,責めは全面的に西洋社会に帰するというもの。もはや力による解決は不可能。それに荷担してこなかった日本,九条をもつ日本が果たすべき役割は別のところにあるはずだ。欧米の流す偏った情報に乗せられて,イスラム過激派を敵に回すことは愚の骨頂である。そういうことを縷々述べている。
確かにここ百数十年の歴史が,イスラム社会を虐げ,苦しめて来たことは間違いないし,それへの反発がISILのような過激派を生み出してきたこともその通りだろう。欧米発のニュースにバイアスがかかっていることも,情報戦の結果として当然のことだろう。しかし著者はその点に注目するあまり,過激なイスラム主義の問題点に目を瞑りすぎている。
幾つか引用したい。
「カリフ制によるイスラム国の建設は、どうしようもなく堕落したムスリム世界の再生をめざす一つの実験…その面を重視すべきではないかと思います」p.93
「世俗的イデオロギーには闘争心を煽るようなところがありますが、イスラム主義の最終的な目標は、個人も社会も自由や安寧を求めるところにあるのです」p.119
「イスラムでは奴隷を認めるのか、言語道断だと言うことはできます。しかし、イスラムの本質は神の命に全面的にしたがうということですから、神の言葉を集成した『クルアーン』の、良いところは利用して悪いところは使わないといったことは原理的にできないのです。残念ながら、西欧的価値観に基づいて善悪の判断を下そうとし続ける限りは共存の入り口にすらたどり着きません」pp.156-157
「イスラム国などイスラムではない、ただのテロ組織だと宣言するのならば、アメリカやイスラエルやエジプトの政府が市民を殺すときも、あんな国は国家じゃない、ただのテロ組織だ、という主張に説得力が出てくることを覚悟しなくてはなりません」p.240
イデオロギーと宗教の異質性を強調するあまり,信仰を利用することの問題点を過小評価してしまっている。過去のテキストに忠実に従い,理想に向けて邁進することの弊害を,人類は学んできた筈ではなかったか。
もちろん著者もISILの動機はともかく行動を支持しているわけではなく,テロや人質殺害には明確に反対している。そして問題の解決策についても触れている。軍事力の行使は紛争解決に貢献しない。この非対称な戦争を終わらせる方法は,平和憲法を奉じる日本の仲介による和平合意ではないか。そう示唆して本書は閉じられている。
日本人人質事件が報道された���は,本書執筆の後のようではあるが,当時としてもあまり現実的な解決策とは感じられなかった。彼らとの歩み寄りは可能なのだろうか。
イスラム法学者の「ハサン中田考先生」を著者は随分評価しているようで,彼の言葉をところどころに引用しているのもなんだか違和感があった。
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テロ行為は決して容認しないが、イスラムを否定し無下に断罪する世論に異を唱える。世にはびこるイスラム・フォビアを憂い、そこまでに至った経緯とこれからに向けた提言を記した好著。
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ブログに掲載しました。
http://boketen.seesaa.net/article/413703045.html
内藤が説いてやまない、多文化の共生という理念にむかって進む以外にない。それは、カルト教団の現実の脅威を力で排除することをさまたげないはず。できれば、アラブ諸国がみずからの手でイスラム国の脅威をとりのぞいたという形になってほしい。日本は、武力行使をしない国という国際的な立ち位置を守って、イスラム地域の人びとに貢献できることがあるはず。
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イスラムをもっと理解することから始める必要があることを教えてくれる良書。
明治維新以降、英、米、独を中心とする欧米の考え方、政治体制に多大な影響を受けてきた。遠く離れたイスラムのことを欧米視点による情報を鵜呑みにしてしまくことに対して注意喚起をしている。
そもそもイスラムでは主権は国民にはなく、神にあるという考え方の違いすら知らなかった。今まで多くの日本人が培ってきた欧米流の考え方と相容れないわけだ。
イスラムについては、少なくともオスマン帝国時代ぐらいにさかのぼって歴史を学ぶ必要があると感じた。
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イスラムについて、本当に知らないことが多すぎる。政治家たちも日本のことを考えるのならこういう人の声に耳を傾けないといけないのだと思うが、安倍さんを始め政治家は金儲けばかり考えるので、9条を改正してまでも戦争参加へと進んでいくのだろう。怖いことだ!
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長年、欧米の理不尽な振る舞いを目の当たりにすれば、憤るのは最もです。現在のイスラムのカオスは欧米による翻弄の結果でしょう。それでも、アラー風刺画に対する極端な反応、略奪し奴隷にするのを認めるコーラン、ISISの振る舞いなど、イスラムへの理解が難しいのは事実です。理想はトルコをイスラムの成功モデルとして発展をサポートすることでしょうか。ただ、日本が軍事バランスを見直しているのは、朝鮮半島・中国大陸の脅威が顕在化しているからです。集団自衛権行使による中東派兵の動きを監視していくことは当然です。
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イスラム問題を欧米の発表に頼らない著者自信の視点から解説している.所々ビンラディンやイスラム国を擁護するよるにも取れる記述があり、日頃の報道に慣れてしまった目には違和感を覚えるが、基本的には武力で紛争は解決しないとするスタンスは共感できる.
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読後の感想は少し変わったのだが、全体的な感想を述べれば正直、ガッカリだった。前著の「イスラムの怒り」を興味深く読ませていただいただけに、その期待を大きく裏切られた気分が残った。
問題点はいくつも指摘できるが、根本的な部分ではやはり「タイトルや章が不適切である」点と「論拠、準拠が明示されていない」点だろう。特に後者は致命的であり、その点についてここでは説明しておく。
この本の中では繰り返し「我々はイスラムに対して無知・無関心でありすぎた」と指摘されている。我々とあるが、まあ実際は「日本人は」と入れ替えて構わないだろう。専門家による世間批判である。
にもかかわらず、ここで論じられた内容についてさらに深く追求しようと読者が望んだとしても、詳しい専門書はおろか、類書でさえ知ることができない。新書はあくまで入り口であり、より深い知性を求めるためのきっかけだろう。にもかかわらず、この本は、どこにもつながっていないどこでもドアのように、抜けた先に何もない。
本書の内容いかん以前に問題がある、というのは、大きなマイナスである。内容がほとんど断定調であり、「アメリカはこう考えている」「アメリカの軍需産業はこう考えている」「イスラムの人間はこう考えている」と論じているのに、その論拠が示されていない点で本書の信頼性は著しく落ちる。
知識は豊富であり、それだけに三章の内容(イスラム世界の現状)をベースにするのか、二章の内容(日本人のイスラムに対する無知)をベースにするのか、どちらかに絞って書くべきだっただろうと思う。
この本は一冊としてみた場合、知識の点で半端であり、論説としても浅い。また、知識はあれど、知見がないのも気になるところだ。
三章以降の内容は悪くなかった(むしろ良かった)だけに、とても残念な一冊だった。星三つと評価したい。
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この頃 目の疲れもあって、本があまり読めない。でもこの本はよかった。著者はムスリムでないが、中田考さんを肯定しており、「国家」というものを理解しており、9条の力をわかっている人です。
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イスラム地域研究の専門家が、イスラム国の台頭に至る中東地域の混迷について、歴史、宗教、政治権力、世界のパワーバランス等様々な角度から分析、解説し、今後の日本の取るべきスタンスを提言している。
本書で著者は、
◆1979年のイラン・イスラム革命以降の米国の中東政策は失敗の連続であり、その原因は、イスラムに関する無知、先入観、偏見に根差した「イスラム・フォビア(イスラム嫌悪)」にある。
◆ムスリムには、同じ唯一絶対神から啓示を受けた「啓典の民」であるキリスト教徒やユダヤ教徒に対する憎しみはなく、彼らの敵意は、歴史的に自分たちを力で支配してきた英仏などの欧州列強諸国、シオニズムに基づく領域民族国家イスラエル、対テロ戦争と称して多くの市民を犠牲にした米国という国家に向いたものである。
◆イスラム国が目指す国とは、イスラム主義に基づき、主権が国民ではなく神にあり、カリフにバイア(臣従の誓い)を立てれば世界中のどこにいても国民となれる国である。即ち、西欧発祥の主権が国民にある民族国家とは全く異質であり、共約不可能な存在である。
◆一方、中東のイスラム国家の多くは世俗主義的ムスリム政権であり、こうしたムスリム政権やサウジアラビアの王族は、西洋諸国と持ちつ持たれつで国家・政権を維持してきた経緯があり、イスラム主義を掲げるイスラム国のような存在は、彼らにとって最大の脅威と言える。
◆日本は無批判に米国に追随し、世界中のムスリムを敵に回すのではなく、中東で米国の最大の同盟国トルコが、長年の米国からの参戦要請を拒否している姿勢に学ぶべきである。
と述べている。
イスラム国は「国の体裁を整えた初めてのテロ組織」などと言われるが、イスラム国台頭の最大の意味は、本書でも語られているように、主権が国民になく、領土すらも必要としない、新たな国家形態が提示されたことはなのではないかと思う。産業革命時の英国に始まり、21世紀初頭において国家形態の普遍的なスタンダードとなりつつあるnation state(=民族国家)と共約不可能な国家形態の登場は、もしかすると、数百年というスパンでの歴史の転換の契機になるのかも知れない。
短期的に日本が中東地域の混乱に対してどのようなスタンスを取るべきかという問題はもとより、更に深いテーマを提示する一冊である。
(2015年1月了)
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この1年、内藤先生のツイッターを通じて、中東、イスラム世界のことを知ろうとしてきた。
学生時代からずっと、中東問題について、もっと知りたいと思っていたのだが、イランとイラク、スンニ派たシーア派が、どっちがどっちかすぐわからなくなるくらいの全くいい加減なものだった。1年前(多分、日本人人質殺害事件をきっかけに)内藤先生と(勝手に、一方的に)出会い、この先生を通して学ぼうとおもった。
情けないことに本を読むのは初めてだった。
「生」内藤先生を拝見する機会を控え、大あわてで読んだ。大変わかりやすく書かれていて、もっと早く読むべきであった。
私のような、中東問題、イスラム社会について知りたい気持ちは強いのだが、難しく、複雑で、なかなか理解しにくい、頭に入りにくいと思っている人に、是非オススメしたい。