紙の本
いろいろな体験
2021/02/26 10:43
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの東日本大震災からもう10年が経った。被災地の一つ、宮城県石巻市で地震津波を体験した身であっても被災地域の全てを知っているわけでも無いし、当時の記憶も薄れつつある。
被災3県と言われる岩手、宮城、福島県、中でも津波で大きな被害を受けたのは三陸沿岸地域である。各地にいろいろな体験が残されている。気仙沼もそのような地域だ。
当時、東京都副知事だった著者が自身のツイッターに投稿された一文に着目し、内容の真偽を判断し、救助の手を気仙沼に派遣した。その顛末を記したものだが、気仙沼地域やそこで暮らす人々を活写している。途中に著者の好奇心が強すぎて閉口することや重複する部分が読む上で気になるし、気仙沼や三陸沿岸の地理に疎い人のために、位置図や詳細図等は中央公民館の構造図と同様に巻頭口絵に掲載してもらうとわかりやすかった。
いずれにしろ、遠く離れた東京都から指揮し組織的な救助活動を行ったことはあっぱれな美談であると思う。
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これは物凄い本です。圧倒的な自然のリアリズムの中で、各々が行動する様は、カミュの『ペスト』を彷彿とさせる実存主義を思い起こさせます。単なるルポルタージュでも、災害時の行動規範・教訓を記すだけに留まるわけでもなく、そこに語られている世界に引き込まれ、巻頭に公民館の建物図面があるのみなのにその光景がありありと眼前に迫る読書体験が出来ます。その体験から得られるものは人それぞれ多くのものになることでしょう。
猪瀬氏の近著『さようならと言ってなかった』とこの本は、新たな段階に入ったことを感じさせます。それは、マクロとミクロがミルフィーユのように重層的に折り重なる深さと説得力を持ったノンフィクションであり、こうなったらこの先も新刊が出るたびに読まずにはいられないんだろうなと思っています。
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「火の海 ダメかも がんばる」。東日本大震災。気仙沼市中央公民館に市民446人が取り残された。絶望の淵から、全員が救出されるまでの一部始終を、迫真の筆致で描くノンフィクション!
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2011/3/11 震災で、津波から逃れるために逃げ込んだ公民館で、津波の被害は避けられたものの、水が引かないうちに火災に取り囲まれた人達。避難者のリーダーがロンドンの家族に状況を知らせたメールを元に、そのロンドンの家族が的確な tweet にまとめて発信し、東京消防庁のヘリコプターで救助するに至った経過の記録。
著者も東京の一点で関わっているが、避難者へのインタビューを元に構成したノンフィクションとして、とてもよい。それぞれの人が置かれた状況が想像できて、涙を抑えられない。
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読んだ。重たかったけど、読んでよかった。人間すごい。がんばって生きよう。悲惨さを記録したものではない。
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都庁を追われ人生の仕舞いも考えているであろう猪瀬氏が書き上げたということで読んだ。
津波で気仙沼市の中央公民館に取り残された人たちのドキュメンタリー。
毎月避難訓練をしていた保育園の保育士の活躍が印象的。石巻の大川小のように防災避難計画の確かさが命運を分けることもある。計画と日頃の訓練と意識が重要。
中央公民館だけでもこれだけのドラマがあったのだな、とも思うが一方で緊急時にはそれだけの状態に追われるのはままあるのだろう。
南三陸などにも触れられている。ロンドンのハットン・ガーデンの記述はなんだったのだろう・・・
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震災当時の気仙沼中公民館の周辺の状況、ひなんした人たちの人間模様が、視点が次々移り変わりながら書かれている
当時のこととか、普段の自分自身とか、いろんなことを考えさせられる
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★2015年4月12日読了『救出 3.11気仙沼公民館に取り残された446人』猪瀬直樹著 評価B+
東日本大震災の時に気仙沼公民館へ避難した保育園と障害者施設の園長を中心とした避難の過程と公民館避難後の2~3日間の救助されるまでの現実の話。
大震災以降世界で称賛された日本人たちの冷静で、協力的なその日の行動の一端が、しっかりと描かれている。
種々のインターネットメディアで見る限り、被災地の津波に対する認識は、相当甘かった若しくは、防災施設に期待し過ぎていたのではないか?という個人的な印象を実は私はもっていました。
しかし、ここに描かれる人々は、訓練も充分で、地震後の対応も的確かつ最速。それでも、あのような事態に立ち至った現実を突きつけられた。
猪瀬氏も、スキャンダルで都知事をしりぞいた事もあり、最大限抑え目に登場しており、かなり配慮している事がうかがえる。
もともとノンフィクション作家としての技量は高かった猪瀬氏。しっかりとした作品で復活して欲しいと思う。