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トンガを舞台に日本で傷ついた女性たちが再生する連作集。
「楽園」
「約束」
「太陽」
「絶唱」
の4編収録。
特に「楽園」と「太陽」は見事に対をなす作品で、この2作だけなら星五つです。
「約束」は「楽園」の原点を物語るお話ですが、阪神淡路大震災が絡まない点が連作としての一貫性が足りない感じがしました。
「絶唱」は〆の作品として、ラストは感涙ものですが、連作の流れとしては楽屋落ち的な感じもしました。
一作づつはそこそこの完成度ですし、このところのミステリーではない作品での健闘は称賛しますが、連作としてまとまり切っていないことが残念で、ミステリーから脱皮するのにあと一歩と思いました。
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初読。図書館。温かい方の湊さんの阪神淡路大震災にまつわる連作短編集。全体的には温かいのだけれど、「楽園」の毬絵と雪絵の母親も、「約束」の理恵子の恋人の宗一も、じわじわとコワい。表題の「絶唱」があることで、全体がずっしりと重みを持って迫ってくる。最後の2ページで泣けました。白い湊さんは不評で黒い湊さんを待ち望む声も多いけど、個人的には白い湊さんもだんだんよくなってきて、嫌いじゃない。
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連作短編集。引き込まれて一気に読みました。
最後の章は賛否両論ありそうですが、私は一気にリアリティが出て良いなぁと思いました。
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この著者の小説にしては珍しく入っていくのに時間がかかった。
最後の章の阪神大震災の3人の親友の話し。
真っ先に駆けつけず、安全な方へ非難したことがそんなに責められることなのだろうか…。
被災して亡くなった親友のひとりから死後、誕生日に手紙が届いてのは切なかっった。
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阪神大震災とトンガ、著者の実体験に基づくもの?
湊さんの作風とちょっとずれる作品ではありますが、この作品を世に出すことで、著者のトラウマみたいなものを昇華させているのかもしれません。
死は悲しむべきものではないなんて、いい文化です。
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湊かなえの新作は、アンソロジーのStory Sellerシリーズに
掲載された2つの短編に書き下ろしを2つ加えた、全4章の連作短編集。
舞台は南国の楽園、トンガ王国。
そして、全てのエピソードの登場人物に共通するのは、阪神・淡路大震災
で被災した女性であり、それなりに大きなトラウマを抱えている、という
こと。
南の島っぽいゆったりとした雰囲気こそ流れているが、その手の高揚感は
ほぼ無い。ただ、舞台がトンガで無ければとにかく暗く、夢も希望も無い
内容に終始していたと想う。中和剤としてのトンガの使い方が絶妙で、そ
のおかげで真っ暗な展開の中にたびたび優しくて強い光が差す。かなり重
い内容なのにもかかわらず、読後感はそれなりに爽やか。ちょっと不思議
な作品でもある。
イヤミスの教祖だった湊かなえだが、良い意味でも悪い意味でも毒が失わ
れた気が。ただ、代わりにこちらの痛いところをピンポイントでチクッと
突いてくる文章は、以前とは違う惹きがあるのも間違い無い。キライじゃ
無いけど、ちょっと寂しいなぁ・・・。
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2015年02月25日読了。
4人の主人公が様々な理由から南の島、トンガを訪れる。心の葛藤が描かれている。さすが湊かなえさんです。
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心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために-。「死」に打ちのめされた彼女たちが辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島。そこで生まれたそれぞれの「希望」のかたちとは?
旧ブログ時代を含めると湊作品を読むのは16冊目だが、この人は毒のある作品が私はいいので本作は拍子抜け。無理に書いたような薄っぺらさを感じた。
(D)
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阪神淡路大震災をモチーフにした短編集、当時のことを思い出す。善意とは?支援とは?共感とは?反省させられた。被災の描写やその後の被災者の人生に。
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とてもよかった。
いつもの湊作品とは全く違う、実話っぽさ、というか、阪神淡路大震災をテーマにした連作で、
人との繋がり、関わり、出会いの必然的な感じが伝わった。
阪神の時は社会人、独身、実家暮らしで、事の重大さは分かってはいたものの自分に置き換えができなかったように思う。
東日本の時は結婚して、子どももいて、老いた親もいて、いろんな立ち位置で身近な人を亡くす辛さに茫然となった。
そして地元熊本で、自ら揺れの恐ろしさを知り…。
本の中のどの人物も痛みを持って生きている。
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湊かなえにしては登場人物が少ない。神戸の震災をテーマにしてるから、発行日も合わせたのかな。
双子の姉妹を亡くしたマリエ、父を亡くした杏子とその娘花恋、彼氏の親友を亡くした松本理恵子と、ゲストハウスを経営する尚美とのやり取りを描く物語。
トンガの素敵なところが伝わった。
最後の1ページ、これまでの話が小説で、尚美はすでに亡くなっていたこと、そう来たかという感じ。
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★2015年3月7日読了『絶唱』湊かなえ著 評価B-~C
話としては、まあまあ良く出来てはいるのだろうけど、この人の作品には、深みがないなあ。あまり本を読まないスマホ世代には、分かりやすくて受けるのかもしれない。ストーリーの組み立てには、工夫はそれなりにあるのだけど、きっと人生で挫折を経験していないのではないかしら?と思うほど、ざらざら感のような肌触りを彼女の作品に感じないのです。
阪神大震災を題材にその惨事が引き起こしたそれぞれの人生を上手くまとめて物語りにはしてくれているのですけれど。事実を語っていて、人の心の奥底を描けていない気がします。作品としては、これまで読んできたミステリーの中では、平均点より下なんですよね。
しばらく湊さんは読むのをやめます。
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阪神淡路大震災をテーマにした連作短編集です。
震災を軸にしながらも、もうひとつの舞台はトンガで、今まであまりよく知らなかったトンガという国についても少し知ることができました。
多くの人が傷ついた大震災だったからこそ、語りつがれなければならないし、そのひとつの形としてこの本は心に響きました。
あの東日本大震災から明日で4年なのだと思いながら読みました。
多くの人におすすめしたいです、
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東北大震災のことを彷彿とさせる内容。あからさま。戦争について語るときは、戦争について語るべきではないとどっかで読んだけどまさにその通り。地震について語りたいならば、地震をテーマにしないこと。それくらいの想像力ならこの人なら持っているだろうに、ちょっと安易だったのでは?南国風の雰囲気をうまく描き、そうそう、これくらいのテキトーさと温かさっていいよね、と思わせる場所設定が東北の悲惨さとその後の日本人の助け合いの精神をうまく浮き彫りにしているところはよかったかな。しかし、人間の営みって小さいんだなー。
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湊かなえというカテゴリを登録していますが、最近は作風が変わってきて?そのカテゴリにはあてはまらないです。本作は、阪神淡路の震災で大事な人を亡くした人のその後の人生、どう生きるかについてをトンガという国の文化も交えながら伝えてくれています(実話も多く含まれているのでしょうか?)。一瞬で人生が変わってしまう怖さ、トンガの人々のような考え方で生きていくこともあるんだなと。皆、傷を一生背負いながらも強く生きていてすごいなと。。最後の展開はちょっと意外でした。