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楽園、約束、太陽、絶唱と題名のついた短編集。トンガから来たボランティア、セミシさんとその妻尚美さんとの出会いと別れのお話。阪神淡路大震で被災した、土居千春の小説と体で物語が語られている。
外側から見えるものと内側から見えるもの。
その人の気持ちになって考えることの難しさ。
そんな時、とびっきりの笑顔や素敵な歌声で癒されることがある。
誰かのためにできること。それがたとえそっと傘を差し出すことでも。
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表題作を含む4つの連作短編集。最近の湊かなえの作品はこの作品を含め、白いものが多い気がする。帯に書いてあるとおり、この作品は喪失と再生がテーマなのだろう。人は誰しも生きて死んでいくが死を悲しむというのは故人に対して、失礼なのかもしれない。前向きに希望をもって生きる事が大切なのだろう。
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いつも通り。一本の話をいくつかの視点から書いて、最後に手記でだらだら情報を流しておしまい。
もはやミステリーですらない。ただの日常話。
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阪神大震災を経験した女性達が、トンガで出会ってから互いに変わっていくという物語。阪神大震災での出来事はまざまざとした描写が実話かと思わせてしまうほどで気分がずっしりと重くなってしまう話だと感じた。杏子が、小さい頃に被災して、苦しい思いをし、その後大学を中退してシングルマザーになった経緯は切なさが込み上がってきた。日本人とトンガ人の死に対する考えも違っていて、トンガ人は死を前向きに受け止める考え方が良いなと感じた。全体的に泣けてしまう物語で、今までの著者の作風とは良い意味で裏切られた感じである。
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生きていると楽しこともあれば悲しいこともある。嬉しいこともあれば辛いこともある。そういった悲喜こもごもを経ながら人は生きていくのだが、時には忘れることができないような辛いできごとに遭遇することもある。
そんな時に、どうしようもない悲しみや苦しみを癒す場所が欲しい。場所ではなくても人でも良い。心の中の苦しみや悲しみを乗り越えるのは自分自身だが、乗り越えるためのきっかけとなる場所があれば、生きていくうえで心強いのではないだろうか。
湊かなえさんの書かれた「絶唱」は、心に大きな傷を負った女性たちが南の島トンガに行くことで心を癒されるという連作短編集だ。
湊かなえさんの作品に登場する主人公は、心に傷を負った女性が多いように感じる。そして、単に主人公が体験することを描いていくのではなく、心の中にある暗闇や葛藤を見事な描写で表現していくという点がすごいと思う。
そういう意味で湊かなえさんの書かれる小説は一種独特な世界観があり、決してハッピーエンドだけでは終わらないというイメージがあった。しかし、今回ご紹介する「絶唱」は今までの作品とは少し趣が違い、読み終えた時に心がフワッと温かくなるような感覚を覚えた。
それぞれの短編の主人公たちは、それぞれが阪神淡路大震災の被害に遭っている。その時の悲しい思い出や心に負った傷を持ちながら、ある女性は一人で、ある女性は二人でと、南の島のトンガにやってくる。そして、日本人女性が経営するゲストハウスに宿泊した彼女たちは、それぞれの想いを胸に抱きながら現地の人やゲストハウスのオーナーと接していく中で希望を見出していく。
短編に登場するそれぞれの主人公にはそれぞれの忘れられない過去があり、その過去がお互いの過去と現在とに微妙にかかわりあいながら進んでいくというのが面白い。人と人とは知らず知らずのうちに縁があり、その縁が絡まりあいながら人生を作り上げていくんだということがわかる。
阪神淡路大震災は悲しい天災だったが、それを忘れないためにもこういった物語が世の中に出ていくことは意味のあることだと思う。第28回山本周五郎賞の候補としてもエントリーされたこの作品は、初刊発行日が阪神淡路大震災の発生日と同じ日だ。そこにも湊かなえさんの想いが込められているような気がする。
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最初の話はStory Seller 3に出ていて既読でしたが、再度読んでも良かったですね。
トンガと阪神淡路大震災を軸に短編は続きます。
トンガ行ってみたくなりました。
湊さんらしく、「楽園」と「太陽」で別の登場人物から見た風景が書かれていて、前の作品の登場人物の印象とまったく異なってしまうように描けるのが素晴らしいです。
最後の絶唱。ここでトンガに関するの謎は終結します。
生きていくとはを考えさせてくれる作品でした。
お勧め。
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トンガを舞台に震災などで心に傷を持った人たちの再生物語。どんな時でもどんな場所でも人とかかわり合うことで心を開いていたり、大切なことに気づいたり。ちょっとしたミステリ要素もあって良いスパイスになっている。
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トンガという日本から離れた土地でゲストハウスに滞在する人々を描いた、湊さんの作品の中でもかなり「イヤミス的」なもののないさっぱりとした作品。
根底に「阪神淡路」の震災がテーマとしてあるが、最後の「もうすぐあの震災から20年です」という言葉にズキッとした。
私もあの揺れを体験したはずなのに、世間では遠い昔のことのように忘れかけられている気さえする。
湊さんの作品は後味が悪いと思うことが多かったが、この作品はきれいな終わり方だった。
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最近連作短編が多いなー。
章が変わる毎に登場人物がリセットされて、その都度一から人間関係を覚え直さないといけないのが面倒くさくて(笑)この手法はあまり好きではない・・・。
そろそろ普通の長編が読みたいものだ・・・。
最後の章の手法は小野不由美の「残穢」を思い出した。
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つたない一人称でつづられる最初の話、あれ、これって小川糸だったっけ?と思わず、表紙見直してしまいました。図書館で片っ端から予約して借りる読み方なので、こんなことがよくある。
徐々に違う側面をみせてくるのだが、どっちにしろ、この作者さんのえぐいとこが今回はなかったです。
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阪神淡路大震災で負った傷をトンガで癒される4人の女性の短編集。
一気読みできるスピード感は湊かなえさんならでは。
双子の片方の墓石を持った女子大生、婚約解消したい海外協力隊員、シングルマザーのキャバ嬢、3人の話と比べ、湊さんを彷彿させる現作家さんの女子大生時代の話がちょっと浮いた感じ。まだ消化しきれないまま書いたような。一生消化出来るようなものではないのかもしれない。
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これも白湊作品。もう黒湊の新作は読めないのか?個人的には「約束」が一番好き。他人を思いやるとはなんて難しいことなのだろうか。独りよがりの思いやりのなんと多いことか
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阪神淡路大震災で繋がっている人々との出会い、別れ、悲しみ、苦しみ・・・色々な要素が詰まった中でそれぞれの登場人物達がどう立ち上がっていくか、を短編で綴った作品。あれから20年の月日が経ち、どちらかと言うと震災と言えば東日本大震災の方の記憶が残っている中、あえてこの題材で書かれた意味は深いと感じました。
今回、震災をテーマに書かれておりますので、評価はしません。
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半分くらいは読んだことがある話だった。
震災が人生に与える影響の大きさを感じさせる作品たちだった。
青年海外協力隊には思うところもいろいろあるし、この本読んでちょいちょいボランティアとはってことも考えさせられた。
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湊さんがこの小説を描くためには20年の時が必要だったのだな、と、そう思ったり。
二度の震災はその内側と外側にいる人に、多分くっきりと線を引いてしまったのだろう。
傷付き困っている誰かを助けるために何かできること。ボランティアというのはとても崇高なものだと思う。思うけどそこに、与える、受け取る、という意識の違いがあることは覚えておかなければ、と。
震災で傷ついた4人の女性が訪れたトンガという国。
その島の空と海の青さを思う。