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SHIROBAKOイントロダクション みんなのレビュー
- 武蔵野アニメーション (原作), 伊藤 美智子 (小説), 田中 創 (小説), TAMA (小説), 吉成 郁子 (小説)
- 税込価格:1,100円(10pt)
- 出版社:集英社
- 発売日:2015/01/27
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紙の本
SHIROBAKO
2018/07/21 13:23
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
『SHIROBAKO』という作品は、アニメ制作に関わる各役割の楽しさと大変さをきれいに描いたものである。主人公宮森あおいの役割である制作進行はクリエイターそのものでないため、クリエイターの作業遅延などを全部かぶることになる大変さがある。その一方で、人が足りていないことから、重宝されるだろう。アニメーターも人が足りていないため、人財として扱われるだろう。ただしアニメ制作では時間も金銭も余裕がないため、かなり待遇面では覚悟が必要であるが。アニメーターで技術を磨けば絵師としてビックになることもできるだろう。これらの役割からかけ離れた存在が声優だ。アニメ本編では声優を目指す坂木しずかがなかなか役をもらえずにすさんでいく様子が描かれていた。あくまでフィクションであるため、最終的には救いがある結論となるが、現実はこのまま芽が出ずに諦めるという経過を辿る人が多いであろう。アニメ本編では声優を志す人に対して一種の警告になっているかのように、ある意味残酷な声優志望者の現状を描いていたのだ。これが名作と感じる一つの要因であった。
さて本書はアニメ本編の前を描いたものである。宮森あおいは制作進行としてムサニに入った直後の1年間を扱っている。アニメを制作するということに対して好きという気持ちは必須なのか、邪魔なのか。おそらくどちらでもあるのだろう。好きでなければ情熱を傾けられず、辛い出来事を乗り越えられない。しかしその気持ちが自身の理想とのギャップを齎し、それが辛いこととなってしまう。宮森は絶妙な好き具合だというのはアニメ本編でも伝わってきた。
今井みどり(シナリオ志望)の話はアニメ本編と繋がっていないかと思う。本編では積極的にチャンスを掴みにいく姿勢が坂木しずかとの対比になっていた。その前提となる部分を描くべきだったのではないだろうか。大学のワークショップというのはまだお遊びであるから、自分のシナリオを曲げられる悲しさをエゴのように感じるようになっているのかもしれないが、プロの世界ではその曲げられたシナリオで評価されるという酷な部分があり、守るべき部分は死守しなければならないところもあろう。そういったせめぎあいを描ければ良かったのではないかと思うのだが大学生という立場のみどりを主人公にしては難しかろう。
アニメーター2年目の安原絵麻は原画に上がるための課題に苦戦する姿を描いている。周囲とコミュニケーションをとるのが苦手な絵麻だが、周囲の先輩が心配し、銭湯に誘って和気藹々とするほんわかした話である。
坂木しずかは声優養成所で基礎科から本科へ上がる試験をめぐる苦労を描いた話だ。声優志望者は養成所入所、本科昇格、事務所所属、役を得る、人気を得る、人気を継続させると常に試練続きだ。アニメ界では最も過酷な役割だろう。芸能人だからだ。成功するのは一握りで、そのための努力として何が正解かもわからない。
最後は3DCG志望者藤堂美沙が専門学校時代に、課題としてカラオケの映像を共同制作する話。相方の斧田がフル3Dにこだわるのに対し、制作期間を考えると2Dも併用しながら制作するのが現実的と考える藤堂。いかに現実を理解してもらうかに苦慮する姿が描かれている。制作現場にはこだわりで現実がわかっていない人もいる。現実と理想で揺れるのは構わないが、周囲に迷惑をかけないようにしなければならない。本作は本書の最後を飾るのに相応しい終わり方となっている。
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