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特捜の本はいくつか読んだけど、地方検事の本を読んだのは初めてだと思う
この事件は知ってる人もいるだろうけど、わたしは知らなかった
今日の出来事では当時取り上げられてたらしいが。。
エリート検事ではないが、これが検事の日常だと思う
大阪地検の証拠捏造の事件はどの人にとっても記憶に新しいし、証拠捏造や被疑者に有利な証拠が証拠採用されないことなんて日常的に発生している
検察組織の中にいれば、正義を貫いているつもりでも人間としてはどうなのだろう
このケースでは最終的に無罪になったが、裁判中の被疑者とされた方にとって人生の時間を余計なことに取られたことになる
TVドラマなどでしか知らない検察について、少しでも知って欲しい
HEROのような検察組織はいない
もし司法の世界に行こうと思っているなら、この本を読んでから入って欲しいと思う
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まじめに、真摯に仕事を全うしようと思いながら、強いものに逆らえず、きびしい立場に追い込まれていく苦しさが伝わってきます。
だめなものはだめ、
自分の良心に反することはするな、
当たり前のことが、外からみれば立派な組織の中では通らない苦しさが、伝わってきます。
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元検事の告発。面子に固まった検察庁に抗せずに本心でなく、取締りに暴言を吐き、脅迫して調書を取ってしまう。どこの組織にもある不合理な話だが、人の人生、命を預かる組織がそれではいただけない。2015.8.16
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違法な取り調べと強引な起訴で問題になった検事の自叙伝みたいなの。
文章は読みやすいけど、同じことの繰り返しみたいなところもあり、検察の体質的な問題(当時の話で今どうかはわからないけど)の指摘が多いかな、という印象ではある。
検事を目指す親友に贈呈。
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佐賀市農協背任事件(2001年)にて、著者市川寛氏は当時、当該事件の主任検事を担当してゐました。取り調べ中に暴言(「ぶつ殺すぞ!」など)を吐いたなどとして、後に証言台に立たされる事になります。
検察の不当捜査からなる冤罪事件として、当時は結構な話題になりました。しかし、なぜかういふ事件は起きるのでせうか。
市川氏も検事を志した時には、まさか冤罪事件に手を染めるとは思つてゐなかつたでせう。「ダイバージョン」といふ制度に魅せられ、それを実践できるのは検事だけとしてこの道を選んだと語ります。
ところが、実務修習の時点ですでに理想と現実のギャップに悩まされます。取り調べの要領は、「被疑者が有罪だと確信して取り調べるやうに」すべしだといふのです。他にも「やくざと外国人には人権は無い」とか「新任には否認事件を担当させない(無罪判決が出ると検事にとつて傷になるらしい)」とか。
昔は千枚通しなどを駆使して拷問が普通に行はれてゐたさうです。古い体質の検事なら、今でもそれに近い事はやつてゐさうです。取り調べの完全可視化を拒否する理由も想像がつきますね。
どんな手段を駆使してでも、調書を取るのが「優秀」らしい。やつてもゐない事を縷々作文し、被疑者にサインを強要する。拒否する被疑者に対する「テクニック」も上司は自慢気に教へてくれます。世間の常識とは程遠い世界ですね。
とにかく「割れ(自白させろ)!」「立てろ(起訴しろ)!」と指導されるのが検察庁。冤罪が無くならないのは当然と申せませう。
著者はさういふ「上からの指示」に、内心抵抗を感じながらも、異議を挟むことが出来ずに、心身ともに壊れてしまひます。本人も自らを、をかしいことはをかしいと言へない弱虫検事だと評し、本来検事になるべき人物ではなかつたと自責します。それを無理して続けた結果、佐賀地検でのあの事件に遭遇するのでした。著者の話を信用するならば、当時の検事正と次席はとんでもない奴であります。歴とした犯罪者でせう。彼ら側からの言ひ分も聞きたいところです。
確かに本書には言ひ訳が多いとも言へます。実際批判も多い。本書によつて彼の罪が免罪される訳でもありますまい。
しかしそれでも、相も変らぬ検察庁の暗部を世間に知らしめるといふ面では、意味のある一冊でせう。
さういへば冒頭にも前田恒彦元検事(厚生労働省局長の冤罪事件)の話が出てきます。この人の場合も、構図は同じではないでせうか。「起訴」以外の選択肢の無い状態で取り調べ、調書の作成を強要されたのでは。
なほ、冤罪被害者の「組合長さん」の息子さんが、被害者側からの視点で『いつか春が―父が逮捕された「佐賀市農協背任事件」』といふ本を出してゐます。こちらも読んでみたいと存じます。
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