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母と交わり、父を殺す―オイディプス神話を下敷きに物語られる長編ミステリ
2023/04/28 18:35
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
突然、陰にこもり人を寄せ付けなくなった男子高校生。彫刻家の父。年齢不相応な若さと美貌の母。離婚を望んで母が家を出て数か月のある日、彫刻家が行方不明となる。彼が消えた日に、息子が取っていた怪しげな行動は、父親を殺したことを意味するのか? 母の依頼で息子の弁護を引き受けた弁護士は、歪な家族の秘密に分け入っていく。
連城ミステリとしては、表層の人間関係の裏側に隠されていた愛憎の実像は、そこまで読み手を驚かせるものでは無いか。しかし、仮想とリアルのあわいを軽やかに越境する文章、描写の妙はいつも通りの冴え。
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登場人物たちの関係図が二転三転していく展開にワクワクしましたが、ギリシャ神話のオイディプス王のエピソードが出て来た辺りから何となくオチが予想出来きてしまいました。
また、オイディプス王は知らずにしてしまったことですし、欲情してのことだったので、本作とは背景が異なります。少々絡ませ方が強引な気がしました。
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我ながら往生際が悪いと言うか、亡くなって一年半以上が経つのに、新刊情報にこの人の名前があるとついつい食指が動いていまう。
四章からなるお話。各章が起承転結となり、短いながらも濃厚な愛憎劇となっている。ギリシャ悲劇に絡めたストーリーは二転三転し、伏線が活きてくる真相を読み終えてみるとやっぱり本格なのよね。でもそれ以上に、家族同士の心の闇を丁寧にあぶり出す心理描写が素晴らしい。この人、どうしてこんなに女性を描くのが巧いのかしら。
今月出る新装版の短編集も多分読むんだろな。
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話が二転三転する、連城お得意のパターン。ただこういう信頼できない語り手というのは、一歩間違えるとなんでもアリになってしまって、本書もそのギリギリのところで話を繋いでいる。けど結末は堅実に伏線を回収しているのでよかったなという感じ。
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ギリシャ悲劇に沿った愛憎のミステリー。どんな解決をみせるのか、最後まで分からなかった。
思春期の鬱屈による犯罪かと、単純に思えた事件が掘り下げられて、どんどん入り組んでいく。読後はタイトルの通り『青き犠牲』の話だったのだと思った。
危険な母親に見えた沙衣子だったが、最終章での独白を聞いてしまうと、同情せざるを得ない。極めて冷静に、でも憎んでいる感情的な部分も残っていて、どこか諦めながらも計画通りにやり遂げたその姿は魅力的に映った。
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彫刻家の父がいなくなり、のちに遺体で発見
犯人はいったいという事件のお話でした
すぐに犯人は捕まったのだがそこからが長かった
次から次へとくつがえる事実
ぜんぜん単純な事件ではなかったという
この著者ならではな作品だなと感じました