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紙の本

盛り上がったが、残念な終わり方

2020/02/28 00:48

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は周防柳の小説である。娘が不審な過程で死亡した母親が主人公である。警察沙汰にはなったが、状況から見れば自殺のようだと警察は言う。しかし、自殺するような周囲の状況はない。遺書はもちろんないし、携帯電話の記録も調べたが不審な点は見当たらない。時間が経過しても主人公の不信感は拭えなかった。

 自分だけで調べるには限界だと悟った主人公は探偵に助けを借りることにした。本書の概要にも書かれていたが、ここまでの記述では如何にもミステリーあるいは探偵小説のようなストーリーの運びである。探偵の力を借りた結果、判明したことは親しくしていた若い男がいたのである。

 その男は女性に対して不思議な魅力をもって引き付けることがよくあったようである。しかも、母親としては全く気が付かなったのだが、娘は妊娠していたのである。これは誰しもその若い男が何らかの教唆をして自殺に追い込んだと思う筋立てである。ところが、ストーリーは、そこから主人公も探偵も何もできなかったのである。

 探偵小説、あるいはミステリーだと思って読んでいた読者は期待を裏切られてしまった。美人ではないが、頭脳明晰で自慢の娘を失った主人公の悲しみが伝わってくる。しかし、その解決編はどこに行ったのか、肩透かしを喰ったような気がする。こういう書き方の小説もあることが分かったことも、ある種新鮮である。

 それにしても、挫折してしまったのかと疑ってしまったが、そういうことも考えられない。『逢坂の六人』で着想や内容に非凡さを感じさせた周防なのだから。途中から解決編と称して続編を書いてみるという手もあると、思わず可能性の低い仕切り直しを考えたりしてしまった。

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2015/03/04 22:52

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2015/06/13 01:26

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2015/04/15 15:20

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2018/04/14 13:50

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2023/10/10 13:00

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