紙の本
人生は出会いこそが全てかもしれない。
2022/06/28 10:33
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
後書きに作者は綴った。
「わたしは、螺旋というかたちにも強く惹かれます。多くのもののなかに螺旋状の仕組みがあるのは自然科学において解明されつつありますが、それが人間のつながりにおいても、有り得ないような出会いや驚愕するような偶然をもたらすことに途轍もない神秘性を感じるのです」
美しい富山の自然と、古都京都の歴史と伝統。その中で全く別に思われた人々が繋がっていく。
人生は出会いこそが全てかもしれない。
紙の本
星宿の愛本橋
2016/02/21 10:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにおさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
父の死が、新たな縁につながる。その場所、富山の風景の美しさと相まって心を打つ物語です。また、三大奇矯の一つの愛本橋にゴッホの星夜が重なり、北陸新幹線を利用して、その橋の上に立って、星空をながめてみたくなりました。
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4月。桜。新年度ー。
何かと心躍る季節のはずが、気がついたらもう5月です。
職場でも組織変更があり、マネジャーとして、新たな仕事を、新たなメンバーとともに担うことになりました。
でも、新しいことだらけの環境で気持ちは焦るばかり。まったく思い通りに進まない仕事の山と慣れない人間関係。早朝から深夜まで会社で働き、週末は家族とまともなコミュニケーションをとることもできずに自宅で働く…。
目の回るような日々に、だんだんと息苦しさを感じ始めた中で迎えた1週間のカナダ出張。
出版されたばかりの宮本輝さんの最新作『田園発、港行き自転車』をスーツケースに入れたのはまさに運命だったのではないかと思います。
東京での生活に馴染めず疲れきった二十歳の女性が故郷富山に戻り、そこで本来の自分を取り戻しつつ新たな目標を見つけて再び立ち上がっていく。他にも、決して順風ではない運命を呪うことなく、自分が為すべきことに対して前向きに誠実に向かい合って生きていく人々が織りなす群像劇です。
全編を通して宮本輝さんが人間に注ぐ視線の何と暖かいことか。
自分にできる精一杯のことを、ひたすら誠実に、一つひとつ着実に積み上げていく以外に何ができる。
誰かと比べて、自分で自分を苦しめることに何の意味がある。
なりたい自分になれるよう、今自分にできることに100%集中しよう。先は長くとも焦らなくてもいい。
自分は理想と現実のあまりにも大きなギャップに苦しんでいたんだと気づきました。
易きに流され歩みを止めてはいけませんが、一歩ずつでいいから信じる道を自分なりのやり方で進んで行こうと思います。
この本に救われました。心からお礼を言いたいです。
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祐樹が千春に言った
「自分が好きな人の思い出を話しているときに、
ああ、あの人、死んだよって言われるのって
いややろう?悲しいかろう?」という言葉に
なんて、やさしく、暖かいんだろうと涙が止まらなかった
人は、大切に愛されて育つことがとても大切なことなんだ
大切なこと、人の気持ちを想像することを
間違えないで生きていきたい
間違えても、失敗しても、
それをちゃんとわかってやり直せばいいんだなと思う
人にやさしく、あたたかい素敵な小説です
多くの人に読んでもらって、話をしたいなと思いました
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★北アルプスが遠くに(?)見えながら営まれる生活。都会は向かないという千春の気持ちに大いに共感する。登場人物ひとりひとりが自分の大切な人を想いやり、それでもつながっていくお話に心がほんのり温かくなった。(2015/04/14)
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人が人を想い、愛されて生きていく。
そのことのすばらしさに、胸をうたれた。
人の気持ちを慮り、やさしくするということが
こんなにも豊かで、美しいことなのか、と
涙ぐむこともしばしば。
人を大切にして、きちんと生きていけば、
縁は確かにつながり、人生は愉しく心豊かなものに
なる。そう信じられる小説だった。
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なんと清々しい読後感!
富山県下新川郡入善町の黒部川の堤に行きたくなったよ。
すべての登場人物ができすぎるくらい大人の分別と品格と優しさを持ち合わせている。
宮崎美子のすずらん堂にゲストで出ていた宮本氏。
現実社会ではいやな奴ばっかおるから、せめて小説の中だけにはいい人ばかりを書いたって。
この小説にも”赤毛のアン”からの引用がでてくるけど、実際一年に何回か読み返すほど、好きらしい。
特に1巻、3巻、6巻、10巻って言ってた。
この小説はすべて縁でつながっている人がつぎつぎ語り手になっていくんだけど、その中でも平岩壮吉の懐の深さ、冷静さ、聡明さは素晴らしすぎる。
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ゴッホの有名な「星月夜」を富山県黒部市に実際にある「愛本橋」からの風景に見立てている。
ややもすると複雑な人間関係に愛想を尽かしそうになるが、そこはさすがの宮本輝、人物が兎に角魅力的。
彼の作品に登場する女性はいつも“品がある”。
世の女性、男性問わず、今一番求められているものの一つだと思う。
自転車で走り抜ける様は読んでいてとても爽やかな風を感じられる。
魅力的に登場人物を描き、一度は訪れてみたいと思わせる風景描写に言葉がない。
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久しぶりに新刊書を読んだ。といっても「北日本新聞」に連載されていたらしい。そのせいかどうか舞台は富山。その風景が事細やかに描かれている。行ってみたくなる風景が広がっている。3組の家族が一人の少年を芯にしたドラマが広がるのだが、人物が多すぎて彼らの過去までを含めて理解しずらいし、魅力を感じなかった。結局、人物たちを操っていたのは、そして一番魅力があるのは地味な老人だ。それが浮上して物語は終わる。宮本輝という作家の作品は昔何冊か読んだけれど記憶に残っていない。この小説は残るかも知れない。
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やはり、自分と縁のある人には、絶妙なタイミングで出会うことになっているんだよ。
出会いは大切にしなきゃ。
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京都の町並みとか富山の田園風景とか
きれいな景色が見えるお話。
だけど、この風景が見えなかったら、話自体はけっこうドロドロよね(笑)
人間の本能なんて、そんなものかもしれないけど…
そういうのひっくるめて、けっこう好きな本だな
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表紙に見える赤い橋は、上巻では爽やかな季節を思わせるいいお天気の中、下巻では山際近くに満月が見えるしっとりした夜。どちらにも自転車に乗っていたり、引っ張っていたりする人物が。(#^.^#)
その赤い橋、愛本橋と自転車が、
時々立ち止まって頭の整理をしなければならない程の登場人物たちを結び付けていく様がとても優しい。(#^.^#)
かがわまほせんせい、こんにちは。ぼくは、なつめゆうきです。ようちえんです。5さいです。ぼくは、かがわまほせんせいのえがだいすきです。やさしいおうちがだいすきです。
ぼくのことをすきですか。かがわまほせんせい、ぼくのことをすきになってくださいね。
と、5歳のころに真帆に手紙を送った夏目祐樹。彼は千春の従兄弟で、今、中学三年生。
京都のバーを経営する雪子との縁で、彼女の夫の勤務する進学校に進もうとしている・・・。
この祐樹の手紙を読むたびに泣きそうになってしまうのだけど、彼を取り巻く誰もが彼のことを好きで、そんな彼のおかげでまた物語が進んでいく。
何をどう書いたらこの物語を言い表す感想になるのか、大きなネタバレの穴を避けようと思うと、あれもこれも書けないのだけど、うん、みんなそれぞれ居場所がある、という宮本輝のメッセージをそのまま受け止めて(実はちょっと言いたいこともあるのですが・汗)、あぁ、よかった、と本を閉じたいと思います。(#^.^#)
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いつも、どの本も宮本輝さん大好きなのですが
これはまた染み入りました
続編がほしい
ゆうき君の成長を見守りたい
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15年前、父親は何のゆかりもない富山で亡くなった。
家族には「九州へ出張所」と偽り、なぜ富山へ行ったのか。
富山の風景が美しく描かれる。
人と人との関わりがあたたかい。
が、煩わしさを感じさせる時もある。
変わって舞台は京都の花街。
女たちの凛とした姿や、笑顔の裏に隠された言葉の駆け引きも窺える。
花街の小路「夜中の足音が人間のつぶやきに聞こえる」
「幽妙ともいえる言葉」そんな一文にも惹かれた。
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引き込まれて上下巻あっという間に読みました
どの人物にも愛着がわきます
それぞれの重荷を抱えながらも誠実に生きている人ばかりだからでしょう
富山の風景描写が美しい
縁で結ばれる人たち
ゆうきくんがしあわせになりますように
《 風通る 橋の上から 空見上げ 》