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地方創生の推奨モデルとして、
福井県における取組みの検証を試みたルポですが…、
正直なところ…、福井県出身、現在、東京都在住で、
今年、両拠点を、ほぼ半々、行き来した者としては、
突っ込みどころ、そうでない感満載の内容でした…。
第一章では、
少子高齢化、産業創造、義務教育の3点について、
問題を提起し、以降の検証へと誘っております…。
第二章では、
富山市におけるコンパクトシティを取り上げていますが、
それって、
「富山モデル」であって「福井モデル」じゃないよね~。
という、作品の根本に係る突っ込みは横に置いておいて、
また、省かれていたコンパクトシティの課題についても、
横に置いておいて、(いろいろと横に置いていますが…)
地方都市のコンパクトシティ化が少子高齢化対策になる、
という、問題提起に対する解答ではなかったですね…。
第三章では、
福井県鯖江市にあるいくつかの企業の成功事例を紹介し、
その要因として、鯖江市の風土にこじつけていますが…、
それって、かなり無理があり過ぎでしょう?、というか、
この程度の事例なら、日本中、どこにでもありますよね。
後半では、鯖江市のIT先進都市構想の紹介に際し、
鯖江市出身のサイバーエージェントの藤田社長の、
「福井の若者は東京に行くべき」という提言に対し、
福井高専出身のJig.jpの福野社長が反論したことを、
まるで、武勇伝のように誉めそやしておりますが…、
やはり、クリエイティブな発想力を刺激するモノは、
福井県にはなく…、起業精神を持つ者ほど、一度は、
東京の刺激と厳しさを実体験するべきだと思います。
というか、
その福野社長ご自身が、東京で起業していますよね。
登場する他の方も、東京や都会経験者ばかりですし。
本章で、個々の企業の事例を、いいとこ取りするよりも、
鯖江市の事例なら「鯖江市役所JK課プロジェクト」や、
越前市の「IJU課」、福井県の「福丼県」など、
ネーミングセンスもよい斬新なプロジェクトもあるので、
その辺りを紹介された方がよかったのではと思いました。
最終章(第四章)では、
福井大学の教職大学院と、義務教育の学校現場について、
紹介していますが、
本作品で参考になるとすれば、本章ぐらいでしょうか…。
ただ…、福井モデルの起因は福井県の学校教育にある、
とする仮説もまた、ちょっと説得力はないかな~と。
実際のところ、学力の高い子供は、都会の大学に進学し、
そのまま、福井県に帰ってこない子供もたくさんいるし。
福井県で教育を受け、高い基礎学力を持った子供たちが、
都会の大学に進学し、都会そして海外の刺激を吸収して、
福井県に戻って起業し、グローバル企業を創出していく。
その中で、結婚し、出産していくサイクルができれば…、
それこそが、福井モデルの完成形になるのかも?ですが、
そこに至るには、まだまだ課題は多いと思います。
というか、
連呼される「幸福度日本一」って、どうなんでしょうか?
本作品でも、「幸福度日本一」のポイントとして、
例えば、「共働き率1位」を何度も誇っていますが、
「共働き=幸せ」だと思う人なんていないでしょう…?
例えば、これらの統計的データの要因としては、
経済活動的には、収入が少ないか? 支出が多いか?の、
2択、もしくは、その両方に集約することができます…。
本作品でも、「世帯収入1位」と何度も誇っていますが、
「世帯主収入」が少ないから共働きするしかないのでは?
また、福井県の特有の風土として、
専業主婦はマイノリティで、住みにくい社会でもあります。
となると…、「共働き=幸せ」とは、言えないですよね~。
その辺りのことは、福井県出身のホラー作家である、
雀野日名子さんの小説『幸せすぎるおんなたち』では、
ブラックユーモアを交えて、とてもよく描き出しており、
本作品よりも、よっぽど本質を捉えていると思います…。
そして、こういった側面が、
統計から導出された客観的幸福度と、
地元民の実感である主観的幸福度とのギャップであり、
幸福度日本一の実態は、不幸度日本一である、
との極論も、あながち全否定はできないのかな~とも。
(ボクは、決して、不幸度日本一とは思いませんが…)
もちろん、悲観的にばかり考えることはありません。
せっかく、このようなよいデータがあるのですから、
そのデータの本質をよく理解し、課題を洗い出せば、
その解決策こそが、行政においても企業においても、
ビジネスチャンスであり、地方創生の鍵となります。
その1つの解が、「福井モデル」となるのであれば、
福井県出身としては、とても嬉しいことですね。
評価は、5点満点からの減点法で、
第二章で-★1、第三章で-★1、全体構成で-★1
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幸福度や学力調査の値が高い福井。
なぜ、福井なのか?
そんな問いにすんなり答えてくれる本ではなかったです。
富山の話も多かったし。
福井や富山を真似ることは、いろいろな理由があって無理だろう。
けれども、なぜ北陸が注目されるのかは、わかった気がする。
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面白い。参考になった。
ちょっと考えたら、色々やることがある。工夫次第で、街、人は存続出来る。
これは、個人に置き換える事が出来るとも考えられる。成功例を調べて、自分に置き換え、取り入れたいものだ。
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閉塞感を感じる現代。地方再生が言われて久しいなか、そんな大義のためではなく、目の前の何とかしなければならない課題や目の前のやりたいことを、実際に自分たちの頭で、自分たちの足で、叶えていく人々の姿が綴られている本書に、勇気と希望が湧いてくる。「やわらか頭」からのアイデアもとても参考になる。
地方のこれからに関心のある人は必読、そうでなくても現状をなんとか変えたい、良くしたい、という思いがある人にもやる気をもらえる読後爽快な本。
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鯖江を中心にして、富山・福井のまち・ひとの強さを扱っている。内側にいると分からない、気づかないことがたくさんあるのだな。福井の教育の試みは、全県単位なのか特定校だけなのか気になりました。こんなアクティブなラーニングが全県でされているのならば凄い。
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人を集客するためにできることは山ほどある。
真摯に現状の課題と向き合い一つ一つ解決していくことが大切だと気づく一冊。
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2015/9/10図書館から借りた。
第1章では、高齢者の孤独死を導入に用い地域の問題と地方の問題を指摘
第2章では、富山県のコンパクトシティ構想の成功例を挙げている。
第3章では、福井県の鯖江市の産業革命を題材にしています。「鯖江モデル」はまだ、進行中。
最終章
何か完結していないような内容ですね。
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面白かった。そう断言して間違いない。ほぼ五つ星に近い四つ星。
地方創生に携わる方、教育関係者には必見の書だと思う。
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「幸福度ランキング」で毎度上位に来る北陸三県。持ち家普及率や世代収入額もそうだが、共稼ぎ率、出生率も全国平均を上回る。確かに福井県人は県外にあまり出ない。鮭のように必ず生まれた町に帰っていく。
それがイコール住みやすい県、なのかどうか。
全国平均に比して客観的にみた福井は幸福度が高いが、主観的にみた県民意識としての幸福度は実は低い。郷土愛ランキングなどでも下位の方だ。
これは何故なのか。
実は本書ではこの疑問は解決していない。何故福井(北陸)なのか、まとめも駆け足で少し物足りない気がするが、ビジネスモデルとして非常に興味深い事例も多くかなり勉強になった。
数値化しにくい「幸福度」。
住みやすさの問題を、江戸から続く人口計画や先送りにしてきた行政のツケなど様々なデータを基に検証していく第一章がとても面白い。
また第二章では同じ北陸の富山市のモデルケースが挙げられるが、コンパクトシティ構想が素晴らしい。ヨーロッパ(わけても北欧)をモデルにしたクオリティオブライフを高める都市計画により【地方創生】という言葉から未来が現実的に見えてくる。
第三章でようやく福井モデルが登場する。メガネの生産で栄えた鯖江市が、安い外国産の脅威に晒され一時は衰退していくところ、どのような起死回生策があったのか。
ものづくりの技、勤勉な県民性、公立校の教育、女性の生き方、そして狭いエリアで全てを完結させようとする気質?により、自分の住む一地方から世界へ発信する企業が生まれ、日本一世界一のシェアを占める率が高い結果となっている。
ただ福井県といっても、木の芽峠を境に分かれる嶺北と嶺南とは、言葉も文化も気質も全く違う。
教育や人口、経済格差が歴然とある南北問題がある。この本に書かれている内容はあくまでも嶺北のこと、であるように嶺南出身者としては、この福井モデル、全ては所詮嶺北に限定したことではないかとの疑念が生じる。著者は勿論鯖江市をメインターゲットにして事例を挙げているからだが、この南北問題については何一つ触れられていないのでそこが少し消化不良となっている。
勿論前出の富山市にしてもそうだが、全県の行政レベルではなかなか進まないことを、市町村レベルで先鞭をつける、その人材を輩出し手助けする環境が地域にあるかどうか。これが全てなのかもしれない。
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これは、私のここ数年の関心事を集大成したような本。
富山市の話は、ポートランドで見てきたこととすごくかぶる。実際、この本でもポートランドが引き合いに出されています。
福井のあり方は、神山に似ている。ある部分では神山が凌駕しているかもしれないけれど、どちらも、若者、ばかもの、よそものを受け入れる気質があって、それはつまり多様性を担保してるってことですよね。イノベーションの源泉。
また、福井の話で「市民主役事業」というのが紹介されていますが、これもまた、神山で行政ではなくグリーンバレーをはじめとする住民の活動によって町が活性化していることに通じるなあ、と感じます。そしてそれは、ポートランドですごく印象的だった「I care」の精神、つまり社会の出来事を「自分ごと」として捉える精神性に端を発するのであろうと。その精神性を育てるひとつの方法が「有能感」じゃないかと思うのですが、それは福井の教育力なんでしょうね。そういえば、神山も教育力が高い気がします。自分で考えて自分で解決することにより、少しずつ有能感を育てていく。今、大学でさかんにアクティブ・ラーニングの必要性が叫ばれているのも、こういった人材がかつてなく必要となっているからでしょう。
ここ数年、学生の学んだ知識を使って地域の課題を解決する「サービス・ラーニング」に携わっていたのですが、これはにアクティブラーニングの究極の形だ、と思います。その中では盛んにシビックプライド、ということが取り上げられていました。なんだか正しく「福井モデル」をやってたような気がする・・・。
まあ、福井モデルをただなぞればうまくいくか、というとそうではないとは思います。個々の事情を勘案せず形だけ真似たのでは、すでにそこで「福井モデル」ではなくなるし。本当に必要なものは何か、地域の人がそれぞれ自分ごととして捉えて動ける、それが大事だし、結局私がやりたいのは、そういう人を育てること(直接育てられないから支援するだけなんだけど)なんだなあ、と感じた本でした。
と、まあ内容は面白かったし、そもそも知ってることも多かったら補って読んだけど、ちょっと説明不足の部分が多かったような気がしないでもない。疑問を提出しておいてそれが回収されてないというか・・・あ、その説明はそこで終わるんだ、とか。話の続きがずっと後にでてきたり、とか。そこはもっと明瞭でもよかったんじゃないかなあと思ったりもしました。
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正直、この本を読むまでは、福井のことあまり知らなかったのですが、だいぶ福井が気になるようになりました。
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北陸三県の住みやすさ、出生率の高さ、共働き世帯の多さ等々の話はよく聞きますが、その背景などを開設した一冊。
もう少し経済モデル的な話かと想像していましたが、いい意味で裏切られた印象。教育や歴史などが全面に出てしまうと、モデルとして参考にできるところは限られる気はしますが、そういう風土や文化などを基盤として、交流を呼び込み、地域の活性化に結び付けるところは参考にしたいところ。
・行政の政策には、常に市民からの不満や不公平感がつきまとう。万人にとって、満足が得られる手法は、「お得感」という成果を具体的に提示して、それに合わせて選択肢のどちらかが妥当かを比較させて実行する手法
・「今の市民の声を聞いて。それを政策に反映させるのは、ポピュリズムだ。三十年後の市民の声を意識しろ」(森・冨山市長)
・エコノミック・ガーデニング
成長しそうな企業を、周囲がみんなで手伝っていく。「地域そのものがインキュベーター(孵化器)」という考え方
・「行政側がどの産業を成長させるかターゲットを絞るのではなく、伸びそうな企業をターゲットにする。そのためには広くアプローチしなければならない」(拓殖大・山本教授)
・東京都地方の圧倒的な差を挙げるなら、所得格差より人材の層の厚さの方が深刻
<目次>
第1章 「過去」未来は過去の中にある
第2章 「現在」世界を唸らせた富山市の挑戦
第3章 「未来」新しい仕事を創り続ける福井モデル
最終章 すべての答えは、学校の授業にあった!
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公務員の人には是非読んでもらいたい一冊、と思いましたが、別に公務員に任せなくてもいいのかな、と思ったり。
何かをしようと思ったときに参考になる一冊。
払ってもいい金額:1500円
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2012年に国交省が出したデータは、日本の暗い未来を示したものだった。高齢化・人口減少による地方消滅、という話題も挙がっているが、これらの問題を積極的に解決しているのもまた地方。
GDPではなく、働く・住む・育てるなど8項目からなる「幸福度」という指標で見ると、意外にも(?)上位に来るのが北陸三県。それら三県での施策を例に取り、なにが幸せを作っているか、が書かれています。
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読了。武田鉄矢のラジオで紹介されていた。富山市と鯖江市のことをベタ誉めであった。石川県に住んでるので、あまり知らなかった。北陸の教育は、小学生の娘がいるので、聞いたりすると、自分が受けた学校よりいいのではと感じたりするが、正解ではないかもしれない。感想が、なんとなく冷めた感じになるのは、本の途中は、いいなと思っていたのだが、最後の章で福井の家庭は、3世代同居または近居が多く、共働きが多いとあったのが、ひっかかかった。同居は難しいよなと思う。自分が奥さんの実家の家族と一緒に生活するのを想像すると、嫌ではない。でも回りに想像できないストレスを与えることになるのではと考えることはできるようになってきた。奥さんが、自分の両親と暮らすことのしんどさは、最近ようやく理解できるようになってきた。好きな人と一緒に暮らしたいから結婚するはわかる。好きな人の家族と一緒に暮らしたい訳では、ないもわかる。難しいなと感じた。