憧れの東京にやって来たものの
2022/03/17 13:25
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
1Kのアパートで怠惰な生活を送る、小林奈世は異色のヒロインですね。結婚とも同棲とも微妙にズレた、田畑絃との関係性が心地よかったです。
笑いながら、痺れる
2016/01/07 09:51
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投稿者:髭マス - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は、綿谷りさ初読み。
だってねぇ、「若い人の感性」を「瑞々しく描かれて」も、この歳じゃ同調したふりしたって格好悪いだけだし、かといって、反感持つわけでもないから、読むスタンスつくるの難しいんだよねえ。
だからってさ、「そんな昔もあったねと、笑って話」したって仕方がないしなあ。
でも、「綿谷りさが好きだ」という若い娘さんがけっこうがいたりするので、文庫化を機会に、とりあえず読んでみたのよっ。
で?・・・・・・あれっ??・・・面白いじゃん。
オレ、もうじき還暦迎えるジジイだし、もちろん「迷える男性」じゃないけどさ、でも、ほんとうに笑えるわっ。
要は、どうレッテル貼ってもいいんだけど、
「自分は悪くない」
「悪いのは相手」
「私の気持ちをどうして(相手は)わかってくれないの?」
・・・・こんなに好きなのに、こんなに我慢してるのに、こんなに働いてるのに、こんなに尽くしているのに・・・・な恋人たちのモノローグ小説。
爆笑ですねえ。
世の中、そこいら中に溢れている、恋する二人の怨嗟の声!!
自分たちだけが特別に不幸な、特別な、ハ・ナ・シ。
そうした、もうほとんど、ベッタベタの漫才のような「ハナシ」を、非常に上質な、神経の行き届いた日本語で読ませてくれる。
これは、愉しいし、相当怖ろしい。
例えばこんな文章が、さりげなく置かれている。平仮名と漢字の使い方の妙。笑いながら、痺れる。
「風に吹かれて、公園の木がザアと立てる音さへ、心を波立たせる。ひからびていた絃を好きという気持ちが水でもどした乾燥わかめのようにみるみるうるおいをとりもどして、心をすきまなく埋めていきました。」(絃は主人公の名前)
おまけに文庫解説は、サントリー学芸賞「文学を〈凝視〉する」の安倍公彦(まさひこ、と読むんですよん)が書いていたりする。さすがに上手だっ!!言いえて妙!
<豪華おまけ付き>みたいなもんだ。まいっちゃうなあ
自然にがいいかもね。
2015/07/04 23:14
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投稿者:通りすがりの本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
一番はじめに思ったのは、どうして弦は奈世が転がり込んできたことをよしとしたのでしょうってこと。
二篇の連作ではあるものの発表に約2年程の間があるらしい。
煮え切らない男と、煮詰まった女。
弦の『結婚は連帯保証人』という考え方は、そういう考え方もあるのかと感心した反面、『連帯保証人にはなるな』と弦に教えた親父は結婚してんだよね。
なんか弦の考え方にも矛盾をかんじる。結局、奈世のお父さんの『自然にスムーズに』というのが本当かもしれないですね。
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投稿者:桃色 - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛と相性は違う。という言葉が印象に残りました。
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連作短編だが、解説にもあったように
前話との間に時間が空いている、そのことによって主人公の性格が大幅変わったように思えた。本編にはない時間に彼女が変わったかのように。
彼の方はちっとも変わっていない気がしたけれど。
男女それぞれの人物目線を楽しむことができた。
少し主人公の女にいらっとくることもあったが、あっという間に読み終わるくらい面白かった。
男のほうが、結局その結論にたどりつく過程が薄かったような。もう少し男の目線を濃く書いて欲しかった。
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この本は私には全然合わなかった。共感の女王(?)綿矢りさがここまで言葉を尽くして表現してくれているのに全く心に入ってこないことに逆に驚きです。「煮え切らない男と煮詰まった女」、同棲からの結婚をめぐるこもごもなのだけど、自分が本当に恋愛にも結婚にも根本的に興味がないのだなというのがよくわかった。綿矢さんはなにも悪くない。
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次々に誰かに夢中になって、しばらくその人のことしか見えなくなって…という時期を過ごしていたせいで、小説も読みきれなくなって、ひさしぶりに一気に読み切った小説がこれという、皮肉。綿矢りさはどこまでも天才。
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ところどころ、すごく尖っていてかっこいい文章があるのは相変わらず。
でもあらすじとか登場人物の魅力がなぁ…
この本の主人公の女の結婚願望がただただ重いし、彼氏の方の一大決心がものすごく薄っぺらい。
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【同棲=結婚じゃないの?!】煮え切らない男・絃と煮詰まった女・奈世が繰り広げる現代の同棲物語。トホホ笑いの果てに何かが吹っ切れる、迷える男女に贈る一冊。
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うまくいかないから努力してきた。しかし、その努力は本当に必要だったのでしょうか。そしてこれからの努力も。最初に彼に抱いた『好き』という気持ちがゆっくりとすり減っていくだけではないでしょうか。でも私はがんばらなければ気が済まないのでしょう。だって、好きなのだから。こんな、どこかで諦めながらもがんばらざるを得ないという状況が存在することを、私はいままで知りませんでした。自分の意志ではなく、執着や激情に自分の身体が引きずられてゆくこんな感覚を、私は本気で恋をするまで味わったことがありませんでした。
絡み合ってほしいときに絡まない視線、その胸の締め付けられる切なさを愛したことも事実なのです。
ひさしぶりにいまことのひとときにだけひたっていると、身体じゅうがほぐれて眠くなり、自然にまぶたが、甘く重く瞳にのしかかってきます。
今この瞬間の幸せを大事に。
ここまでの行動力はないけれど、主人公の思考回路がこんなに共感できる話は出会ったことない。胸に突き刺さる言葉がたくさんあった。自分でちゃんと買って、本棚に収めておきたい。歳をとってまたこの本に出会ったときに、きっと今日のこの気持ちを思い出して懐かしくなるんだろうなと思う。綿矢りさの作品は、いつも着地点に希望が見い出せて大好き。
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第1章終わりの唐突感で少し拍子抜け。
最後もそれでいいんだ~、という感じ。私には相手云々というとよりも奈世の幼さ、重さが気になりすぎて、絃の問題はあまり見えてこなかった。
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あー面倒くさい、って第三者(彼女の両親など物語の中の人やわたしたち読者を含め)から見ていると思ってしまうが、当人たちは至って本気なのである。お互いにもっとちゃんとジャブを打てばよかったのにね。
ディナーでプロポーズして一旦拒否されて、その日、家に帰ってから再度”説得して”結婚することになった友人の話とちょっとシンクロしてしまった。
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書き出しの一文があざとく思えて先へ読み進むことをふとためらった。心象描写の多い文章は作中人物の思考を無理やり押し付けられているようで窮屈だ。どこかだらしない女性の生活感が上手く出ているが、単調で起伏の少ないストーリーは退屈だ。
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うーん、こういう男女のカップルって結構いるよね。お互いの言いたいこと、好き放題言い合えなきゃ、結婚も家族になるのも、無理ですよ。
私は、あ、今の悲しかった!今の嬉しかった!と何でも、その場で伝えちゃいます。その方が、彼もわかりやすくていいらしいです。
良いことしてくれたら、大げさすぎるくらい褒める。感謝する。挨拶も欠かさないし、いつでも、いろんなことを話し合ってます。
…というか、このユズルって男の人、確実に結婚に向いてないですよね?自分としか結婚できないタイプの人ですよ。完璧主義すぎる。
人と暮らすのは、妥協の連続ですよ。そんな、カップの茶渋がちょっと残ってるだけで、イラつくようじゃ、一生結婚できませんよ。
主人公の彼女は、男選びからして間違ってます。
でも、主人公自身も、かなり歪んでますけど。それが、時々文面ににじみ出てて、怖いですね。自分でも、おかしいって、離れてやっと分かったというのは、救いではありますが。でも、結局元の鞘に収まってるんじゃ、全く成長してないようなもんかな。
私は、飛び出したら、何があっても戻らないタイプなので…そも、その決心がなきゃ、飛び出すまで至らない。その前に、なんとかしてる。
でも、こういう結局ほだされる女の人って多いですよね。あれ、でも、彼女は戻りたかったのだから、結局主導権握ってることになるのかな?
まぁとにかく、女よ、強くなれ。主導権握るのだ。女が握ってる方が、家庭はうまくいくと思う。
もちろん、大事なとこで男の人を立てるのは忘れずにね。
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正直、ストーリーはあってないようなものだと思う。
現実にストーリーがないことと同じように、この小説にも些細な出来事があるから登場人物は微妙な感情の揺れやズレをおぼえる。その揺れを小説という形で真空パックしてくれるのが綿矢りさという作家だと思うから、わたしは彼女の新作を手に取り続ける。
東京と実家を比較したパートは流石。
またしても綿矢りさの中にわたしがいる、と思えた。