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読み終わった後、もうしばらくは小説読まなくていいや、と思った。いや、読まなくていい、じゃなくて読めないな、か。それくらい大きな物語でした。
なんというか、読むのに体力が必要だとでもいおうか。物語に負けない体力を必要とするほどの。
感動した、とか、圧倒された、とか、そういう言葉で語れない、語りたくない何かが自分の身体の細胞の一つ一つに組み込まれてしまった。
世界は血でつながっている。親から、親の親から、ずっとつながって身体の中に流れる血。けれどその血はいつもずっと流れ続け入れ替わり続けてもいる。
私が誰で、どこから来て、どこへ向かっていくのか。なぜここにいるのか、なんのためにいるのか。
答えなんて死ぬまでわからないし、正解なんてないのだろうけど、それでも一つだけあえていうなら、それは「誰かのために」ということだろう。誰か大切な人のために、自分は生まれそして生きている。
足元さえ見えない暗闇で自分を見失いさまよっているヒトがいたら、これを読むといいと思う。神さまじゃあるまいし、一人で生まれて一人で生きてるなんて思うなよ、って、そんな声が聞こえるかもしれない。
金城一紀や馳星周を初めて読んだ時と近い動悸に襲われました。
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直木賞受賞作
台湾人青年秋生の物語。筋は祖父を殺したのは誰か、恋人毛毛との出会と別れ、やくざな友人小戦との友情がメインとなる。戦後台湾の大陸や日本との関わり、想いなどは台湾人の著者だからこそ真実味がある。台湾青年の青春(恋・喧嘩・学校・徴兵)の悶々さが良く伝わってきて楽しい。日本にとって近くて遠い国台湾。そこが国として認められるのは何時になるのだろう。
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第153回直木賞受賞作。
ギュっと濃縮された台湾小説。
政治あり、歴史あり、任侠や恋愛までありつつも、兎に角読み手を飽きさせないスピード感に引き込まれる。
毛毛(マオマオ)との恋愛シーンはまるで、映画『恋する惑星』のサントラが流れているかのよう。(『恋する惑星』は香港映画だが)
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直木賞なので読んだけど、その前提でいえば、ちょっと残念。
過去の直木賞に肩を並べるかと言えば、全然物足りない。
これで審査員がすべて○を付けたというのだから、よくわからない。
「過去の直木賞作品を読み直してみたら!」と言いたくなる。
そのことを置いておけば、人の名前が分かりにくかったけど、まぁ面白かった。
「いちおう読みました」と言うために読んだとすれば「あたり」かも!
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うううう~ん…!
フツーに読む分に可もなく不可もなくって感じ。
でも
東山さんファンとしては物足りない気分。
主人公がね、「おとなしい」って言うか…
内部のエキセントリックさが控え目。
他の登場人物がそうだから目立たないだけやろか?
と、「もうちょっと!」をずっと抱いたまま読了。
敢えて言うなら最後のかっこつけ感だけが東山テイスト。
■ ■ ■ ■ ■
なんか、このまんまこの路線で行くのかなぁ?
もしそうなら残念。
キリキリ&GOGO!&「おぃおぃ!」がいっぱいの東山作品が好きなんやけどな。
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読みやすかったです。ただ、妙に全体に軽い?ので、話のもつ重さとアンバランスな感じがしました。面白いといえば面白い小説です。
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台湾を舞台に描かれる青春ミステリー。400ページの長編小説ですが、最初から最後まで飽きさせることなく読ませます。読了感もさわやか。
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壮大な叙事詩。読んだ後の余韻が重い。血は水よりも濃いということか。ミステリーの要素もあり、読み応え充分。
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第153回直木賞受賞作
初読みでした。東山さん。
ハードボイルド小説なだけでなく、1970年代の台湾を舞台に繰り広げるエンタメ小説。
面白いとかではなく、ほんと申し訳ないのですが単に苦手分野です。すごい読みづらかった。台湾にいったことあってもう少し知識があれば違った感想もつことができたかもしれませんが。
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2015/07/16 直木賞
台湾人の作者。作者のおじいさんがモデル?
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150716/k10010153641000.html
http://live.nicovideo.jp/watch/lv224868262
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2015年直木賞受賞作。
どこを見てもベタ褒めの本作ですが、読んでみたらその理由もわかるってもんです。笑
本格ミステリとしても素晴らしい出来ですが、特にその年代の中国、台湾に住まう人々の描写は脱帽の一言。
人の様々な繋がりと、それに伴う怨恨の連なり。
心理描写がよっぽど丁寧でないと、ここまでの面白さは出せなかったんじゃないかなと。
ネックは人名の読みがなかなか頭に入ってこなかったことぐらいです。笑
火花よりやや知名度は落ち込みますが、今年必読の一冊と言って良いでしょう。
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騒がれているし、エンタメを味わいたいから読んだけど
ちょっと男子向けかな。
乱暴な表現や暴力的なシーンが多いから
映画化されたら見ないだろうな。
でも、人の描写も上手だし
テンポもいいけど
静かな小説が私は好き。
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『それは連綿とつづく憎しみの連鎖の、もっとも美しい終わらせ方だった。わたしたちは血を流さないこともできる。しかし血を流さずに。いったいなにを証明できるだろう?』
台湾、国民党、共産党。
『祖父たちは、いっしょに食うこと、ちゃんと食うことに大きな意味があった時代に生き、そのために命を張ったのだ。』
台湾に行きたくなった。
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デビュー作を『本の雑誌』の献本企画で頂いて以来、細々と見守り続けてきた東山さん。
で、直木賞ということで「おおおお立派になって」と、何か嬉しくなっちゃった今作。
東山さんは文章的には読みやすいのですが、バイオレンス描写がそこそこありまして、それがちょっとつらくて全作は読めてないのですが、これは結構とっつきやすい方だと思います。
さて、主人公は台湾人の少年で、大好きなおじいちゃんが殺されてしまうところから物語が始まるのですが、犯人は見つからない。
それが少年は悔しくて独自に調べていくと、おじいちゃんは大陸から渡ってきた人で、つまり戦時中色々あった世代なんですな。歴史の暗部を抱えている人だったということが明らかになってくる。
それを何年もかけておっかけてくわけですが、もちろん主人公も成長していく過程で色々色々あるので、近代史ミステリでもあると同時に、成長小説、青春小説でもあります。
伝えたいことは、憎しみの鏈鎖をいかに断ち切るか、ということでしょうかねえ。
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直木賞候補になった時から読みたいと思っていた、日本在住の台湾人作家の本。70年代の台北から始まるこの物語は、国民党政権下に置かれた台湾が背負った歴史を主人公たちの家族が背負い、その中で秋生は鮮烈な青春を謳歌し、殺された祖父の過去を探る。台湾映画をも思わせる背景と疾走感あふれる展開は、台湾と大陸の戦後史に詳しくなくても楽しめる。これが日本語で読めるってすごいよ。台湾での映画化希望。